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マリウス・セスティエ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
Marius Sestier
生誕 Marius Ely Joseph Sestier
(1861-08-08) 1861年8月8日
フランスの旗 フランス ドローム県ソゼ
死没 1928年11月8日(1928-11-08)（67歳没）
フランスの旗 フランス ドローム県ソゼ
職業 撮影監督、薬剤師
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マリウス・イーリー・ジョゼフ・セスティエ（Marius Ely Joseph Sestier、1861年9月8日 - 1928年11月8日）[1]は、フランスの撮影監督。セスティエはオーストラリアで制作した作品で最もよく知られており、オーストラリア最初期の映画作品をいくつか撮影した。

ドローム県ソゼ（英語版）に生まれたセスティエは、リヨンで薬学を学び[2]、薬剤師の仕事をしていた[1]。彼は初期の映画製作者であるリュミエール兄弟（オーギュストとルイ・リュミエール）に雇われ、フランス国外でシネマトグラフのデモンストレーションをおこなった[3]。このため彼は、1896年6月にインドに赴き[4]、1896年7月7日にボンベイのワトソンズ・ホテル（英語版）で、リュミエール兄弟が制作した6本の短編映画を披露したが[2][5]、これはインドで動画が上映された最初の機会であった[6]。セスティエはボンベイ滞在中に自ら映画の撮影もしたが、フランスの税関が未現像のフィルムのパッケージを開けたため、リュミエール兄弟はこれらの映画の品質に満足せず、カタログに掲載しなかった[7]。

インドでの仕事を完了した後、セスティエはシドニーに赴き、当地でフィルムの現像ができる暗室を構えていたオーストラリアの写真家ヘンリー・ウォルター・バーネット（英語版）と出会った[8]。

1896年9月、セスティエとバーネットは、チャールズ・ウェストマコット (Charles Westmacott) とともに、シドニーのピット・ストリート（英語版）にオーストラリア初の映画館サロン・リュミエール (Salon Lumière) を開設した[9][10][11]。セスティエとバーネットは、自分たちで独自の映画作品を制作し始め、まず最初にマンリー（英語版）に到着したフェリー PS Brighton から下船する乗客たちの姿を捉えた短編映画を作ったが、これはオーストラリアで最初に撮影され、上映された映画となった[12]。セスティエとバーネットは、シドニーとメルボルンで19本ほどの映画を共同して制作したが[12]、中でも特筆すべきなのは1896年のメルボルンカップの競馬であった。この呼び物となった映画は、時系列順に表示される1分間の映画10本で構成され（当時のカメラの制約により、映画を分割する必要があった）[3]、1896年11月19日にメルボルンのプリンセス劇場（英語版）で初公開され[13]、セスティエはその際に講演もおこなった。その模様は、『ジ・エイジ』紙や『ザ・ブレティン（英語版）』誌といったオーストラリアのマスコミで取り上げられ、また、オーストラリアで最初の映画制作として言及されてきている[3]。

バーネットとのビジネス・パートナーシップが終了した後も、セスティエはオーストラリアを巡回し続け、1897年5月までシネマトグラフのデモンストレーションと映画の上映を続けた。フランスに戻った後、彼はリュミエール特許会社の取締役になった[4]。

フィルモグラフィ

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オーストラリア

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タイトル キャスト ジャンル 注記
1896年　シドニー
Passengers Alighting from Ferry Brighton at Manly 短編ドキュメンタリー 11月24日 IMDb
New South Wales Horse Artillery in Action 短編ドキュメンタリー 11月24日 IMDb
Patineur Grotesque 短編コメディ IMDb
1896年　メルボルン
Victoria Derby Lady Brassey[14] スポーツ・ドキュメンタリー 10月31日撮影[4]
The Melbourne Cup Henry Walter Barnett, Lord Brassey スポーツ・ドキュメンタリー 11月24日 IMDb

脚注

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  1. ^ a b Raynal, Cécile (April 2010). “Un pharmacien des Lumière: Marius Sestier (1861–1928)”. Revue d'Histoire de la Pharmacie (Société d'Histoire de la Pharmacie) 58 (365): 7–30. http://cat.inist.fr/?aModele=afficheN&cpsidt=22555260 10 March 2014閲覧。.  Extract at Sauzet en Drôme Provençale.
  2. ^ a b 永冶日出雄「インドにおける映画興行の伝来と映画製作の黎明 シネマトグラフの世界的浸透(その6)」『愛知教育大学研究報告 (人文・社会科学編)』第48号、1999年、78頁。 
  3. ^ a b c FitzSimons, Trish; Laughren, Pat; Williamson, Dugald (2011). Australian Documentary: History, Practices and Genres. Melbourne: Cambridge University Press. pp. 33–34. ISBN 9780521167994. https://books.google.com/books?id=v1_p2BdHjLUC&pg=PA33 
  4. ^ a b c “Marius Sestier”. Who's Who of Victorian Cinema (February 2010). 10 March 2014閲覧。
  5. ^ Kumar, Anuj (15 February 2013). “Indian cinema one of the most generous in the world today”. The Hindu. http://www.thehindu.com/todays-paper/tp-national/tp-newdelhi/indian-cinema-one-of-the-most-generous-in-the-world-today/article4417071.ece 10 March 2014閲覧。 
  6. ^ Ganti, Tejaswini (2011). Bollywood: A Guidebook to Popular Hindi Cinema. New York: Routledge. p. 6. ISBN 9780415583848. https://books.google.com/books?id=2GAdCp1VAf0C&pg=PA6 
  7. ^ Barnouw, Erik (1993). Documentary: A History of the Non-fiction Film (2nd revised ed.). New York: Oxford University Press. p. 15. ISBN 0195078985. https://archive.org/details/documentaryhisto00barn 
  8. ^ “The meeting of Marius Sestier and H. Walter Barnett”. apex net au tmj (2020年). 21 October 2020閲覧。
  9. ^ “Barnett, Henry Walter (1862–1934)”. Australian Dictionary of Biography. National Centre of Biography, Australian National University (1979年). 21 October 2020閲覧。
  10. ^ “Westmacott, Charles Babington (1864–1934)”. Australian Dictionary of Biography. National Centre of Biography, Australian National University (1990年). 21 October 2020閲覧。
  11. ^ “Marius Sestier Collection”. Australia: National Film and Sound Archive. 10 March 2014閲覧。
  12. ^ a b Jackson, Sally (1 September 2010). “Patineur Grotesque: Marius Sestier and the Lumière Cinématographe in Australia, September–November 1896”. Screening the Past. La Trobe University. 10 March 2014閲覧。
  13. ^ Jackson, Sally (1 November 2013). “Melbourne Cup fashion, 1896”. Australia: National Film and Sound Archive. 11 March 2014閲覧。
  14. ^ “DERBY DAY.”. The Argus (Melbourne) (Victoria, Australia) (15,707): p. 5. (2 November 1896). http://nla.gov.au/nla.news-article9164908 15 October 2020閲覧。 

外部リンク

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