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プレノール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プレノール
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識別情報
CAS登録番号 556-82-1 チェック
PubChem 11173
ChemSpider 10700 チェック
EC番号 209-141-4
特性[1]
化学式 C5H10O
モル質量 86.132 g/mol
密度 0.848 g/cm3
融点

−59 °C (calculated)

沸点

約142 °C

への溶解度 17 g/100 ml (20 °C)
log POW 0.91
危険性
GHSピクトグラム Flam. Liq. 3Acte Tox. (oral) 4
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H226, H302
Pフレーズ P210, P233, P240, P241, P242, P243, P264, P270, P301+312, P303+361+353, P330, P370+378, P403+235, P501
EU Index not listed
引火点 43.3 °C (110 °F)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

プレノール(Prenol)は、天然に精製するアルコールである。IUPAC名は、3-メチル-2-ブテン-1-オールという。最も単純なテルペンの1つで、無色透明の精油であり、水には適度に溶け、ほとんどの有機溶媒と任意の割合で混ざる。果物のような香りを持ち、香水に使われることもある。

天然には、柑橘類クランベリーコケモモスグリブドウラズベリーブラックベリートマト精白パンホップ油コーヒーキイチゴクラウドベリーパッションフルーツ等に含まれる[1]。また、ドイツのBASFや日本のクラレによって、医薬品や香料の中間体として工業生産されている。2001年の世界全体での生産量は6,000トンから13,000トンであった[1]

工業生産

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プレノールは、工業的にはホルムアルデヒドイソブテンを反応させ、得られたイソプレノール(3-メチル-3-ブテン-1-オール)を異性化することで生産される[1][2]

The reaction of isobutene with formaldehyde to give isoprenol, the first step in the industrial manufacture of prenol.
The reaction of isobutene with formaldehyde to give isoprenol, the first step in the industrial manufacture of prenol.
The isomerization of isoprenol to prenol, the second step in the industrial manufacture of prenol.
The isomerization of isoprenol to prenol, the second step in the industrial manufacture of prenol.

ポリプレノール

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プレノールは、次の一般式で表されるイソプレノイドアルコールの構成単位となる。

H–[CH2CCH3=CHCH2]n–OH

繰り返されるC5H8単位はイソプレンと呼ばれ、このような構造の化合物は「イソプレノール」と呼ばれることもあるが[3]、プレノールの異性体であるイソプレノールとは別のものである。最も単純なイソプレノイドアルコールはゲラニオール(n=2)であり、ファルネソール(n=3)、ゲラニルゲラニオール(n=4)と続く。

アルコールと結合するイソプレン単位が飽和されたものはドリコールと呼ばれる。ドリコールは、多糖合成の際に糖を運搬する。細胞膜の防御、細胞タンパク質の安定化、免疫系の維持にも重要な役割を果たす。

プレノールは、少なくとも5単位以上ある時には、脱水反応によって重合し、重合体はポリプレノールと呼ばれる。ポリプレノールは、100単位程度まで大きくなれる。長鎖のイソプレノイドアルコールは、「テルペノール」とも呼ばれ、タンパク質カロテノイド、脂溶性のビタミンAビタミンEビタミンK等のアシル化に重要な役割を果たす。

ポリプレノールは、細胞代謝においても重要である。摂取されたポリプレノールは、肝臓でドリコールに代謝され、ドリコールリン酸回路に入る。ポリプレノールの薬理活性は、慢性炎症性や腫瘍等によってドリコールが欠乏するのを補う効果に由来する[4]

生きた針葉樹の葉は、ポリプレノールを最も多く含み、広く供給源となっている[5]

出典

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  1. ^ a b c d 3-Methyl-2-buten-1-ol, SIDS Initial Assessment Report, Geneva: United Nations Environment Programme, (May 2005), http://www.inchem.org/documents/sids/sids/556821.pdf .
  2. ^ See, eg, Kogan, S. B.; Kaliya, M.; Froumin, N. (2006), “Liquid phase isomerization of isoprenol into prenol in hydrogen environment”, Appl. Catal. A: Gen. 297 (2): 231–36, doi:10.1016/j.apcata.2005.09.010 .
  3. ^ See, eg, Goodfellow, Robert D.; Huang, Yung-Sheng; Radtke, Harold E., Jr. (1972), “Isoprenol biosynthesis in the fly, Sarcophaga bullata”, Insect Biochem. 2 (8): 467–75, doi:10.1016/0020-1790(72)90027-3 .
  4. ^ Edlund, C.; Söderberg, M.; Kristensson, K. (1994), “Isoprenoids in aging and neurodegeneration”, Neurochem. Int. 25 (1): 35–38, doi:10.1016/0197-0186(94)90050-7, PMID 7950967 .
  5. ^ Company Announcement – Report on Opening of Tomsk Production Facility, Solagran Ltd., (2008-03-27), http://www.asx.com.au/asx/statistics/displayAnnouncement.do?display=pdf&idsId=00826503 2009年8月31日閲覧。 .

外部リンク

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