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ブレーメン形 (ニュルンベルク市電)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブレーメン形 > ブレーメン形 (ニュルンベルク市電)
GT8N形(2004年撮影)

この項目では、日本においてブレーメン形と呼ばれる路面電車向けの車両超低床電車)のうち、ドイツニュルンベルクの路面電車であるニュルンベルク市電で使用されている車両について解説する。ニュルンベルク市電には1990年代から2000年にかけてGT6N形GT8N形の2形式が導入されている。形式名の「GT」は「連接式電動車(Gelenk-Triebwagen)」、「N」は軌間(1,435 mm、標準軌)、数字は車軸数を示す[1][2][3]

GT6N形

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ニュルンベルク市電GT6N形電車
GT6N形(1005)
2019年撮影)
基本情報
製造所 アドトランツ
製造年 1995年 - 1996年
製造数 14両(1001 - 1014)
運用開始 1995年
投入先 ニュルンベルク市電
主要諸元
編成 3車体連接車、片運転台
軸配置 (1A)+(1A)+(A1)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
最高運転速度 60 km/h
設計最高速度 70 km/h
車両定員 157人(着席61人)
車両重量 29.5 t
全長 27,394 mm
全幅 2,300 mm
全高 3,390 mm(集電装置下降時)
車体高 3,290 mm
床面高さ 360 mm
300 mm(乗降扉付近)
(低床率100 %)
車輪径 650 mm
固定軸距 1,850 mm
主電動機 1TB1624-0GB03(三相誘導電動機
主電動機出力 120 kW
駆動方式 車体装架カルダン駆動方式
歯車比 6.8
出力 360 kW
制動装置 回生ブレーキ、電磁ブレーキ、電磁吸着ブレーキ、スプリングブレーキ
備考 主要数値は[4][5][3][6]に基づく。
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1965年地下鉄ニュルンベルク地下鉄)建設決定以降、将来的な全廃を目標に路線規模の縮小が続いたニュルンベルク市電であったが、1994年に方針が変更され、存続が決定した。その翌年の1995年から導入が始まったのが、ニュルンベルク市電における初の超低床電車となったGT6N形、通称「シティバーン(CItyBahn)」である[4][7][8]

GT6N形は片運転台の3車体連接車で、車軸がない独立車輪を用いた台車が各車体に1基づつ設置されている。これにより、車内全体の床上面積を下げ、バリアフリーに適した構造が実現している。駆動方式は車体の床下に設置された主電動機からスプライン軸やかさ歯車を用いて動力を伝達するカルダン駆動方式が用いられ、平歯車やねじり軸を用いて動力台車に回転力が伝わる構造となっている。このGT6N形を含む「ブレーメン形」の開発はニュルンベルクに工場を構えていたMANによって行われたが、GT6N形の製造時にはAEGに鉄道車両部門が吸収され、更にABBの鉄道部門と統合したアドトランツが設立されたため、GT6N形はアドトランツが製造される形となっている[5][9][2][10]

1995年の導入以降、1996年までに合計14両(1001 - 1014)が製造され、「シティバーン(Citybahn)」と言う愛称も付けられている。2016年には延命を兼ねた更新工事を実施する事が決定し、ライプツィヒのIFTEC[注釈 1]による腐食箇所の修復や各種機器や部品の交換、ミュンヘンの工場での再塗装といった内容の工事が2017年から2020年にかけて全車両に対して行われている[3][5][11][12][13][14][15]

GT8N形

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ニュルンベルク市電GT8N形電車
GT8N形(1109)
2012年撮影)
基本情報
製造所 アドトランツ
製造年 1999年 - 2000年
製造数 26両(1101 - 1126)
運用開始 1999年
投入先 ニュルンベルク市電
主要諸元
編成 4車体連接車、片運転台
軸配置 (1A)+(A1)+(1A)+(A1)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
最高運転速度 60 km/h
設計最高速度 70 km/h
車両定員 218人(着席71人)
車両重量 40.4 t
全長 36,850 mm
全幅 2,300 mm
全高 3,390 mm(集電装置下降時)
車体高 3,313 mm
床面高さ 360 mm
300 mm(乗降扉付近)
(低床率100 %)
車輪径 650 mm
固定軸距 2,000 mm
主電動機 1TB1624-0GD03(三相誘導電動機
主電動機出力 120 kW
駆動方式 車体装架カルダン駆動方式
歯車比 6.87
出力 480 kW
備考 主要数値は[4][16][3][2][6]に基づく。
テンプレートを表示

1999年から導入された、GT6N形を含むブレーメン形の第二世代にあたる車種で、「シティバーネン(CityBahnen)」とも呼ばれる。片運転台の4車体連接車で、繊維強化プラスチックとアルミニウムを用いる事で車体の軽量化が実現している他、前面デザインも流線形に変更されている。構造上の最大の特徴は台車の固定軸距をGT6N形(1,850 mm)から広げ2,000 mmとした事と、前方から2車体目と3車体目の中間車体の間の連接部分の構造を変更した事である。これにより、従来のGT6N形で指摘された曲線走行時に終端で先頭車体が後部車体の位置の影響を受けて大きく振る現象が解消されている。これらのGT8N形で実装された新機構については、製造開始の前年(1998年)にミュンヘン市電の路線を用い、GT6N形の前後車体と試験用中間車体を組み合わせた編成による実証実験が行われている[7][16][2][7][2][17]

2000年までに26両(1101 - 1126)が導入された後、2021年からは前述したGT6N形と同様の更新工事が行われており、2023年までに全車に対して施工される予定である[16][3][2][12]

脚注

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注釈

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  1. ^ 「IFTEC」はシーメンスライプツィヒ交通事業会社ドイツ語版の合弁会社である。

出典

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  1. ^ 服部重敬 2017, p. 40.
  2. ^ a b c d e f 服部重敬 2017, p. 43.
  3. ^ a b c d e 服部重敬 2017, p. 49.
  4. ^ a b c 125 Jahre elektrische Straßenbahn”. Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg. 2022年8月18日閲覧。
  5. ^ a b c Straßenbahn Triebwagen GT6N Nr.: 1001 - 1014”. Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg. 2013年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月18日閲覧。
  6. ^ a b Technik im Detail”. Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg. 2013年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月18日閲覧。
  7. ^ a b c Straßenbahn”. Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg. 2011年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月18日閲覧。
  8. ^ Marco Puschner (2010年4月2日). “Als die Tram den Adler erlegte”. nordbayern. 2022年8月18日閲覧。
  9. ^ 服部重敬 2017, p. 41-42.
  10. ^ 服部重敬 2017, p. 44.
  11. ^ Tuning für die Straßenbahn: VAG investiert 24 Millionen”. nordbayern (2016年9月1日). 2022年8月18日閲覧。
  12. ^ a b Nuremberg: First GT8N tram completely refurbished”. Urban Transport Magazine (2021年1月11日). 2022年8月18日閲覧。
  13. ^ Frederik Buchleitner (2018年2月8日). “Nürnberg: Modernisierter GT6N im Einsatz”. tramreport. 2022年8月18日閲覧。
  14. ^ Wie neu: die erste Straßenbahn ist modernisiert und zurück in Nürnberg”. Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg. 2022年8月18日閲覧。
  15. ^ Straßenbahnen werden modernisiert: Millionenschweres Programm - Die erste von 40 Straßenbahnen ging auf Reisen”. Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg (2016年9月1日). 2022年8月18日閲覧。
  16. ^ a b c Straßenbahn Triebwagen GT8N Nr.: 1101 - 1126”. Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg. 2013年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月18日閲覧。
  17. ^ Markus Trommer (2000年1月21日). “Triebwagen Typ R 3.3”. Freunde des Münchner Trambahnmuseums e.V.. 2022年8月18日閲覧。

参考資料

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  • 服部重敬「特集 新潟トランシス part4 欧州のGT低床車 世界初の全低床車としての登場から現在まで」『路面電車EX 2017 vol.10』、イカロス出版、2017年10月20日、ISBN 978-4802204231