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ペガスス座ラムダ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ペガスス座λ星
λ Pegasi
星座 ペガスス座
見かけの等級 (mv) 3.95[1]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  22h 46m 31.8778614s[2]
赤緯 (Dec, δ) +23° 33′ 56.356140″[2]
視線速度 (Rv) -4.15 km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: 55.75 ミリ秒/[2]赤緯: -10.15 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 8.93 ± 0.24ミリ秒[2]
(誤差2.7%)
距離 365 ± 10 光年[注 1]
(112 ± 3 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -1.3[注 2]
ペガスス座λ星の位置(丸印)
物理的性質
半径 29.19 ± 0.86 R[3]
質量 3.28 ± 0.28 M[3]
表面重力 0.1 G[3][注 3]
自転速度 8.03 km/s[4]
スペクトル分類 G8 IIIa CN1Ba0.3Hδ-1[1]
光度 379.2 ± 20.1 L[3]
表面温度 4,718 ± 31 K[3]
色指数 (B-V) 1.07[1]
色指数 (U-B) 0.91[1]
色指数 (R-I) 0.51[1]
金属量[Fe/H] -0.26 ± 0.10[3]
年齢 3.6 ± 1.0 ×108[3]
他のカタログでの名称
ペガスス座47番星, BD+22 4709, FK5 859, HD 215665, HIP 112440, HR 8667, IRC +20536, SAO 90775[2]
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ペガスス座λ星(ペガススざラムダせい、λ Pegasi、λ Peg)は、ペガスス座恒星である[5]見かけの等級は3.95と、肉眼でみえる明るさである[1]

特徴

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ヒッパルコス衛星が測定した年周視差を基に計算すると、ペガスス座λ星までの太陽からの距離は、およそ365光年である[2][注 1]。すぐ近くにみえて、見かけも似ているため、よく対として扱われるペガスス座μ星と比較すると、3倍以上遠方にある[5]

ペガスス座λ星は黄色巨星で、スペクトル型はG8 IIIa CN1Ba0.3Hδ-1に分類される[1]。ペガスス座λ星のスペクトルは、化学的な特異性を有し、似たような物理的性質を持つG型巨星のスペクトルと比べて、シアン(CN)吸収帯が強く、バリウムイオンの吸収線もやや強いことを、スペクトル型の添え字が表している[6]

ペガスス座λ星は、質量太陽のおよそ3倍、半径太陽の30倍近く、光度太陽のおよそ380倍に達する[3]。スペクトル型の似た、一般的な巨星と比較すると光度が高く、中には輝巨星に分類した例もあり、赤色巨星分枝よりも進化の後期段階にある水平分枝星と考えられている[7][3]。また、スペクトル型の似た他の恒星に比べると巨視的乱流が顕著で、スペクトルの吸収線は幅が広く浅くなっている[7]

名称

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アラビアでは、ペガスス座λ星とペガスス座μ星を合わせて、「秀でた者の幸運(の星)」を意味する saʽd al-bāriʽ という名前が付けられていた[8][注 4]

中国では、ペガスス座λ星は、「皇帝の住む宮殿」を意味する離宮拼音: Lì Gōng)という星官を、ペガスス座μ星、ペガスス座ο星英語版ペガスス座η星ペガスス座τ星ペガスス座ν星英語版と共に形成する。ペガスス座λ星自身は、離宮一拼音: Lì Gōng yī)、つまり離宮の1番星と呼ばれる[10]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b c パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
  3. ^ 出典での表記は、
  4. ^ この名前を元にした Sadalbari は、ペガスス座μ星の固有名として、国際天文学連合から承認されている[9]

出典

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  1. ^ a b c d e f g Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11), “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”, VizieR On-line Data Catalog: V/50, Bibcode1995yCat.5050....0H 
  2. ^ a b c d e f g h lam Peg -- High proper-motion Star”. SIMBAD. CDS. 2021年5月21日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i Reffert, Sabine; et al. (2015-02), “Precise radial velocities of giant stars. VII. Occurrence rate of giant extrasolar planets as a function of mass and metallicity”, Astronomy & Astrophysics 574: A116, Bibcode2015A&A...574A.116R, doi:10.1051/0004-6361/201322360 
  4. ^ Hekker, S.; Meléndez, J. (2007-12), “Precise radial velocities of giant stars. III. Spectroscopic stellar parameters”, Astronomy & Astrophysics 475 (3): 1003-1009, doi:10.1051/0004-6361:20078233 
  5. ^ a b Kaler, James B. (2009年10月23日). “SADALBARI (Lambda and Mu Pegasi)”. Stars. University of Illinois. 2021年5月21日閲覧。
  6. ^ Keenan, Philip C. (1987-10), “Spectral types and their uses”, Publications of the Astronomical Society of the Pacific 99: 713-723, Bibcode1987PASP...99..713K, doi:10.1086/132036 
  7. ^ a b Smith, G. (1998-11), “Stellar atmospheric parameters for the giant stars μ Pegasi and λ Pegasi”, Astronomy & Astrophysics 339: 531-536, Bibcode1998A&A...339..531S 
  8. ^ Kunitzsch, Paul; Smart, Tim (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Cambridge, MA: Sky & Telescope. p. 48. ISBN 978-1-931559-44-7 
  9. ^ Naming Stars”. IAU. 2021年5月21日閲覧。
  10. ^ 中國古代的星象系統 (68): 室宿天區”. AEEA 天文教育資訊網. 國立自然科學博物館 (2006年7月7日). 2021年5月21日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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座標: 星図 22h 46m 31.8778614s, +23° 33′ 56.356140″