ヤマル半島
ヤマル半島(ヤマルはんとう、ロシア語: полуо́стров Яма́л パルオーストラフ・イマール)は、ロシア連邦シベリア北西部のヤマロ・ネネツ自治管区にある半島である。 長さは約700キロメートル。西はカラ海に面し、東のオビ湾を挟んでギダン半島に向かい合う。 北はマリーギナ海峡、パガ湾を挟んでベルイ島と隣接している。
「ヤマル」とは、先住民族ネネツ人のネネツ語で「最果ての地」を意味する[1]。
地理
[編集]北極圏にあるヤマル半島の大部分は永久凍土に覆われており、地質学的には1万年未満の非常に若い地域である。
伝統的で大規模なトナカイの遊牧が、ロシア連邦内では最もよく維持されている地域である。 数千人のネネツ人やハンティ人が約50万匹のトナカイを飼育している。 また、数多くの種類の渡り鳥が生息する地域でもある。
天然ガス開発
[編集]1970年代にまず鉄道が引かれてガス田開発の開発が始まるが、ソビエト連邦崩壊で停滞。 2000年代には鉄道が修復され、2012年10月からはボワネンコフ・ガス田の生産開始された[3]。
ロシアの巨大ガス企業ガスプロムにより、ボヴァネンコフスコー石油ガス田(露: Бованенковское нефтегазоконденсатное месторождение、英: Bovanenkovskoe oil and gas field)を開発する「ヤマル計画」が計画されているが、伝統的なトナカイの遊牧に重大な影響が心配されている。
実際の天然ガス採掘は2017年にノヴァテク、仏トタル、中国石油天然気(ペトロチャイナ)とシルクロード基金の出資するヤマルLNGにより開始され、12月8日に最初の液化天然ガス(LNG)がタンカーに積み込まれた。記念式典にはロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンも出席した。当初は年産550万トンで、2019年までに1650万トンへの増産を目指す[4]。LNGは砕氷タンカーなどにより主にアジアへ輸出される予定である[5]。
2017年3月には、半島東部に建設されたサベッタ港に、新造された砕氷タンカー「クリストフ・ドマージュリー号」が初入港していた[6]。 ヤマルからのLNG積出船としてはこのほか、商船三井などが発注していた「ウラジーミル・ルサノフ号」が投入される[7]。
脚注
[編集]- ^ 『日経産業新聞』1面「開く北極航路 変わる大動脈」
- ^ “Yamal megaproject”. Gazprom.com. 2019年4月29日閲覧。
- ^ “[ヤマルLNGの始動とロシア北極圏の石油・ガス開発 (jogmec.go.jp) ヤマルLNGの始動と ロシア北極圏の石油・ガス開発]”. JOGMEC (2018年). 2022年3月4日閲覧。
- ^ ロシア、北極圏でLNG生産開始 19年に生産量3倍に『日本経済新聞』夕刊2017年12月11日
- ^ 「北極圏でLNG開発急ぐ/ロシア 年内開始、年産1650万トン」『日経産業新聞』2017年5月18日
- ^ 「【新興国ABC】北極海航路に新型LNG船」『日経産業新聞』2017年5月30日
- ^ ヤマルLNGプロジェクト向け新造砕氷LNG船“VLADIMIR RUSANOV”と命名~世界初の砕氷LNG船プロジェクト 当社第一船 新たなマイルストーンに~商船三井プレスリリース(2017年12月22日)