ペデリン
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ペデリン | |
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(2S)-N-[(S)-[(2S,4R,6R)-6-[(2S)-2,3-dimethoxypropyl]-4-hydroxy-5,5-dimethyl-2-tetrahydropyranyl]-methoxymethyl]-2-hydroxy-2-[(2R,5R,6R)-2-methoxy-5,6-dimethyl-4-methylene-2-tetrahydropyranyl]acetamide | |
別称 Pederine | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 27973-72-4 |
PubChem | 5381287 |
日化辞番号 | J37.119J |
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特性 | |
化学式 | C25H45NO9 |
モル質量 | 503.63 g mol−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ペデリン(pederin)は、2つのテトラヒドロピラン環を持つ水泡を発生させる毒性アミドの1つである。アオバアリガタハネカクシ (Paederus fuscipes) を含むハネカクシ科Paederus属の甲虫の血リンパに含まれている。ペデリンは、2千5百万匹の採取されたアオバアリガタハネカクシを処理することで初めて同定された[1][2]。化合物名はこの昆虫の属名に由来する。ペデリンの含有量は昆虫(アオバアリガタハネカクシ)の体重のおよそ0.025%である[1]。
ペデリンの生産は、Paederus属昆虫内での内部共生生物(シュードモナス属)の活動によるものであることが明らかにされている[3]。
ペデリンの製造は概して雌の成虫のみに限られる。幼虫および雄は母親から(すなわち卵を通して)獲得するか、摂取したペデリンのみを貯蔵する[1]。
作用機序
[編集]ペデリンは、RNA合成に影響を与えることなくタンパク質ならびにDNAの合成を阻害することで[4]、1 ng/mLレベルで有糸分裂を阻害する。また、様々な腫瘍を持つマウスの寿命を延長することが示されている[3]。これらの理由から、抗がん治療薬候補化合物として興味が持たれている。
脚注
[編集]- ^ a b c Schofield S. (2008年7月16日). “Bugs Don’t Have to Bite to Do Damage:The Tale of the Paederus Beetle”. Canadian National Defense. 2011年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月16日閲覧。
- ^ Pavan M, Bo G (1953). “Pederin, toxic principle obtained in the crystalline state from the beetle Paederus fuscipes Curt.”. Physiol. Comp. Oecol. 3: 307–312.
- ^ a b Piel J (2002). “A polyketide synthase-peptide synthetase gene cluster from an uncultured bacterial symbiont of Paederus beetles”. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99 (22): 14002–14007. doi:10.1073/pnas.222481399. PMC 137826. PMID 12381784 .
- ^ Frank JH, Kanamitsu K (1987). “Paederus, Sensu Lato (Coleoptera: Staphylinidae): Natural History and Medical Importance”. J. Med. Entomol 24 (2): 155–191. PMID 3295241.
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- やけど虫の毒と抗がん活性 - たゆたえども沈まず-有機化学あれこれ
- 化学辞典 第2版『ペデリン』 - コトバンク