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ベントレー・ステートリムジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベントレー・ステートリムジン
概要
製造国 英国
ボディ
ボディタイプ リムジン
エンジン位置 前部縦置
駆動方式 後輪駆動
パワートレイン
エンジン 6,750cc V8 OHV
最高出力 298.3kw / 400bhp @ 4000rpm
最大トルク 835.18nm / 616.0ft lbs @ 3250rpm
変速機 4速オートマチック
サスペンション
ダブル・ウィシュボーン
ダブル・ウィシュボーン
車両寸法
ホイールベース 3,844mm
全長 6,220mm
全幅 2,000mm
全高 1,770mm
車両重量 3,390kg
その他
生産台数 2台(2002年製造)
各諸元の出典 註記なき項目は、Supercars.net並びにThe Royal Windsor Websiteの記事[1][2]より引用した。
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ベントレー・ステート・リムジン: Bentley State Limousine)は英国王室の公用車である。2台が製造されている[3]

概要

[編集]

2002年に女王の在位50周年を記念し、ベントレーが主導する自動車艤装コンソーシアムが1台を献上した[4]。2台目は王室が予備車として購入している[3]。1台当たりの価格は10,000,000GBPと推定されている[5]。開発は2000年2月に始まり、2000年5月に女王と公爵に設計案を提示し承認された[6]。製造には、継続的に女王、公爵そして運転手の意見を取り入れたとしている[7]。アルナージュ・シリーズ2から、原動機や変速機などを流用するが、大部分を新設計した[2]。観衆から車内がよく見えるよう、高い屋根、細いピラー、大きな窓に加え、特に後部ガラスを後席頭上まで延長する「グラスハウス」とした[2]。これらを実現するため、ボデーをモノコック構造としたほか、特殊な反射材を挟んだ合わせガラスを採用し、ガラスの透明度と室内への遮光を両立した[2]。ヒールド・ブラザーズが織ったラムウールのサテン生地を用いた2席の後部座席は、女王と同じ体格のモデルから設計し、ハンドバッグ収納部も、女王愛用のバッグに合わせた[8]。その上で、座面は乗客の顔が側面ガラスの中央に来るよう高さを調節できるようにした[2][6]。また、予備に折り畳みの後ろ向き座席が2席用意した[6]。女王が粗野な電子機器の搭載を明確に拒否したため、間仕切り越しの通話用インターコムなど最低限の機材のみを備えた[9]。後部のドアーは、後端に蝶番をつけたコーチ・ドアーとすることで、女王が降車する際に真っ直ぐ立ち上がれるようにした[6]。王室車両の先例に従い、屋根には紋章と王室旗が装着でき、ボデーの塗色はクラレット色に赤いストライプを入れ、屋根は黒色とした[6]。フード・オーナメントは特製で、聖ジョージとドラゴン像若しくはスコティッシュ・ライオン像を装着する[注 1][11][12]。ベントレー・モーターズのフランツ=ヨーゼフ・ペーフゲンは、2002年5月29日にウィンザー城で女王に拝謁し、完成した車を献上した[1]。同年6月4日の公務から運用されている[2]。耐用年数は25年以上、耐用走行距離125,000mlを想定している[2]。当初から環境に配慮し燃料には液化石油ガスを用いたが、2009年に2台ともバイオ燃料を利用できるように改造した[9][7]

余聞

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  • 2010年に、女王の公務中に原動機が再始動せず、女王が予備のレンジ・ローバーに乗り換える「事故」があった[13]
  • 日本の天皇が2024年に来英した際、移動にはステート・リムジンが提供された[14]

外部リンク

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ウィキメディア・コモンズには、ベントレー・ステートリムジンに関するカテゴリがあります。

  • ステートリムジン”. ベントレー モーターズ. フォルクスワーゲングループジャパン株式会社. 2024年6月16日閲覧。
  • Cars” (英語). The official website of the British Monarchy. The Royal Household. 2008年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月16日閲覧。

脚註

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註釈

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  1. ^ 新国王は2023年に、ウェルシュ・ドラゴン像を新調している[10]

出典

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  1. ^ a b Nick D. “2002 Bentley State Limousine” (英語). Supercars.net. A07 Online Media, LLC. 2024年6月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g New Bentley for the Queen” (英語). The Royal Windsor Website (2002年5月29日). 2024年6月16日閲覧。
  3. ^ a b Noah Joseph (2008年12月31日). “From Royal Blue to Green: the Queen retrofits her Bentleys to run on bio-fuel” (英語). Autoblog. Weblogs, Inc.. 2009年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月16日閲覧。
  4. ^ Queen of England presented with new Bentley State Limousine” (英語). Autos.ca. Trader Corporation (2002年5月31日). 2024年6月16日閲覧。
  5. ^ Royals around the world and the value of their cars” (英語). Select Car Leasing. Select Contracts (UK) Limited (2022年2月6日). 2024年6月16日閲覧。
  6. ^ a b c d e Queen helped design royal car” (英語). BBC News. British Broadcasting Corporation (2001年12月20日). 2024年6月16日閲覧。
  7. ^ a b Bentley” (英語). The Royal Mews at Buckingham Palace. 2024年6月16日閲覧。
  8. ^ Story of Mulliner” (英語). Mulliner. Bentley Motors Limited. 2024年6月16日閲覧。
  9. ^ a b bcusack (2002年5月16日). “UK: Bentley reveals details of Queen's new state limousine” (英語). Just Auto. Verdict Media Limited. 2024年6月16日閲覧。
  10. ^ Maria Jakobsen (2023年7月25日). “King Charles' State Bentley features a new lavish car ornament” (英語). Something About Rocks. Something About Rocks Limited. 2024年6月16日閲覧。
  11. ^ Abigail Hunt (2022年5月17日). “5 things you didn't know about the Queen's £10m motor ahead of Platinum Jubilee celebrations” (英語). Newark Advertiser. Iliffe Media Publishing Ltd.. 2024年6月16日閲覧。
  12. ^ Roberta Fiorito (2018年12月14日). “I'm Sorry...What?! Queen Elizabeth's Bentley Limo Has a Custom Hood Ornament Featuring Her Personal Mascot” (英語). PureWow. Wow Media Products, Inc.. 2024年6月16日閲覧。
  13. ^ Richard Palmer (2010年2月24日). “Queen goes for a stroll after her Bentley breaks down” (英語). Express.co.uk. Reach Magazines Publishing Plc. 2024年6月16日閲覧。
  14. ^ AYAKO NAKADA (2024年6月23日). “Imperial couple arrive in U.K. on a sentimental journey” (英語). The Asahi Shimbun. The Asahi Shimbun Company. 2024年6月16日閲覧。