プロスルチアミン
IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
法的規制 |
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データベースID | |
CAS番号 | 59-58-5 |
ATCコード | None |
PubChem | CID: 5355019 |
ChemSpider | 4511078 |
化学的データ | |
化学式 | C15H24N4O2S2 |
分子量 | 356.51 g/mol |
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プロスルチアミン(英: Prosultiamine、アリナミン)は、プロピルジスルフィドチアミンとして知られており、ビタミンB1欠乏症の治療薬として1950年代に日本で開発されたジスルフィドチアミンである[1][2]。プロスルチアミンは、チアミン誘導体として脂溶性を増加させたものであり、腸管からの吸収に際しての輸送に律速されない[3][4]。
プロスルチアミンについて次のような歴史が存在する。1952年(昭和27年)3月8日に京都大学衛生学の藤原元典は、武田薬品工業研究部と提携してニンニクとビタミンB1が反応するとニンニクの成分アリシンがB1(チアミン)に作用してできる「アリチアミン」ができると報告した。そのアリチアミンは、体内でB1にもどり、さらに腸管からの吸収がきわめてよく、血中B1濃度の上昇が顕著で長時間つづく、という従来のビタミンB1製剤にはない特性があることを報告した。また、武田薬品工業は、アリチアミンの製剤化に力を入れ、1954年(昭和29年)3月、アリチアミンの誘導体であるプロスルチアミンの内服薬「アリナミン錠」が発売され、従来のビタミンB1剤に見られない優れた効果を示した。アリナミンとその類似品の浸透により、当時、手の打ちどころがなかった潜在性脚気が退治されることとなった。国民の脚気死亡者は、1950年(昭和25年)3,968人、1955年(昭和30年)1,126人、1960年(昭和35年)350人、1965年(昭和40年)92人と減少したのである[5][6]。 しかし、1975年(昭和50年)には脚気が再燃し[7][8]、原因には砂糖の多い飲食品や副食の少ないインスタント食品といったビタミンの少ないジャンクフードがあることが分かった[9]。
プロスルチアミンは服用するとニンニク臭くなるという問題がある[10]。血液中でプロスルチアミンが分解するとチアミン(ビタミンB1)とともにニンニク臭の素のひとつであるN-プロピルメルカプタンが生じ、呼気に出てくるためである[12]。この問題を解決した誘導体がフルスルチアミンである[10]。
脚注
[編集]- ^ Swiss Pharmaceutical Society (2000). Index Nominum 2000: International Drug Directory (Book with CD-ROM). Boca Raton: Medpharm Scientific Publishers. ISBN 3-88763-075-0
- ^ David J. Triggle (1997). Dictionary of pharmacological agents. London: Chapman & Hall. ISBN 0-412-46630-9
- ^ Thomson AD, Frank O, Baker H, Leevy CM (April 1971). “Thiamine propyl disulfide: absorption and utilization”. Annals of Internal Medicine 74 (4): 529–34. PMID 5551161.
- ^ Baker H, Frank O (August 1976). “Absorption, utilization and clinical effectiveness of allithiamines compared to water-soluble thiamines”. Journal of Nutritional Science and Vitaminology 22 SUPPL: 63–8. PMID 978282.
- ^ 山下政三『鴎外森林太郎と脚気紛争』日本評論社、2008年、459-460頁
- ^ 日本の脚気史
- ^ 高橋和郎 「心拡大,高度浮腫を伴った急性多発性神経炎」『日本内科学会雑誌』Vol.64、 No.10、1975年10月、1140-1152頁。
- ^ 高橋和郎、北川達也「心拡大,高度浮腫を伴った急性多発性神経炎-続-その疫学ならびに成因としてのビタミンB1欠乏症」『日本内科学会雑誌』Vol.65、 No.3、1976年3月、256-262頁。
- ^ 住田実『現代によみがえった「江戸の病」の食生活』。
- ^ a b “Q&A|もっと知りたいアリナミン”. 武田薬品工業. 2018年1月9日閲覧。
- ^ 原田博文, 力丸文秀 ほか「シンポジウム I 静脈性嗅覚検査の基礎と臨床 -静脈性嗅覚刺激による脳波変動-」『日本鼻科学会会誌』第40巻第1号、日本鼻科学会、2001年、58-60頁、2018年1月9日閲覧。
- ^ これを利用して嗅覚検査にプロスルチアミンの注射剤を静脈内注射する手法が用いられる。製剤名からアリナミンテストと呼ばれる[11]。