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メルボルン市電A形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メルボルン市電A形電車
メルボルン市電A1形電車
メルボルン市電A2形電車
A2形(273、2009年撮影)
基本情報
製造所 コモンウェルス・エンジニアリング
製造年 A1形 1983年 - 1985年
A2形 1985年 - 1987年
製造数 A1形 28両(231 - 258)
A2形 42両(259 - 300)
運用開始 1984年
投入先 メルボルン市電
主要諸元
編成 ボギー車
軸配置 B′B′
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
車両定員 着席42人
定員65人
車両重量 22.2 t
全長 15,010 mm
全幅 2,670 mm
全高 3,340 mm
車輪径 660 mm
固定軸距 1,800 mm
台車中心間距離 8,500 mm
主電動機 AEG製ABS 3322[1]
主電動機出力 195 kW
出力 390 kW
制御方式 電機子チョッパ制御
制御装置 AEG・シーメンス
備考 主要数値は[2][3][4][5][6][7]を参照。
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A形は、オーストラリアメルボルンの路面電車のメルボルン市電に在籍する電車の1形式。鉄道線を転換したライトレール区間の開通に合わせて導入された車両で、製造当初の集電装置の差異により「A1形」「A2形」の2種類が存在する[2][3][4][5][6]

概要

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1982年、メルボルン市内の公共交通機関の運営組織を統合する形で誕生したメトロポリタン交通局英語版(Metropolitan Transit Authority、MTA)は、メルボルンの郊外(サバーブ)へ向かう鉄道線をライトレールに転換し、メルボルン市電の路線網に編入する計画を発表した。これに合わせて発注が行われた車両のうち、両運転台のボギー車にあたるのがA形である[注釈 1][9][10][7]

台車や機器は先に製造されていたメルボルン市電Z3形電車と同様のものを採用しており、台車はデュワグ、電気機器はシーメンスAEG製の部品が使われている。その一方で車体構造についてはZ3形の運用実績や運営組織・利用客からの要望に基づき、以下のような変更が行われている[4][5][11][12]

  • 乗降扉の位置変更、車掌台の廃止 - A形はZ3形と同様に車体両側に3箇所づつ乗降扉が配置されているが、中央・右側の乗降扉が左側寄りの位置に変更されている。これは、Z3形を含む従来車に設置されていた車掌台の廃止に伴うものである[2]
  • 電気機器の配置変更 - 乗降扉の位置変更に伴い、Z3形では一部床上に配置されていた電気機器が全て床下に設置されている。ただしその影響で床上高さが高くなり、定員数もZ3形から減少している[13]
  • 前面形状の変更 - 運営組織からの要望に基づき、A形の前面形状の幅が広くなっており、前照灯・尾灯の配置も変更されている[2]

塗装については、製造当初上半分および側面下部の線が黄色がかったクリーム色、下半分が緑色というデザインであったが、市電の運営権が民間事業者へ移管されて以降は各事業者の塗装への変更が実施されている[14]

運用

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最初の車両となるA1形1983年からメルボルン市電へ納入が開始され、翌1984年6月から営業運転を開始した。その後は1985年までに28両が導入された一方、同年にMTAはライトレール向け車両の追加発注を実施し、その中には42両分のA形の増備車・A2形も含まれていた。これらの車両はメルボルン市電で初めてパンタグラフ(シングルアーム式パンタグラフ)が搭載されている他、制動装置や乗降扉の稼働装置にも変更が加えられている。このA2形は1985年から1987年にかけて製造が実施されており、これに合わせてポール集電が用いられていたA1形もシングルアーム式パンタグラフへの換装が行われている[2][7][4][5][11]

2014年に1両(231)が火災により廃車されたため、2020年現在はA1形・A2形合わせて69両(232 - 300)が在籍し、メルボルン市電の各系統で使用されている[13][4][15]

今後の予定

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2025年以降、メルボルン市電には超低床電車G形フレキシティ2)が導入される予定であり、それに伴い高床式電車であるA形は置き換えられる事になっている[16]

関連項目

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B形(2014年撮影)

脚注

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注釈

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  1. ^ メルボルン市電には過去にも「A形英語版」という形式名が与えられた車両が存在しており、本項目のA形は2代目にあたる[8]

出典

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  1. ^ Tram Track Design”. ヤラトラム. 2023年1月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 服部重敬 1998, p. 84.
  3. ^ a b Dale Budd 2014, p. 32.
  4. ^ a b c d e A1 Class”. VICSIG (2017年5月19日). 2017年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月9日閲覧。
  5. ^ a b c d A1 Class”. VICSIG (2017年5月19日). 2017年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月9日閲覧。
  6. ^ a b Public Transport Victoria (2014-5) (PDF). Yarra Trams Load Standards Survey Report. pp. 23. https://transport.vic.gov.au/-/media/tfv-documents/ptv/ptv_maca-yarra-trams-load-survey-report-may-2014-public.pdf?la=en&hash=5254C73ABF2A8C98A6D0ECEA11A0AE1A. 
  7. ^ a b c d Geoff Brown 2018, p. 3.
  8. ^ Russell Jones (2008年). “PMTT tramcar fleet”. Melborune Tram Museum. 2020年11月9日閲覧。
  9. ^ 服部重敬 1998, p. 83.
  10. ^ Geoff Brown 2018, p. 2.
  11. ^ a b John Dunn (2013-4-11). Comeng : A History of Commonwealth Engineering, Volume 4 : 1977-1985. Rosenberg Publishing. pp. 210-215. ISBN 978-1922013514 
  12. ^ Melbourne and Metropolitan Tramways Board Z3 Class Tram - Melbourne, Australia (PDF) (Report). Council of Tramway Museums of Australasia. 1982年7月. pp. 54–56. 2020年11月9日閲覧
  13. ^ a b Melbourne's tram fleet”. YarraTrams (2018年2月9日). 2020年11月9日閲覧。
  14. ^ Dale Budd 2014, p. 44-46.
  15. ^ Fire breaks out in Melbourne tram”. ABC News (2013年6月14日). 2020年11月9日閲覧。
  16. ^ Next Generation Trams”. Victoria State Goverment. 2022年4月21日閲覧。

参考資料

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外部リンク

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