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ホームランバー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ホームランバーは、協同乳業が製造販売するアイスクリームの商品名。九州地区向けには名糖産業が製造販売する。

歴史

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1920年に冨士食料品工業(現・冨士森永乳業)がアメリカ製アイスクリーム製造機を導入し、アイスクリームの生産を開始[1]。続いて極東練乳三島工場(現・明治)や自助園牧場(現・雪印メグミルク)などが続き、日本におけるアイスクリームの製造販売は広まっていった[1]

1930年代には、雪印からカップ入りのアイスクリームが販売され、多数のメーカーが後に続き、カップ入りアイスクリームも日本に普及することになる[1]

1955年協同乳業デンマークより、バータイプのアイスクリームの製造装置を日本で初めて輸入した[1]。この製造装置によってアイスクリームに棒を挿す作業や包装作業が機械化されたことで、1日に20万本の製造が可能となった[1]

上述のようにカップ入りバニラアイスクリームなどはすでにあったり、駄菓子屋でも販売されていたわけだが「子供が保護者に買ってもらう」ような価格帯であり、「子供が小銭で買う」ような身近な商品とは言えなかった[2]。協同乳業から発売された「アイスクリームバー」は、ちょっと高めの菓子であるアイスクリームが棒付きになったことを示す直截的なネーミングであっただけではなく、子供が小銭で買えるという唯一無二の商品のバニラアイス、かき氷系の氷菓と同価格帯の商品ということもあって、人気を集めた[2]。協同乳業の日本橋工場は当時、ガラス張りで製造工程が外から見えることもあり、近隣の子供たち間で人気スポットとなった[2][3]

1960年代になると名称を「ホームランバー」と名を換え[4][2][3]、アイスクリームとしては日本で初めてとなる当たりくじを付け、長嶋茂雄を広告に起用し、1本10円という低価格と相まって空前の大ヒットとなる[1]。協同乳業に倣い、他メーカーも製造機械を導入したことで、日本の棒アイスの工場生産は急伸することになる[1]

「ホームランバー」は防水性が高いこと、普通の紙よりも角がシャープに折れること、アイス本体にくっつきづらいという理由から銀紙で包装された[4]。当たりくじは、白樺の棒に焼き印が施されており、焼き印が「ホームラン」だともう1本もらえて、「ヒット」の焼き印は3本集めるともう1本と交換できた[4]

長嶋茂雄を起用した店頭ポスターは盗難被害も相次いだ[3]

1960年代中盤からは、小売店に冷凍ショーケースが普及し始めたこともあり、各メーカーからも様々な棒アイスが発売されてゆくことになる[4]

1970年代中の短期間だけ、棒が木製ではなくプラスチック製だったことがある[2]

1990年には、内容をグレードアップした「ツーランホームランバー」[5](後の「プレミアムホームランバー」)に切り替えられた。また、同年、協同乳業が販売するホームランバーも名糖産業が製造する事となった。

当たりくじとキャンペーン

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上述のように「ホームラン」だと同じ商品がもう1本もらえ、「ヒット」3本でももう1本もらえるほかに「満塁ホームラン」だと野球盤がもらえるといったものもあった[3]

1980年代にはスピードガンラジコンカーが抽選で当たるキャンペーンも実施された[3]。このようなキャンペーンが開催される直前にはテレビコマーシャルも放映されていた[2]

パッケージとキャラクター

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パッケージデザインは和田誠によるもの[3]

パッケージそのものは発売以来、何度もリニューアルされているが、野球少年を描いたデザインは共通である[3]。描かれている野球少年は協同乳業、名糖産業の社内外から「ホームラン坊や」と通称されていたが、2005年より正式なブランディング施策を行うことになり「あたるくん」が正式名称となった[3]

あたるくん

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2005年の12代目より商品キャラクターとして公式に定められた[3]。以下のような設定がある[3]

性別
男の子
年齢
9歳
誕生日
5月10日(メイトーの日)
出身地
東京都板橋区大山
趣味
野球、アイスのスティック集め、ゲーム、散歩
特技
バットぐるぐるダッシュ、バント
性格
わんぱく坊や、目立ちたがり屋、おっちょこちょい
好きな食べ物
ホームランバーのバニラ味、エビフライ、「なめらかプリン」(メイトー)

商品ラインナップ

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  • 協同乳業
    • ホームランバー - バニラ&チョコ(10本入り)、プチパリチョコ(10本入り)、ソーダフロート(季節限定、10本入り)、袋詰め(10本入り)、シャキッとバニラ(広島東洋カープver、阪神タイガースver)、
    • プレミアムホームランバー - 濃厚バニラ、大きくなった濃厚バニラin、クッキー&クリーム、バニラ&チョコ(6本入り)
    • ホームランバーNEO - 濃厚バニラ、甘熟メロンミルク
    • ファミリーマートコレクション - バニラ、いちご
    • ホームランモナカ - バニラ&チョコ(5個入り)
  • 名糖産業
    • ホームランバー - バニラ、チョコ、チョコチップいちご、袋詰め(10本入り)
    • ビッグホームラン - 一回り大きいホームランバーで、販売価格も2倍。スティックは木製ではなくプラスチック製[2]

出典

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  1. ^ a b c d e f g アイスマン福留 (2022年9月6日). “バニラにかき氷、棒アイスにコーン系! 名作揃いの“昭和アイス”が生まれた日”. 日本自動車連盟. 2024年10月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 初見健一「ホームランバー」『まだある。大百科お菓子編 :今でも買える昭和のロングセラー図鑑』大空出版、2008年、111-117頁。ISBN 978-4903175195 
  3. ^ a b c d e f g h i j 『日本カンパニーキャラ&シンボル大全』辰巳出版、2021年、106-109頁。ISBN 978-4777828326 
  4. ^ a b c d 串間努. “第2回「名糖ホームランバー」の巻”. まぼろしチャンネル. 2024年10月27日閲覧。
  5. ^ 綱島理友『お菓子帖』マガジンハウス、1991年、111頁。ISBN 4-8387-0256-6 

外部リンク

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