卑金属
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(ベースメタルから転送)
卑金属(ひきんぞく、base metal[1])は、空気中に放置するときに酸化しやすく、水分や二酸化炭素などによって容易に侵食される金属のこと[2]。「ベースメタル」「コモンメタル」などの別名がある[3]。また、同音の非金属とは意味が異なる[4]。一般的には貴金属が対義語とされている[5][6]。
語源
[編集]卑金属の名称は、卑金属がイオン化しやすく、イオン化傾向が高いという特徴から来ている[7][8]。
また、その名前は大量に産出する安い金属ということから来ているとするものもある[9]。
定義
[編集]卑金属という言葉は古来、金と銀以外の金属全般を指していた[10]。しかし、現在は他の定義も存在している。
- 化学
- 化学の世界では、卑金属は空気中で熱したりすると容易に酸化される金属を指す。この定義の場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛などがこれに属する[10]。
- 貿易
- 貿易分野においては、貴金属か卑金属かの是非によって関税にも影響が出るため、明確な基準として、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、鉛、亜鉛、すず、タングステン、モリブデン、タンタル、マグネシウム、コバルト、ビスマス、カドミウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、マンガン、ベリリウム、クロム、ゲルマニウム、バナジウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、ニオブ、レニウム、タリウムの28の元素のことだと定義されている。この際、銅は貿易上では卑金属だが、化学的に見ると貴金属に分類される[11]。
活用
[編集]- アルミニウムは卑金属の中でも最も軽い元素で、航空機や自動車の製造に不可欠となっている[4][12]。
- 銅は高い電気伝導率と可鍛性から配管や電気配線に使われる最も一般的な金属となっている[12]。
- 亜鉛は空気にさらしても腐食しないため、鋼鉄の亜鉛めっきコーティングに使用されている[12]。
日本の卑金属
[編集]産出量が少なかったり、環境問題などから生産コストが見合わなかったりするため、日本は国内で消費される卑金属のほぼ100%を輸入に頼っている[13]。
参考文献
[編集]- ^ “Weblio和英辞書 - 「卑金属」の英語・英語例文・英語表現”. ejje.weblio.jp. 2020年10月20日閲覧。
- ^ 『広辞苑第七版』岩波書店、2018年。
- ^ 正人, 長原. “Cute.Guides: 資源: 鉱物資源”. guides.lib.kyushu-u.ac.jp. 2020年10月20日閲覧。
- ^ a b “軽量金属材料の基礎”. 2020年10月20日閲覧。
- ^ “買取のたくみや | 貴金属の豆知識”. www.tropesofthetimes.com. 2020年10月20日閲覧。
- ^ “さ「さ~そ・ざ~ぞ」意味|筑後市公式ホームページ”. www.city.chikugo.lg.jp. 2020年10月20日閲覧。
- ^ “腐食のメカニズムとめっき”. 2020年10月20日閲覧。
- ^ “耐食性”. www.jod.or.jp. 2020年10月20日閲覧。
- ^ 第2版,世界大百科事典内言及, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,世界大百科事典 第2版,大辞林 第三版,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版 日本国語大辞典,化学辞典. “卑金属とは”. コトバンク. 2020年10月20日閲覧。
- ^ a b “検定試験テキスト -貴金属取引の基礎知識- | 東京商品取引所”. www.tocom.or.jp. 2020年10月20日閲覧。
- ^ “貴金属と卑金属の境界はどこにあるのか?”. ライブドアニュース. 2020年10月20日閲覧。
- ^ a b c “ベースメタルとは”. www.netinbag.com. 2020年10月20日閲覧。
- ^ “世界の産業を支える鉱物資源について知ろう”. 経済産業省 資源エネルギー庁. 2020年10月20日閲覧。