ヤマトインターナショナル東京本社ビル
ヤマトインターナショナル東京本社ビル | |
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情報 | |
用途 | オフィス |
旧用途 | 倉庫 |
設計者 | 原広司、アトリエ・ファイ建築研究所 |
構造設計者 | 佐野建築構造事務所 |
設備設計者 | 明野設備研究所 |
施工 | 大林組・清水建設・野村建設工業JV |
建築主 | ヤマトインターナショナル |
構造形式 | 鉄骨鉄筋コンクリート構造 |
敷地面積 | 6,427 m² [1] |
建築面積 | 2,615 m² [1] |
延床面積 | 12,073 m² [1] |
状態 | 完成 |
階数 | 地上9階、塔屋1階 |
高さ | 約40m |
竣工 | 1987年1月17日 |
所在地 |
〒143-0006 東京都大田区平和島5丁目1番1号 |
座標 | 北緯35度34分45秒 東経139度44分31秒 / 北緯35.57917度 東経139.74194度座標: 北緯35度34分45秒 東経139度44分31秒 / 北緯35.57917度 東経139.74194度 |
ヤマトインターナショナル東京本社ビルは、東京都大田区に所在する建築物である。
建築
[編集]大田区平和島の西部、倉庫群の中に位置し、南北約140m・高さ約40mの威容を誇る[2]。大阪府と東京都に二本社制を敷くアパレルメーカーヤマトインターナショナルにより建設された。当初は1階から3階までが倉庫(配送センター)、4階以上に役員室や事務室を置いていたが、物流体制の変更で倉庫が不要になり、組織再編で自社オフィスとして使用する床面積も減少したことから、2002年より空いたフロアにテナントを入れている[3]。北側を走る環七通りの高架橋の高さに相当する1階から3階にかけてはがっしりした基壇として作られ、4階は平和の森公園と接続する人工地盤として開放されている[1]。4階より上部は、切妻屋根や窓など住居を思わせる要素が不規則に積み重ねられている。設計者の原は1970年代に世界40カ国の集落を調査旅行しており、「雑然として見える集落が、実は緩やかな秩序に基づいて全体の調和を織りなしている」という発見を建築に投影した[2]。公園に面した西側の幾何学的意匠はおとぎの国を思わせ、頂部には雲を模した装飾が施されている[4]。白く柔らかく輝く質感を求めて、外装には不二サッシに発注したアルミニウムパネルを多用した[5]。建物内部にも設計者の趣向が凝らされ、窓ガラスには周囲の風景に合わせて1枚ごとに異なるエッチングが施されている。エレベーターホールの窓ガラスには、手前にあるフラクタル幾何のように加工された手すりとの重なりで絵が生まれる仕掛けが用意されている[4]。
本建築は1988年に第1回村野藤吾賞[2]と第29回建築業協会賞(BCS賞)[1]を受賞している。2024年にはDOCOMOMO Japanにより「日本におけるモダン・ムーブメントの建築290選」に選定された[6]。 伊丹十三監督の映画「マルサの女2」ではロケ地として使用された[7]
脚注
[編集]- ^ a b c d e “第29回受賞作品 ヤマト インターナショナル” (PDF). 日本建設業連合会 (1988年). 2020年8月8日閲覧。
- ^ a b c “コラム 建モノがたり「ヤマトインターナショナル東京本社」”. 朝日マリオン・コム (2020年4月28日). 2020年8月8日閲覧。
- ^ (日経アーキテクチュア 2011, pp. 125)
- ^ a b (日経アーキテクチュア 2011, pp. 128–129)
- ^ “建築家インタビュー 原広司(2008年10月 情報誌ecoms掲載)”. アルミ建築研究所 アルケン (2017年10月31日). 2020年8月8日閲覧。
- ^ 『2023年度選定建築物10件を公表』(プレスリリース)DOCOMOMO JAPAN、2024年6月21日 。2024年10月11日閲覧。
- ^ “繊維・ファッション業界の名建築”. 繊研新聞社 (2015年2月5日). 2020年8月8日閲覧。
参考文献
[編集]- 日経アーキテクチュア 編『ポストモダン建築巡礼 1975-95 第2版』日経BP、2011年7月25日。ISBN 978-4-296-10462-8。