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メニッポス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ディエゴ・ベラスケスの描いた『メニッポスプラド美術館

ガダラのメニッポス古代ギリシア語: Μένιππος ὁ ΓαδαρεύςMenippos ho Gadareus、最盛期:紀元前3世紀)は、キュニコス派風刺作家。彼の作品はすべて散逸し残っていないが、ウァロルキアノスに重要な影響を与えた。「メニッポス的風刺(Menippean satire)」というジャンルは、彼の名にちなんで名付けられた。

生涯

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メニッポスの生涯については、ほとんど何も分かっていない。彼はコイレ・シリアガダラ出身であった[1][2][3]。ガダラは、現ヨルダンウム・クァイスUmm Qais)に位置するが、古代のガダラ自体は遺跡が残るのみである。古代の資料は一致して、彼は奴隷であったとしている。メニッポスはポントスの市民に仕えていたが、何らかの方法で自由を獲得し、テーバイに居住した。ディオゲネス・ラエルティオス[4]は、はなはだ疑わしい物語に彼を関連付け、話では、彼は金貸しで財をなしたが、財産を失い、その悲しみの故に自殺したとする[5]。ルキアノスはメニッポスを、キュニコス派において著名な人物であるアンティステネスディオゲネス、またテーバイのクラテスなどと並び称している。

作品

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メニッポスは散文と韻文を混ぜて書いたが、その作品はすべて失われている。彼は深刻な主題を冷やかしや嘲笑のスタンスで論じ、とりわけエピクロス主義ストア派を攻撃して楽しんだ。ストラボンビュザンティオンのステパノスStephanus of Byzantium)はメニッポスのことを「真摯な道化師」(σπουδογέλοιος, spoudogeloios, スプードゲロイオス)と呼んだ。

メニッポスの著作は後世に多大な影響を与えた。例えば、ルキアノスは自らメニッポスの模倣者と認め、しばしばメニッポスに言及し、メニッポスがハーデースを訪れるという対話篇『メニッポス』(副題「死者の神託」)もルキアノスの作と言われている。また、マルクス・テレンティウス・ウァロもメニッポスを模倣して『メニッポス風風刺詩(Saturarum Menippearum)』を書き、その断片は現存している[6]

ディオゲネス・ラエルティオスはメニッポスの著作として以下の書名を挙げている[7]

  • Νέκυια(交霊術)
  • Διαθῆκαι(遺言)
  • Ἐπιστολαὶ κεκομψευμέναι ἀπὸ τῶν θεῶν προσώπου(神々が書いたかの如く偽装した書簡集)
  • Πρὸς τοὺς φυσικοὺς καὶ μαθηματικοὺς καὶ γραμματικοὺς(自然哲学者、数学者、及び文法家たちに対し)
  • Γονὰς Ἐπικούρου(エピクロスの誕生)
  • Τὰς θρησκευομένας ὑπ' αὐτῶν εἰκάδας(第20日の学派の崇敬[エピクロス派が祝った])

加えて、アテナイオスは『シュンポシオン(酒宴)』[8]、『アルケシラオス[9]と呼ばれる作品に言及し、ディオゲネス・ラエルティオスは『ディオゲネスの売却』(Διογένους Πράσει)というメニッポスの作品に言及している。後者は、シノペのディオゲネスが海賊に捕らわれて奴隷に売られるという話の主たる出典のようである[10]

脚注

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  1. ^ Blank, David, "Philodemus", The Stanford Encyclopedia of Philosophy (Spring 2019 Edition), Edward N. Zalta (ed.), accessed 3 June 2020.
  2. ^ Stephanus Byz.; Strabo, xvi.
  3. ^ Strabo's Geography 16.2.29
  4. ^ Diogenes Laërtius, vi. 99, 100
  5. ^ "The tradition that he was a moneylender and speculator in marine insurance is probably apocryphal, resting as it does on the always dubious authority of Hermippus." Donald Dudley, (1937) A History of Cynicism, page 70
  6. ^ キケロ『アカデミカ』i. 2,8/ アウルス・ゲッリウス ii. 18/マクロビウス『サトゥルナリア』i. 11.
  7. ^ ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』vi. 101
  8. ^ アテナイオス 14.629F
  9. ^ アテナイオス 14.664E
  10. ^ ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』vi. 29

参考文献

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外部リンク

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