ミズナ
ミズナ | ||||||||||||||||||||||||
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ミズナ
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Brassica rapa L. var. nipposinica (L.H.Bailey) Kitam. (1985)[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
ミズナ キョウナ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Potherb Mustard Mizuna |
ミズナ(水菜[3]、学名: Brassica rapa var. nipposinica)は、アブラナ科の越年草。学名が示す通り、植物学的には、アブラナやカブなどと同種である。また、同種同変種にミブナがある。京都を中心に栽培されている漬け菜の一種[3]。別名で、キョウナ(京菜)[4][5]、ヒイラギナ[6](柊菜)、センスジナ(千筋菜)[4][5]、センボンナ(千本菜)[5]、センスジキョウナ(千筋京菜)[5]、イトナ(糸菜)[4]などがある。またキョウナを標準和名として用いている図鑑も多い[† 1]。
名称と来歴
[編集]和名ミズナの名の由来は、堆肥などを使用せず、流水(清流)を畦間に引き入れて栽培するため「水菜」の名がある[4][5][7]。江戸時代の『雍州府志』(貞享3年、1686年)に「水菜」として記載されていて、すでに京都西南部の東寺・九条付近で栽培されていた[4]。もともとは京都で栽培され、鍋物や漬物にする京野菜であったが、現在では日本全国に「ミズナ」の名で知られるようになった[8]。
関西地方では、発祥の地からキョウナ(京菜)ともよばれる[7]。また、茎の分枝が多く葉も数百枚にも及ぶことからセンボンナ(千本菜)[3][9]、センスジナ(千筋菜)[3][9]などともよぶ。ほかにヒイラギナ(柊菜)[3]などの別名もある。
形態
[編集]越冬して栽培する一年生植物で、微かに白粉を帯びる[4]。根はあまり肥大せず、細い根葉を多数生じ[4]、株の大きなものは、1株から500本以上もの葉が出る[3]。形は狭い長形で多数の細かい鋭片に分裂した葉をつける。分蘖は旺盛で[4]、濃緑色のギザギザした葉が何十枚にも分蘖する[5]。葉茎の基部は耳状にならないが茎を抱く[4]。花は萌黄色で直径1センチメートル (cm) 程度、4枚の花弁は十字花ではなく2枚ずつが近寄り矩形に近い[4]。
主な種類
[編集]伝統的な品種としては、大阪や京都など、近畿地方を中心として、葉の切れ込みが深く、葉柄が細く、収穫期にはほとんど株立ちしない関西系の品種と、静岡県や愛知県など、東海地方を中心として、葉の切れ込みが比較的浅く、葉柄ががっしりと太く、若干の株立ち状態で収穫される関東系とされる品種がある。前者は、生食も可能であるが、はりはり鍋に不可欠な食材として、大阪などでは昔から親しまれてきた品種である。後者は野趣に富んでいるため、専ら加熱調理がなされることが多い。浜松を中心とする静岡県西部から愛知県東部にかけての地域では、正月料理の雑煮の具として親しまれている。
栽培
[編集]ホウレンソウやコマツナのように子株を育てる方法と、ハクサイのように大株に育てる方法がある[10]。小株は秋に種をまいて冬に間引き菜を収穫しながら育てる[10]。京都付近では秋に苗床に播種し、晩秋畑に定植して管理する[4]。栽培適温は15 - 30度とされるが[10]、耐寒性が強いという特徴をもつ[4]。連作は不可で、同じアブラナ科作物を2年以上作っていない畑で、堆肥をたくさんすき込んだ土で育てる[10]。輪作年限は1 - 2年とされる[8]。また、水耕栽培も行うこともできる[3]。
畑に畝を作り、株の間隔を30センチメートル (cm) ほどとって、1か所に5 - 6粒ほど種を点まきし、種が隠れる程度に軽く覆土する[10]。乾燥を防ぐため、畝にはマルチングを施すとよい[10]。大株で育てていくときは、株間を30 cmほどとる[10]。育苗してから畑に植え付ける方法でもよく、苗の本葉4 - 5枚になったころに定植する[8]。種まきから1か月ほどたつと、株の葉の高さは20 - 30 cmほどになり、込み合ったところから順次間引きながら収穫していく[10]。1か所を1株にして、10日に1度ほど液肥やぼかし肥などで追肥を行っていくと大株に育ち、1株で4キログラム (kg) 、葉が500本にもなる[10]。早生種のミズナは、種まきから30 - 35日ほどで収穫できる[8]。
近畿地方を中心とする地域で、古くから常用されてきた葉野菜であるが、近年では関東地方以北など、全国的に普及してきている。農林水産省のまとめた平成30年度野菜生産出荷統計によると、水菜の年間出荷量第1位は茨城県の19,700tとなっている。これは第2位の福岡県(3,080t)、第3位の京都府(2,000t)と比べても圧倒的である[11]。
利用
[編集]茎葉が食用に利用される。食材としての旬は晩秋から冬の11月 - 3月で[5][7]、葉が淡い緑色で張りがあるものが市場価値のある良品とされる[3]。 独特の芳香と繊維分をもつ[5]。ビタミンA、ビタミンC、カルシウムが多く含まれている[5]。コマツナやチンゲンサイ等と並び、カルシウム摂取に効果的な野菜の代表例としてしばしば挙げられる[12]。
歯触りの良い食感が良く、味に癖がないため様々な料理に幅広く使われる[7]。煮食が多く、はりはり鍋や鯨の水炊き[4]といった鍋物、煮物、サラダ、和え物、漬物にも使われる[5][7]。調理の下ごしらえは、長さを揃えてざく切りにして使うのが一般的で[3]、独特のシャキシャキした食感を損なわないため、火を通しすぎないように調理する[5]。
栄養価
[編集]ミズナはβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、ミネラルが豊富に含まれるのが特徴で、カリウム、カルシウム、ビタミンB群、鉄などもバランスよく含まれている[7]。ビタミンEは老化防止の効果、β-カロテンとビタミンCは抗酸化作用が期待されている栄養素である[7][3]。ミズナ特有のポリフェノールは、肌の新陳代謝を促して、肌を健康に保つ働きがあるともいわれている[7]。
保存
[編集]保存する場合は、乾燥を嫌うことから、軽く濡らしたペーパータオルなどで包みポリ袋に入れて乾燥を防ぎ、冷蔵保存する[7][3]。ただし日持ちしないため、できるかぎり早く使い切るようにする[7]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 出典に挙げた 『標準原色図鑑 全集 有用植物』や『野菜と果物 ポケット図鑑』など。
出典
[編集]- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Brassica rapa L. var. nipposinica (L.H.Bailey) Kitam. ミズナ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年2月11日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Brassica rapa L. var. laciniifolia (L.H.Bailey) Kitam. ミズナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年2月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 52.
- ^ a b c d e f g h i j k l m 高嶋四郎、傍島善次、村上道夫『標準原色図鑑 全集 有用植物』保育社、1971年、47頁。
- ^ a b c d e f g h i j k 石尾員浩『野菜と果物 ポケット図鑑』主婦の友社、1995年、22頁。ISBN 9784072166390。
- ^ 『世界大百科事典』(第2版)平凡社。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 主婦の友社編 2011, p. 132.
- ^ a b c d 金子美登 2012, p. 102.
- ^ a b “みずなの需給動向”. 独立行政法人農畜産業振興機構. 2022年3月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 主婦の友社編 2011, p. 133.
- ^ 作物統計調査 作況調査(野菜)「平成30年産野菜生産出荷統計 (2018年確報)」〜みずな(都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量)2019-12-09 政府統計コード:00500215 農林水産省生産流通消費統計課
- ^ “みんなの食育”. 農林水産省. 2021年11月21日閲覧。
参考文献
[編集]- 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、52頁。ISBN 978-4-415-30997-2。
- 金子美登『有機・無農薬でできる野菜づくり大事典』成美堂出版、2012年4月1日、102頁。ISBN 978-4-415-30998-9。
- 主婦の友社編『野菜まるごと大図鑑』主婦の友社、2011年2月20日、132 - 133頁。ISBN 978-4-07-273608-1。