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ポンスレの閉形定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
n = 3におけるポンスレの閉形定理。2円にそれぞれ内接、外接する三角形は無数にある。

幾何学において、ポンスレの閉形定理(ポンスレのへいけいていり、: Poncelet's closure theorem, Poncelet's porism)または単にポンスレの定理は、二つの円錐曲線にそれぞれ外接英語版内接する多角形が1つでも存在すれば、そのような多角形は無数に存在するという定理である[1][2][3][4][5][6]。1746年、ウィリアム・チャップル英語版 が三角形の場合を証明し、1822年、ポンスレが一般の場合を解決した[7][8][9]

主張

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C,Dを二つの円錐曲線とする。3以上の整数nについて、あるn角形Cに外接する(多角形の頂点すべてがC上にある)かつDに内接する(多角形のすべてがD接する)ならば、同様にCに外接しDに内接するn角形を無数に見つけることができる[10]CまたはD上の任意の点はそのような多角形の接点になり得る。

C,Dがともにならばこの多角形は双心多角形と呼ばれる。双心多角形はPoncelet's porismの一部である[11]:p. 94

証明の概要

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C,D複素射影平面英語版 P2上の曲線として見る。簡単のため、C,Dは単純な交点を持つとする(非特異一般の位置英語版にある)。このときベズーの定理よりC,Dの交点は4つ存在する。点cを通るDの接線dの接点をd(c,d)をもつC×Dの部分代数多様体Xをとする。cCDならばdは1つ、でなければ2つ存在する。したがって射影XC P1は、Xを4点以上で分岐した位数2の自己同型で表す。つまりX楕円曲線である。 (c,d)を同一座標上の点(c,d' )へ移すX対合とする。不動点をもつ楕円曲線の対合は、として、xp - xと表現されるので、もこの形式となる。同様に射影XDも、C,Dの4つの共通接線Dの接点で分岐した位数2の自己同型であり、対合xq - xと一致する。したがって合成写像Xへの変換を表す。のべきが不動点を持つならば、そのべきはその点で恒等写像である必要がある。C,Dに言い換えると、(対応するdの存在する)ある点cCが閉じた軌道をつくる(つまりn角形を作る)ならば、すべての点が不動であるということである。C,Dが退化した場合は極限を取ることで導かれる。

空間への拡張

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1880年、フルヴィッツ(Hurwitz)は次のように空間へ一般化した[12]

2つの空間三次曲線にそれぞれ内接・外接するような四面体が、2つでもあれば、そのような四面体は無数に存在する。

他に1901,1904年にフォントネーに論じられ、1928年にフランツ・マイヤー(Franz Meyer)に双対を証明された、次のようなものもある。

与えられた空間三次曲線に内接し、二次曲面に外接する四面体は、一般に1つ存在し、2つ存在するならば、そのような四面体は無数に存在する。

関連

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出典

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  1. ^ King, Jonathan L. (1994). “Three problems in search of a measure”. Amer. Math. Monthly 101: 609–628. doi:10.2307/2974690. http://www.maa.org/programs/maa-awards/writing-awards/three-problems-in-search-of-a-measure-0. 
  2. ^ Weisstein, Eric W.. “Poncelet's Porism” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年7月10日閲覧。
  3. ^ 有賀, 雅雪、アルガ, マサユキ「ポンスレの定理について」2013年7月1日。 
  4. ^ Komori, Yohei、小森, 洋平「ポンスレの定理について」2014年3月25日。 
  5. ^ Arthur Holshouser, Stanislav Molchanov, and Harold Reiter (2016). “Applying Poncelet’s Theorem to the Pentagon and the Pentagonal Star”. Forum Geometricorum 16: 141-149. https://web.archive.org/web/20221206154929/https://forumgeom.fau.edu/FG2016volume16/FG201619.pdf. 
  6. ^ Arthur Holshouser, Stanislav Molchanov, and Harold Reiter (2026). “ASpecial Case of Poncelet’s Problem”. Forum Geometricorum 16: 151–170. https://web.archive.org/web/20221205190148/https://forumgeom.fau.edu/FG2016volume16/FG201620.pdf. 
  7. ^ Poncelet, Jean-Victor (1865) [1st. ed. 1822] (フランス語). Traité des propriétés projectives des figures; ouvrage utile à ceux qui s'occupent des applications de la géométrie descriptive et d'opérations géométriques sur le terrain (2nd ed.). Paris: Gauthier-Villars. pp. 311-317. https://archive.org/details/traitdespropri01poncuoft/page/n486/mode/1up 
  8. ^ Del Centina, Andrea (2016), “Poncelet's porism: a long story of renewed discoveries, I”, Archive for History of Exact Sciences 70 (1): 1–122, doi:10.1007/s00407-015-0163-y, MR3437893 
  9. ^ FG200102index”. web.archive.org (2023年1月27日). 2024年7月11日閲覧。
  10. ^ Mirko Radi´c (2004). “Extreme Areas of Triangles in Poncelet’s Closure Theorem”. Forum Geometricorum 4: 23–26. https://web.archive.org/web/20240516134333/https://forumgeom.fau.edu/FG2004volume4/FG200403.pdf. 
  11. ^ Johnson, Roger A. (2013-01-08) (英語). Advanced Euclidean Geometry. Courier Corporation. ISBN 978-0-486-15498-5. https://books.google.co.jp/books/about/Advanced_Euclidean_Geometry.html?id=559e2AVvrvYC&redir_esc=y 
  12. ^ 窪田忠彦『初等幾何学特選問題』共立社書店、1932年、85-94頁。NDLJP:1211458 


  • Bos, H. J. M.; Kers, C.; Oort, F.; Raven, D. W. "Poncelet's closure theorem". Expositiones Mathematicae 5 (1987), no. 4, 289–364.

外部リンク

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