ポンスレの閉形定理
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幾何学において、ポンスレの閉形定理(ポンスレのへいけいていり、英: Poncelet's closure theorem, Poncelet's porism)または単にポンスレの定理は、二つの円錐曲線にそれぞれ外接、 内接する多角形が1つでも存在すれば、そのような多角形は無数に存在するという定理である[1][2][3][4][5][6]。1746年、ウィリアム・チャップル が三角形の場合を証明し、1822年、ポンスレが一般の場合を解決した[7][8][9]。
主張
[編集]C,Dを二つの円錐曲線とする。3以上の整数nについて、あるn角形がCに外接する(多角形の頂点すべてがC上にある)かつDに内接する(多角形の辺すべてがDと接する)ならば、同様にCに外接しDに内接するn角形を無数に見つけることができる[10]。CまたはD上の任意の点はそのような多角形の接点になり得る。
C,Dがともに円ならばこの多角形は双心多角形と呼ばれる。双心多角形はPoncelet's porismの一部である[11]:p. 94。
証明の概要
[編集]C,Dを複素射影平面 P2上の曲線として見る。簡単のため、C,Dは単純な交点を持つとする(非特異で一般の位置にある)。このときベズーの定理よりC,Dの交点は4つ存在する。点cを通るDの接線ℓdの接点をd、(c,d)をもつC×Dの部分代数多様体をXをとする。c∈C∩Dならばdは1つ、でなければ2つ存在する。したがって射影X → C ≃ P1は、Xを4点以上で分岐した位数2の自己同型で表す。つまりXは楕円曲線である。 (c,d)を同一座標上の点(c,d' )へ移すXの対合をとする。不動点をもつ楕円曲線の対合は、群として、x→p - xと表現されるので、もこの形式となる。同様に射影X → Dも、C,Dの4つの共通接線とDの接点で分岐した位数2の自己同型であり、対合はx→q - xと一致する。したがって合成写像はXへの変換を表す。のべきが不動点を持つならば、そのべきはその点で恒等写像である必要がある。C,Dに言い換えると、(対応するdの存在する)ある点c∈Cが閉じた軌道をつくる(つまりn角形を作る)ならば、すべての点が不動であるということである。C,Dが退化した場合は極限を取ることで導かれる。
空間への拡張
[編集]1880年、フルヴィッツ(Hurwitz)は次のように空間へ一般化した[12]。
2つの空間三次曲線にそれぞれ内接・外接するような四面体が、2つでもあれば、そのような四面体は無数に存在する。
他に1901,1904年にフォントネーに論じられ、1928年にフランツ・マイヤー(Franz Meyer)に双対を証明された、次のようなものもある。
与えられた空間三次曲線に内接し、二次曲面に外接する四面体は、一般に1つ存在し、2つ存在するならば、そのような四面体は無数に存在する。
関連
[編集]出典
[編集]- ^ King, Jonathan L. (1994). “Three problems in search of a measure”. Amer. Math. Monthly 101: 609–628. doi:10.2307/2974690 .
- ^ Weisstein, Eric W.. “Poncelet's Porism” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年7月10日閲覧。
- ^ 有賀, 雅雪、アルガ, マサユキ「ポンスレの定理について」2013年7月1日。
- ^ Komori, Yohei、小森, 洋平「ポンスレの定理について」2014年3月25日。
- ^ Arthur Holshouser, Stanislav Molchanov, and Harold Reiter (2016). “Applying Poncelet’s Theorem to the Pentagon and the Pentagonal Star”. Forum Geometricorum 16: 141-149 .
- ^ Arthur Holshouser, Stanislav Molchanov, and Harold Reiter (2026). “ASpecial Case of Poncelet’s Problem”. Forum Geometricorum 16: 151–170 .
- ^ Poncelet, Jean-Victor (1865) [1st. ed. 1822] (フランス語). Traité des propriétés projectives des figures; ouvrage utile à ceux qui s'occupent des applications de la géométrie descriptive et d'opérations géométriques sur le terrain (2nd ed.). Paris: Gauthier-Villars. pp. 311-317
- ^ Del Centina, Andrea (2016), “Poncelet's porism: a long story of renewed discoveries, I”, Archive for History of Exact Sciences 70 (1): 1–122, doi:10.1007/s00407-015-0163-y, MR3437893
- ^ “FG200102index”. web.archive.org (2023年1月27日). 2024年7月11日閲覧。
- ^ Mirko Radi´c (2004). “Extreme Areas of Triangles in Poncelet’s Closure Theorem”. Forum Geometricorum 4: 23–26 .
- ^ Johnson, Roger A. (2013-01-08) (英語). Advanced Euclidean Geometry. Courier Corporation. ISBN 978-0-486-15498-5
- ^ 窪田忠彦『初等幾何学特選問題』共立社書店、1932年、85-94頁。NDLJP:1211458。
- Bos, H. J. M.; Kers, C.; Oort, F.; Raven, D. W. "Poncelet's closure theorem". Expositiones Mathematicae 5 (1987), no. 4, 289–364.
外部リンク
[編集]- David Speyer on Poncelet's Porism
- D. Fuchs, S. Tabachnikov, Mathematical Omnibus: Thirty Lectures on Classic Mathematics
- Interactive applet by Michael Borcherds showing the cases n = 3, 4, 5, 6, 7, 8 (including the convex cases for n = 7, 8) made using GeoGebra.
- Interactive applet by Michael Borcherds showing Poncelet's Porism for a general Ellipse and a Parabola made using GeoGebra.
- Interactive applet by Michael Borcherds showing Poncelet's Porism for 2 general ellipses (order 3) made using GeoGebra.
- Interactive applet by Michael Borcherds showing Poncelet's Porism for 2 general ellipses (order 5) made using GeoGebra.
- Interactive applet by Michael Borcherds showing Poncelet's Porism for 2 general ellipses (order 6) made using GeoGebra.
- Java applet showing the exterior case for n = 3 at National Tsing Hua University.
- Article on Poncelet's Porism at Mathworld.