ブッシュ・ドクター
『ブッシュ・ドクター』 | ||||
---|---|---|---|---|
ピーター・トッシュ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | キングストン ダイナミック・サウンド・スタジオ、ジョー・ギブス・スタジオ[1] | |||
ジャンル | レゲエ | |||
時間 | ||||
レーベル | ローリング・ストーンズ・レコード | |||
プロデュース |
ピーター・トッシュ、ロビー・シェイクスピア グリマー・ツインズ(エグゼクティヴ) | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
| ||||
ピーター・トッシュ アルバム 年表 | ||||
|
『ブッシュ・ドクター』(Bush Doctor)は、ジャマイカのレゲエ・ミュージシャン、ピーター・トッシュが1978年に発表した、ソロ名義では3作目のスタジオ・アルバム。ローリング・ストーンズ・レコード移籍第1弾アルバムとしてリリースされ、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーとキース・リチャーズが参加した[6]。
背景
[編集]1978年4月22日、トッシュは旧友ボブ・マーリーらと共にワン・ラヴ・ピース・コンサートに出演し、当時ジャマイカを訪れていたミック・ジャガーがトッシュのステージに感銘を受けて、ローリング・ストーンズのアメリカ・ツアーでトッシュをオープニングアクトに起用した[7]。ジャガーは後年、『ローリング・ストーン』誌において「ピーターはピリピリした奴で、不満を抱えていたことが多かったよ、ボブ・マーリーがあまりにも大物になったことにイラついていたんじゃないかな」と語っている[8]。
トッシュはジャマイカに戻った後、ドラッグ所持の罪で逮捕され、刑務所内で暴行を受けて大怪我を負うが、同年のうちにロビー・シェイクスピアを共同プロデューサーに迎えて本作を制作した[7]。「ドント・ルック・バック」はテンプテーションズのカヴァーで、トッシュとジャガーのデュエット曲として録音された[7]。「スーン・カム」は、1970年にウェイラーズ名義で発表したシングル曲のセルフ・カヴァー[9]。
反響・評価
[編集]本作はオランダで大きな成功を収めた。先行シングル「ドント・ルック・バック」は1978年12月30日付のシングル・トップ100で初登場35位となり[10]、1979年2月4日には1位獲得を果たした[11]。そして、本作は1979年1月27日付のアルバム・チャートで初登場35位となり[2]、同年2月24日には3位を記録[12]。その後シングル・カットされた「アイム・ザ・タフェスト」も最高14位のヒットを記録している[2]。
ニュージーランドではシングル「ドント・ルック・バック」が7位に達し、本作は1979年1月21日付のアルバム・チャートで初登場17位となって、合計7週にわたりトップ40入りした[3]。アメリカでは「ドント・ルック・バック」がBillboard Hot 100で81位を記録し[13]、本作はBillboard 200で104位に達した[5]。
ハル・ホロヴィッツはオールミュージックにおいて5点満点中3点を付け、「ドント・ルック・バック」に関して「あからさまなクロスオーヴァー系のラジオでのエア・プレイ狙いのようにも感じられる」とする一方、「その他の曲では、よりルーツが意識されており、かつての盟友だったボブ・マーリーの幾つかの作品と比べても、わずかに及ばないぐらいである」と評している[6]。また、ロバート・クリストガウは「歌もののフォーマットにおいて、彼のダブ的で深みのある音作りを確立した」と評している[14]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はピーター・トッシュ作。
- ドント・ルック・バック - "(You Gotta Walk And) Don't Look Back" (Smokey Robinson, Ronald White) - 5:16
- ピック・マイセルフ・アップ - "Pick Myself Up" - 3:59
- アイム・ザ・タフェスト - "I'm the Toughest" - 3:53
- スーン・カム - "Soon Come" - 3:56
- モーゼズ-ザ・プロフェット - "Moses - The Prophet" - 3:35
- ブッシュ・ドクター - "Bush Doctor" - 4:04
- スタンド・ファーム - "Stand Firm" - 6:08
- デム・ハ・フェ・ゲット・ア・ビーティン - "Dem Ha Fe Get a Beatin'" - 4:12
- クリエイション - "Creation" - 6:26
2002年リマスターCDボーナス・トラック
[編集]- レッスンズ・イン・マイ・ライフ - "Lesson in My Life" - 5:32
- スーン・カム(ロング・ヴァージョン) - "Soon Come (Long version)" - 5:16
- アイム・ザ・タフェスト(ロング・ヴァージョン) - "I'm the Toughest (Long version)" - 5:10
- ブッシュ・ドクター(ロング・ヴァージョン) - "Bush Doctor (Long version)" - 5:42
- ドント・ルック・バック(オルタネイト・ヴァージョン) - "(You Gotta Walk) Don't Look Back (Alternate version)" (S. Robinson, R. White) - 5:00
- タフ・ロック・ソフト・ストーンズ - "Tough Rock Soft Stones" - 4:30
参加ミュージシャン
[編集]- ピーター・トッシュ - ボーカル、リズムギター、アコースティック・ギター、オートハープ、クラビネット
- ミック・ジャガー - ボーカル(on #1)
- キース・リチャーズ - ギター(on #6, #7)
- マイキー・チャン - リードギター、モーグ・シンセサイザー、ローズ・ピアノ、ピック・ギター
- ドナルド・キンゼイ - リードギター
- ロバート・リン - ピアノ、ハモンドオルガン、ローズ・ピアノ、クラビネット
- キース・スターリング - キーボード
- ロビー・シェイクスピア - ベース、ギター、ピック・ギター、ホーン・アレンジ
- スライ・ダンバー - ドラムス
- ラリー・マクドナルド - パーカッション
- スティッキー - パーカッション
- ルーサー・フランシス - ソプラノ・サクソフォーン
脚注・出典
[編集]- ^ 2002年リマスターCD (EMI, 7243 5 39181 2 5)英文ブックレット内クレジット
- ^ a b c Peter Tosh - Bush Doctor - dutchcharts.nl
- ^ a b charts.org.nz - Peter Tosh - Bush Doctor
- ^ swedishcharts.com - Peter Tosh - Bush Doctor
- ^ a b “Peter Tosh Chart History - Billboard 200”. Billboard. 2019年5月12日閲覧。
- ^ a b Horowitz, Hal. “Bush Doctor - Peter Tosh”. AllMusic. 2016年1月9日閲覧。
- ^ a b c Greene, Jo-Ann. “Peter Tosh - Biography & History”. AllMusic. 2016年1月9日閲覧。
- ^ Greene, Andy (2007年9月20日). “Mick Jagger: Stone Alone”. Rolling Stone. 2016年1月9日閲覧。
- ^ イアン・マッキャン 著、山崎智之 訳『スーパー・ロック・ガイド ボブ・マーリィ全曲解説』シンコー・ミュージック、1995年8月4日、84頁。ISBN 4-401-61489-5。
- ^ Peter Tosh with Mick Jagger - (You Gotta Walk) Don't Look Back - dutchcharts.nl
- ^ Dutch Charts - Dutch Single Top 100 - 24/02/1979
- ^ Dutch Charts - Dutch Album Top 100 - 24/02/1979
- ^ “Peter Tosh Chart History - Hot 100”. Billboard. 2019年5月12日閲覧。
- ^ Christgau, Robert. “CG: Peter Tosh”. 2016年1月9日閲覧。