ミミガタテンナンショウ
ミミガタテンナンショウ | |||||||||||||||||||||
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東京都高尾山 2019年4月中旬
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Arisaema limbatum Nakai et F.Maek. (1932)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ミミガタテンナンショウ (耳形天南星)[5] |
ミミガタテンナンショウ(耳形天南星、学名:Arisaema limbatum)は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草[5][6][7][8]。雌雄偽異株で、小型の株は雄花序をつけ、同一のものが大型になると雌花序または両性花序をつける。本種は、雄株から雌株に完全に性転換する[6][7]。
仏炎苞の口辺部が耳たぶのように広く開出する[5][6][7]。
特徴
[編集]地下に球茎があり、球茎は扁球形で、ほぼ2列に並んだ腋芽群があり、上部から多くの根をだす。植物体の高さは70cmになる。葉はふつう2個で、葉柄は短く、小葉間の葉軸がやや発達する。小葉は7-11個が鳥足状につき、小葉は披針形から楕円形で、長さ10-17cm、縁は全縁かときに微細な鋸歯縁となり、中脈に沿って白斑が生じることがある。偽茎部は長さ4-42cmになる[5][6][7][8][9]。
花期は、東北地方では5月頃、暖地では3月から葉の展開より先に花序が伸びて咲きだす。花序柄は花時には葉柄より長い。仏炎苞は黒紫色、紫褐色、黄褐色で、白色の縦条があり、長さ13-16cmになる。ごくまれに緑色のものがあり、品種として区別することがある。筒部は、口辺部が耳状に広く張り出す。舷部は卵形になり、先はとがる。花序付属体の柄は長さ6mm、花序付属体は長さ6.8-7.7cm、径3-10mmになり、棒状からやや棍棒状で先端はふくれて円頭になり、仏炎苞口部から完全に外に出る。子房の中に10-16個の胚珠があり、四国産のものは29個ある。果実は夏に赤く熟す。染色体数は2n=26[5][6][7][8][9]。
分布と生育環境
[編集]日本固有種[10]。本州の東北地方の太平洋側、関東地方、中部地方東部、兵庫県淡路島、四国の高知県沖の島、九州の大分県に分布し[9]、落葉樹林下や林縁に生育する[6]。
名前の由来
[編集]和名ミミガタテンナンショウは、「耳形天南星」の意。仏炎苞の口辺部が耳たぶのように張り出すことからいう[5][7]。前川文夫 (1932) による命名[11]。
種小名(種形容語)limbatum は、「縁のある」「縁取りのある」の意味[12]。
下位分類
[編集]キイロミミガタテンナンショウ Arisaema limbatum Nakai et F.Maek. f. viridiflavum Hayashi (1963)[13] - 仏炎苞が黄緑色のものを品種として区別することがある。関東地方、東北地方に知られる[14]。
また、高知県沖の島産のものは、仏炎苞の口辺部がの張り出しが特に著しく、舷部が長く鋭くとがって反り返ることから、変種オキノシマテンナンショウ var. conspicuum として区別されたこともある[4][9]。変種名 conspicuum は、「顕著な」「目立った」の意味[12]。
大分県ではムサシアブミ A. ringens との雑種が見出されている[6]。
ギャラリー
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葉の展開前に花序が伸びて咲きだす。
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葉は2個で、小葉7個が鳥足状につき、葉の縁に鋸歯のある個体。
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仏炎苞の筒部は、口辺部が耳状に広く張り出す。
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舷部は卵形になり、先はとがる。舷部を立たせて撮影。
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花後の葉は大型になる。
近縁種
[編集]近縁の種に、ヒガンマムシグサ Arisaema aequinoctiale Nakai et F.Maek. (1932)[15]がある。平凡社刊の旧『日本の野生植物』では、ヒガンマムシグサ A. undulatifolium を基本種、ミミガタテンナンショウ A. undulatifolium var. ionostemma をその変種として掲載していた[14]。ヒガンマムシグサは、本州の関東地方・中部地方・広島県・山口県、四国に分布し、海岸近くの照葉樹林下などに生育する。和名のとおり花期が早く、3-4月。高さは50cmになり、仏炎苞の口辺部が耳状に広がるのは本種と同じであるが、開出部の幅は8mm未満と本種ほどは広がらない。染色体数は本種と同じ[6]。
脚注
[編集]- ^ ミミガタテンナンショウ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ ミミガタテンナンショウ(シノニム)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ ミミガタテンナンショウ(シノニム)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ a b ミミガタテンナンショウ(シノニム)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花(増補改訂新版)』p.26
- ^ a b c d e f g h 邑田仁(2015)「サトイモ科」『改訂新版 日本の野生植物 1』pp.93, 99-100
- ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.195
- ^ a b c 『原色日本植物図鑑・草本編III』p.205
- ^ a b c d 『日本産テンナンショウ属図鑑』pp.219-222
- ^ 『日本の固有植物』pp.176-179
- ^ F. Maekawa, Alabastra Diversa I, The botanical magazine, Tokyo, 『植物学雑誌』、Vol.46, No.549, pp.562-564, 1932.
- ^ a b 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1489, 1500
- ^ キイロミミガタテンナンショウ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ a b 大橋広好(1982)「サトイモ科」『日本の野生植物 草本I単子葉類』pp.135-136
- ^ ヒガンマムシグサ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
参考文献
[編集]- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅰ単子葉類』、1982年、平凡社
- 北村四郎・村田源・小山鐡夫共著『原色日本植物図鑑・草本編III』、1984年改訂、保育社
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 林弥栄監修、門田裕一改訂版監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 1』、2015年、平凡社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 邑田仁・大野順一・小林禧樹・東馬哲雄著『日本産テンナンショウ属図鑑』、2018年、北隆館
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- F. Maekawa, Alabastra Diversa I, The botanical magazine, Tokyo, 『植物学雑誌』、Vol.46, No.549, pp.562-564, 1932.