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マルバコンロンソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マルバコンロンソウ
宮城県亘理郡 2017年4月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: アブラナ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: タネツケバナ属 Cardamine
: マルバコンロンソウ
C. tanakae
学名
Cardamine tanakae Franch. et Sav. ex Maxim. (1873)[1]
シノニム
和名
マルバコンロンソウ(丸葉崑崙草)[3](円葉崑崙草)[4]

マルバコンロンソウ(丸葉崑崙草、円葉崑崙草、学名: Cardamine tanakae)は、アブラナ科タネツケバナ属越年草[3][4][5]または短命な多年草[5]。別名、マルバノコンロンソウ[1]

特徴

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根茎はない。は直立し、白色の長毛が多く、上部は分枝して高さ5-20cmになる。根出葉は少なくて小さい。茎につくは数個が互生し、葉柄があり、葉柄の基部が小さい耳状に広がって茎を抱く。茎葉は中部のものが最大となり、長さ2-12cmになる。葉身は奇数羽状複葉になり、小葉は1-7個あって短い小葉柄があり、基部は心形、縁は鈍鋸歯となる。側小葉は卵形で小さく、頂小葉は円形から円腎形、ときに卵形になり、長さ0.7-3cmとなり、大きい。葉の両面ともに毛が生える[3][4][5]

花期は4-6月。茎先に短い総状花序をつけ、密に毛が生え、白色の十字形の4弁花を数個つける。萼片は楕円状へら形で長さ2mm、外片に白色の毛が密生する。花弁は倒卵形で、長さ5-7mm。雄蕊は6個のうち4個が長い。雌蕊は1個。果実長角果で斜上してつき、広線形で細毛が密に生え、長さ1.6-2.5cm、径1-1.2mmになる。果柄は長さ5-10mmになる。長角果が熟すると果皮が2片に裂開し、種子を弾き飛ばす。種子は長さ約1.2mmになる[3][4][5]

分布と生育環境

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日本では、本州、四国、九州に分布し、山地の木陰などに生育する[3][4][5]。国外では済州島など韓国にも分布する[5]

名前の由来

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和名マルバコンロンソウは、「丸葉崑崙草」[3]、「円葉崑崙草」の意[4]

種小名(種形容語)tanakae は、博物学者で、明治期の殖産に功績のあった田中芳男への献名[6]

種の保全状況評価

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国(環境省)のレッドデータブックレッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[7]。岩手県-Bランク、千葉県-重要保護生物(B)、鹿児島県-絶滅危惧II類。

利用

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タネツケバナ属はすべて食べることができる。植物生態学者で『食べられる野生植物大事典』の著者である橋本郁三は、「ゆでて食べてもいいが,天ぷらの一品に加えたい」としている[8]

分類

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同属のオオマルバコンロンソウ C. arakiana が本種に似る。同種は肥厚する根茎をもつ多年草で、背は10-40cmと高く、根出葉の頂小葉の径は1.5-5cmと大きくなる。葉柄の基部は耳状にならない。また、長角果は無毛である。国(環境省)の絶滅危惧IB類(EN)に選定されており、分布域が限られており本州西部にまれに見られる。一方、本種は越年草または短命な多年草で、全体に毛が多く、高さ5-20cm、根出葉は小さいが茎葉の頂小葉の長さは0.7-3cmとなる。葉柄の基部は耳状になって茎を抱く。長角果に密に毛が生える。本州、四国、九州に分布する[4][5][9]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b マルバコンロンソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ Cardamine tanakae, Synonyms, The World Flora Online
  3. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.357
  4. ^ a b c d e f g 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.822
  5. ^ a b c d e f g 米倉浩司 (2017)「アブラナ科タネツケバナ属」『改訂新版 日本の野生植物 4』pp.55, 57-58
  6. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1516
  7. ^ マルバコンロンソウ、日本のレッドデータ検索システム、2023年3月4日閲覧
  8. ^ 『食べられる野生植物大事典(草本・木本・シダ)』pp.180-182
  9. ^ 狩山俊悟 (2017)『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプランツ 増補改訂新版』p.338

参考文献

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外部リンク

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