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ヘビキノコモドキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヘビキノコモドキ
神奈川県川崎市麻生区・2014年9月
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
亜門 : ハラタケ亜門 Agaricomycotina
: ハラタケ綱 Agaricomycetes
亜綱 : ハラタケ亜綱 Agaricomycetidae
: ハラタケ目 Agaricales
: テングタケ科 Amanitaceae
: テングタケ属 Amanita
: キリンタケ節 Validae
: ヘビキノコモドキ A. spissacea
学名
Amanita spissacea S. Imai [1][2]

ヘビキノコモドキ(蛇茸擬[3]学名: Amanita spissacea)はテングタケ科テングタケ属の中型から大型のキノコの1種。日本北海道から本州[4])、韓国中国などの東アジアに分布する[1][2][5]

菌根菌(共生性)[3]。夏から秋にかけて、里山のシイカシなどの照葉樹林クヌギコナラミズナラなどの広葉樹林アカマツ・コナラ林など各種林内の地上に単生あるいは多少群生する[3][4]

形態

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子実体からなるテングタケ[2]。傘の径は4 - 12.5センチメートル (cm) [1]。はじめ卵形からまんじゅう形、のちに開いて扁平になり[1]、最終的には多少中央部が窪む[6]。傘表面は褐灰色から暗灰褐色、多少繊維状で、最初は黒褐色のいぼ(外皮膜の名残の平らな破片)が一面に密集から散在してついている[3][1]。最初は一面に暗褐色から黒褐色[6]。条線はない。傘下面のヒダは白色で密に配列し、縁部は粉状にふちどられ[1]、柄に対して離生からわずかに垂生する[2]

柄は中実、長さ5 - 15 cm、太さ8 - 15ミリメートル (mm) の円柱状で[1][6]、表面は黒灰色から灰褐色の繊維状の小鱗片に被われ、だんだら模様がある[3]。柄の模様の程度には変化があり、不明瞭な場合もある[3]。基部は少し膨らみ径2 - 3 cmの塊茎状、傘と同色のツボの名残の鱗片状の破片が環状に取り巻いている[6][3][2]。柄の上方にツバ、根元にツボ有り[7]は白色、無味無臭[1][6]。ツバは白色から灰白色で膜質、縁は黒褐色の粉状[1]。ツボは壊れた粉質から綿質で、4 - 7列の環状に残る[6][1]

担子胞子は8 - 10.5 × 7 - 8マイクロメートル (μm) の広楕円形、アミロイド性[1]。ヒダの縁細胞は球形で柄があり、18 - 30 × 13 - 20 μm[4]

類似種

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ヘビキノコモドキは、色や形には変化が大きく、いくつかの似た近縁種から成り立つとされる[3]。食菌のキリンタケAmanita excelsa、テングタケ科)は本種に類似するが、白色から灰色の柄と外皮膜(ツボ)、柄はほとんど白色、楕円形で大きさ8 - 11 × 5 - 7 μmの担子胞子を持つことで区別できる[2][4]。日本では、本種ヘビキノコモドキとキリンタケの中間型と思われるものも見られる[4]。食菌のザラツキテングタケAmanita aspera、テングタケ科)では、外皮膜は黄色い粉状を呈する[4]

毒性

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毒キノコのひとつで、アマトキシン類や溶血性タンパク質を含む[8]。中国では、しばしば中毒事例の報告が出ている[1]

脚注

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参考文献

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  • 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。ISBN 978-4-259-56812-2 
  • 今関六也、本郷次雄『続 原色日本菌類図鑑』保育社、1965年3月1日。ISBN 4586300426 
  • 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著『日本のきのこ』(増補改訂新版)山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、2011年12月25日。ISBN 978-4-635-09044-5 
  • 前川二太郎 編著『新分類 キノコ図鑑:スタンダード版』北隆館、2021年7月10日。ISBN 978-4-8326-0747-7