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メルボルン市電E形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フレキシティ・スウィフト > メルボルン市電E形電車
メルボルン市電E形電車
メルボルン市電E2形電車
6007(2016年撮影)
基本情報
運用者 ヤラトラム英語版
製造所 ボンバルディア・トランスポーテーション
製造年 2012年 - 2021年
製造数 100両(6001 - 6100)
運用開始 2013年11月
投入先 メルボルン市電
主要諸元
編成 3車体連接車、両運転台
軸配置 Bo′+2′Bo′+Bo′
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
設計最高速度 80 km/h
編成定員 210人(着席64人)
車両重量 62 t
全長 33,450 mm
全幅 2,650 mm
全高 3,650 mm
床面高さ 低床率100 %
車輪径 600 mm
固定軸距 1,850 mm
主電動機 ボンバルディア製
4WXA 2257[1]
主電動機出力 105 kW
出力 630 kW
備考 主要数値は[2][3][4][5][6][7][8]に基づく。
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E形オーストラリアメルボルンの路面電車であるメルボルン市電に在籍する電車の1形式。バリアフリーに適した大型超低床電車で、2013年から営業運転に投入されている[2][5][6]

概要

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2009年ビクトリア州政府は州都・メルボルン路面電車メルボルン市電)の利用客増加および障害者差別禁止法(Disability Discrimination Act、DDA)に適したバリアフリーへの対応車両の増強のため、最大10億ドルの予算を用い、新型超低床電車を導入する計画を発表した。翌2010年ドイツの鉄道車両メーカーであるボンバルディア・トランスポーテーションが50両 + オプション100両およびこれらの車両のメンテナンスに関する契約を交わした。これに基づき生産が開始されたのがE形である[注釈 1][5][6][10]

E形はボンバルディア・トランスポーテーションが世界各国に展開するフレキシティ・スウィフトの1形式で、両運転台の3車体連接編成を組み、全長33.45 mはメルボルン市電の歴代車両で最長である。先頭車体の台車は回転軸を有するが、小径台車を用いる事により床上高さを抑えている他、車内の高低差を段差ではなくスロープで繋いでいる事により車内は100 %低床構造となっている。制御装置にはボンバルディアが展開する「MITRAC」が用いられ、消費電力の抑制が図られている。定員は210人で、1両単位としてはメルボルン市電に在籍する車両で最も多く、車内には車椅子ベビーカーを設置可能なフリースペースが存在する他、利用しやすさを前提としたデザインや色調が採用されている。製造はボンバルディアがメルボルンサバーブであるダンデノングに所有する工場で実施されており[注釈 2]、オーストラリア国内で生産されるメルボルン市電向け車両は1994年B形電車以来となっている[2][5][6][11][12][13][14]

E形はバリアフリーに適した構造が高く評価され、2014年オーストラリアン・グッド・デザイン・アワード英語版を受賞している[15]

運用

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2011年にモックアップや模型が発表・展示された後、翌2012年からE形の生産が開始された。当初の契約内容では2012年12月からメルボルン市電の列車運営を担当するヤラトラム英語版への納入が開始される予定であったが、要望に基づいた複雑な設計が要因となりスケジュールに遅れが生じ、実際に納入が始まったのは2013年7月となった。試運転を経て営業運転を開始したのは同年11月4日で、以降は2018年までに発注分50両(6001 - 6050)の納入が実施された[12][11][16]

一方、上記の車両に加えてビクトリア州政府は2015年に20両、2017年に10両の追加発注を実施した。これらの車両はメルボルン市電で多く報告された乗客の転倒事故を踏まえ、滑りにくい床材への変更や握り棒の増設、緊急停止ボタンの追加などの安全対策が施されており、「E2形」と呼ばれる事もある。増備車は2017年から営業運転に投入され、2020年の時点で50両(6051 - 6100)の導入が完了しており、E形と共に11号線・86号線・96号線で使用されている[2][17]

脚注

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注釈

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  1. ^ メルボルン市電には1951年まで「E形英語版」という形式名の車両が存在しており、本項目で解説するE形は2代目にあたる[9]
  2. ^ ただし制御装置台車を始めとした機器はドイツにあるボンバルディアの工場で生産されている。

出典

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  1. ^ Tram Track Design”. ヤラトラム. 2023年1月27日閲覧。
  2. ^ a b c d Melbourne's tram fleet”. YarraTrams. 2020年11月19日閲覧。
  3. ^ E Class”. VICSIG (2017年6月22日). 2017年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月19日閲覧。
  4. ^ E2 Class”. VICSIG (2017年6月6日). 2017年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月19日閲覧。
  5. ^ a b c d Bombardier Wins Contract for 50 Trams for One of the World's Largest Tram Operations in Melbourne, Australia”. Bombardier Transportation (2010年9月29日). 2020年11月19日閲覧。
  6. ^ a b c d Melbourne’s newest tram – the story so far”. Yarra Trams (2012年5月2日). 2018年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月19日閲覧。
  7. ^ Transport Safety (2017). Collision Trams 6042 and Tram 6019 Nicholson Street, Melbourne 15 October 2017 (PDF) (Report). p. 3. 2020年11月19日閲覧
  8. ^ Dale Budd. The Melbourne Tram Book (3rd ed.). University of New South Wales. pp. 34. ISBN 9781742233987. http://dl.booktolearn.com/ebooks2/travel/9781742233987_the_melbourne_tram_book_81e6.pdf 2020年11月19日閲覧。 
  9. ^ Russell Jones (2008年). “PMTT tramcar fleet”. Melborune Tram Museum. 2020年11月19日閲覧。
  10. ^ EOI FOR MANUFACTURE AND SUPPLY OF 50 NEW TRAMS”. The Premier of Victoria (2019年7月6日). 2012年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月19日閲覧。
  11. ^ a b Stand by your tram - Melbourne welcomes the E-Class”. Yarra Trams (2013年11月4日). 2020年11月19日閲覧。
  12. ^ a b Adama Carey (2013年7月1日). “New trams arrive, but not on schedule”. The Age. 2020年11月19日閲覧。
  13. ^ New E-Class trams rollout in Melbourne”. Railexpress (2017年6月16日). 2020年11月19日閲覧。
  14. ^ John Dunn (2013-11-3). Comeng: A History of Commonwealth Engineering Volume 5, 1985-2012. Rosenberg Publishing. pp. 281-282. ISBN 978-1922013521 
  15. ^ Bombardier Wins Australian Good Design Awards for Melbourne and the Gold Coast’s FLEXITY Trams”. Bombardier Transportation (2014年8月7日). 2020年11月19日閲覧。
  16. ^ Adama Carey (2012年8月18日). “New low-floor trams miss first stop by seven months”. The Age. 2020年11月19日閲覧。
  17. ^ Alex White (2017年3月21日). “20 new trams to be rolled out in Melbourne’s CBD next week and Premier says more to come”. Herald Sun. 2020年11月19日閲覧。

外部リンク

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