マルバハタケムシロ
マルバハタケムシロ | |||||||||||||||||||||
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マルバハタケムシロの集団(筑波実験植物園)
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Lobelia loochooensis Koidz.[1][2] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
マルバハタケムシロ |
マルバハタケムシロ(丸葉畑蓆[3]、学名:Lobelia loochooensis)は、キキョウ科ミゾカクシ属の植物[2]。小形の多年生植物で[1][4]、琉球諸島の固有種である[1][4][5]。絶滅危惧IB類に指定されている[2][5][6]。
特徴
[編集]日本に自生するミゾカクシ属6種のうちの1種である[7]。小形で多年生の草本であり[1][2][4]、全体的に無毛[1][2]の常緑植物である[2]。
枝は四方に広がって張り出し[1]、分枝して地上を這う[2][4]。葉は互生葉序である[1][2]。葉の数は多く、円形から倒円形をし、長さ6 mm[1][8]、幅5 mmほど[1]、やや多肉質で[1][4]光沢を持つ[4]。葉縁は全縁あるいはやや鋸歯が出る[2]。葉柄は短い[1][2]が、やや長くなることもある[2]。花柄は上を向くが、結果時には倒伏する[2]。
花は茎の先端に咲き、白色[1][2]または淡紫色で[2]長さ8 - 9 mmほどである[4]。初夏から秋にかけて開花し、花を維持する[4]。萼は5つに分かれ、裂片は線状楔形で、長さ3 mmほどである[1]。花冠・葯はともに無毛である[1]。種子は卵型で網目模様があり、長さは0.4 mmである[2]。染色体数は2n=14[2]。
近縁種との関係
[編集]日本の固有種であるが、本種が蒴果を付けるという点を除けば、オセアニアのヒプセラ節の種(Hypsela)の植物とよく似ている[4][9]。分子系統解析の結果、マルバハタケムシロはオーストラリアの近縁種から分化したと推定されている[2][9]。同研究では、マルバハタケムシロは台湾やマレーシアのヒプセラ節の種の植物とは直接的な関係はなく、オセアニアの中でもニュージーランドの種よりオーストラリアの種と近縁であることが明らかとなり、隔離分布であることが示された[9]。
サクラダソウやミゾカクシとは小形の多年草であること、種子の外壁が丸く扁平な細胞でできていること、葯の先に大きな突起が2つあるなど、共通点が多い[4]。和名のマルバハタケムシロは、文字通り「丸みを帯びた葉を持つハタケムシロ」という意味であり、ハタケムシロはミゾカクシの別称である[3]。
分布と保護
[編集]海岸沿いの風衝地[2]、岩場で清水の湧き出る特殊な環境下に生育する[5]。奄美大島、沖縄本島、久米島に分布する固有種であるとされる[1]。ただし沖縄本島(南部[2])は開発によって絶滅した[3]。久米島でも絶滅したと考えられてきたが、再発見されている[3][5]。『朝日百科 植物の世界』では奄美大島・久米島だけに分布が知られる、と記載している[4]。学名のloochooensisは「琉球の」という意味である[3]。
日本の環境省が発行する2019年版のレッドリストでは、マルバハタケムシロは絶滅危惧IB類(EN)に分類されている[6]。2007年のレッドリスト選定時の調査では、奄美大島の名瀬東部・名瀬西部・古仁屋、久米島のはての浜で生育が確認されている[10]。都道府県レベルでは、鹿児島県と沖縄県が絶滅危惧I類(CR+EN)に指定している[11]。
絶滅危惧IB類 (EN)(環境省レッドリスト)
沖縄県の海洋博覧会記念公園管理財団(現・沖縄美ら島財団)都市緑化植物園は、屋上緑化資材として沖縄の在来種など25種が利用できるかどうかの実験を行い、その1種にマルバハタケムシロが選ばれたが、2003年9月の実験開始から2か月で枯死してしまい、屋上緑化資材には不向きと判定された[12]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 初島・中島 1979, p. 315.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 大橋ほか 編 2017, p. 193.
- ^ a b c d e “GKZ植物事典・マルバハタケムシロ(丸葉畑蓆)”. 2019年8月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 邑田 1997, p. 54.
- ^ a b c d “マルバハタケムシロ”. おすすめコンテンツ >> 植物図鑑. 筑波実験植物園. 2019年8月13日閲覧。
- ^ a b “環境省レッドリスト2019”. 環境省. 2019年7月9日閲覧。
- ^ 大橋ほか 編 2017, p. 192.
- ^ 大橋ほか 編 2017, pp. 192–193.
- ^ a b c 國府方吾郎 (2011年5月27日). “沖縄群島小島嶼に分布する絶滅危惧植物の固有性解明と保全”. 2019年8月13日閲覧。
- ^ “RL/RDB / 公開種メッシュ一覧/マルバハタケムシロ”. 生物情報 収集・提供システム いきものログ. 環境省・生物多様性センター. 2019年8月13日閲覧。
- ^ “日本のレッドデータ検索システム/マルバハタケムシロ”. NPO法人野生生物調査協会とNPO法人Envision環境保全事務所. 2019年8月13日閲覧。
- ^ 宮里政智. “沖縄における屋上緑化資材(植物)に関する調査”. 海洋博覧会記念公園管理財団都市緑化植物園. 2019年8月13日閲覧。
参考文献
[編集]- 大橋, 広好、門田, 裕一、木原, 浩 ほか 編『改訂新版 日本の野生植物 5 ヒルガオ科〜スイカズラ科』平凡社、2017年9月20日、474頁。ISBN 978-4-582-53535-8。
- 初島住彦、中島邦雄『琉球の植物』講談社、1979年5月30日、368頁。全国書誌番号:79021538
- 邑田仁 著「サワギキョウ」、週刊百科編集部 編『朝日百科 植物の世界 2 種子植物 双子葉類2』朝日新聞社、1997年10月1日、52-56頁。ISBN 4-02-380010-4。