ホワッツ・ゴーイン・オン
『ホワッツ・ゴーイン・オン』 | ||||
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マーヴィン・ゲイ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
1970年6月 - 9月 1971年3月 - 5月 | |||
ジャンル | ソウルミュージック | |||
時間 | ||||
レーベル | モータウン | |||
プロデュース | マーヴィン・ゲイ | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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マーヴィン・ゲイ アルバム 年表 | ||||
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『ホワッツ・ゴーイン・オン』(What's Going on)とは、マーヴィン・ゲイが1971年に発表したスタジオ・アルバム。1971年発売時の日本版タイトルは『愛のゆくえ』。
背景
[編集]ゲイは当時、ベトナム戦争から帰還した弟から戦場の様子を聞き、反戦曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」をモータウンの専属作家のアル・クリーヴランド、フォー・トップスのメンバーのレナルド・ベンソンらと共に書き上げた。モータウンの社長ベリー・ゴーディは当初この曲を気に入らず、シングルとしてリリースすることに難色を示したが、ゲイはそれに対して、リリースしなければ残りの曲のレコーディングもしないと反論した[3]。そして、最終的には1971年1月20日、アルバムに先駆けてシングルとして発表され(B面は「ゴッド・イズ・ラヴ」)、Billboard Hot 100で2位、R&Bチャートでは1位を記録[1]。この曲のヒットを受けて、ゴーディは残りの曲のレコーディングを指示し、5月にアルバムが完成した[3]。
2曲目の「ホワッツ・ハプニング・ブラザー」は、タイトル曲に引き続き弟に捧げられた反戦歌で[4]、更にアルバムを通じて貧困、警察の横暴、ドラッグ問題、児童遺棄、都市の退廃、秩序不安といったアメリカの社会問題について言及されている[3]。タイトル・ナンバーのメロディが随所で再登場する構成も相まって、コンセプト・アルバムと呼べる内容である。また、ゲイは自分の表現を妥協せずに貫くべく、モータウンのアーティストとしては異例のセルフ・プロデュースに挑み、同時期にセルフ・プロデュースの路線にシフトしたスティーヴィー・ワンダーにも影響を与えている[5]。
反響・評価
[編集]セールス的にはポップ・アルバム・チャート6位[1]、R&Bアルバム・チャートでは9週連続1位という成功を収めた[4]。また、ゲイが射殺された1984年にも再度アルバム・チャート入りし、154位を記録している[1]。イギリスではリリース当時はヒットしなかったが、1998年に11週全英アルバムチャート入りを果たし、最高56位を記録した[2]。
アメリカ議会図書館は、2003年度の国立録音資料登録の一つとして本作を選出した[6]。
タイトル曲は『ローリング・ストーン(Rolling Stone)』誌の「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では4位、アルバムは『ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・ベストアルバム500』(2020年版:大規模なアンケートによる選出)では1位にランクされている[7]。また、2013年に『エンターテインメント・ウィークリー』誌が選出した『史上最も偉大なアルバム100』では13位となった[8]。
ジョン・ブッシュはオールミュージックにおいて本作に5点満点を付け「マーヴィン・ゲイの傑作というだけでなく、ソウルミュージックの中でも最も重要かつ激しいレコード」「シングルが支配的だったモータウンから登場した、圧倒的に優れたフル・レングス作品であり、ほぼ間違いなく至上最高のソウル・アルバム」と評している[9]。
収録曲
[編集]- Side 1
- ホワッツ・ゴーイン・オン(1971年発売時の邦題:愛のゆくえ) - What's Going on (Al Cleveland, Marvin Gaye, Renaldo Benson)
- ホワッツ・ハプニング・ブラザー(1971年発売時の邦題:友に何が起きるのか) - What's Happening Brother (M. Gaye, James Nyx)
- フライン・ハイ - Flyin' High (In the Friendly Sky) (M. Gaye, Anna Gaye, Elgie Stover)
- セイヴ・ザ・チルドレン(1971年発売時の邦題:御子に救いを) - Save the Children (A. Cleveland, M. Gaye, Renaldo Benson)
- ゴッド・イズ・ラヴ(1971年発売時の邦題:神の御前に) - God is Love (M. Gaye, A. Gaye, E. Stover, J. Nyx)
- マーシー・マーシー・ミー - Mercy Mercy Me (The Ecology) (M. Gaye)
- Side 2
- ライト・オン - Right on (Earl DeRouen, M. Gaye)
- ホーリー・ホーリー(1971年発売時の邦題:全知全能の神よ) - Wholy Holy (R. Benson, A. Cleveland, M. Gaye)
- イナー・シティ・ブルース(1971年発売時の邦題:無への叫び) - Inner City Blues (Make Me Wanna Holler) (M. Gaye, J. Nyx)
カバー
[編集]ダーティー・ダズン・ブラス・バンドは2006年、本作の全内容をカバーしたアルバム『ホワッツ・ゴーイング・オン』を発表した。また、アルバム収録曲に関しても様々なカバーが存在する。
- ホワッツ・ゴーイン・オン
- 上記項目を参照。
- セイヴ・ザ・チルドレン
- ダイアナ・ロス - アルバム『タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング』(1973年)に収録。
- マーシー・マーシー・ミー
- ジェシ・コリン・ヤング - アルバム『オン・ザ・ロード』(1976年)に収録。
- ロバート・パーマー - アルバム『ドント・エクスプレイン』(1990年)に収録。
- マイケル・マクドナルド - アルバム『モータウン2』(2004年)に収録。
- ボーイズIIメン - アルバム『モータウン〜ヒッツヴィルUSA』(2007年)に収録。
- ホーリー・ホーリー
- アレサ・フランクリン - ライブで歌唱。ゴスペル・ライブを収録したアルバム『至上の愛〜チャーチ・コンサート』(1972年)に収録。
- ジョン・レジェンド&ザ・ルーツ - アルバム『ウェイク・アップ!』(2010年)に収録。
- イナー・シティ・ブルース
- リー・リトナー - アルバム『ツイスト・オブ・モータウン』(2003年)に収録。
脚注
[編集]- ^ a b c d Marvin Gaye | Awards | AllMusic
- ^ a b MARVIN GAYE | full Official Chart History | Official Charts Company - 「Albums」をクリックすれば表示される
- ^ a b c Baskin, Richard (2011年7月). “Marvin Gaye 'What's Going On?'”. SOS Publications Group. 2015年11月25日閲覧。
- ^ a b Williams, Chris (2011年5月21日). “Marvin Gaye - What's Going On (1971): 40th Anniversary”. SoulCulture. 2015年11月25日閲覧。
- ^ Hogan, Ed. “What's Going On - Marvin Gaye - Song Info”. AllMusic. 2015年11月25日閲覧。
- ^ “2003 - National Recording Preservation Board”. Library of Congress (2004年3月4日). 2015年11月25日閲覧。
- ^ “Marvin Gaye, 'What's Going On' - 500 Greatest Albums of All Time”. Rolling Stone. 2015年11月25日閲覧。
- ^ “Entertainment Weekly's 100 Greatest Albums Ever”. Stereogum. SpinMedia (2013年6月28日). 2015年11月25日閲覧。
- ^ Bush, John. “What's Going On - Marvin Gaye”. AllMusic. 2015年11月25日閲覧。