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ユーリノサウルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユーリノサウルス
生息年代: 183–175 Ma
長さ6.4メートルに達する標本
地質時代
前期ジュラ紀トアルシアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
: 魚竜目 Ichtyosauria
: Leptopterygiidae
: ユーリノサウルス属 Eurhinosaurus Abel, 1909

ユーリノサウルス学名:Eurhinosaurus) は、中生代前期ジュラ紀トアルシアン期にヨーロッパの海に生息した魚竜の属。イングランドドイツベネルクスフランススイスから化石が発見されている[1][2][3][4]。全長6メートルを超え、魚竜としては大型の部類である[3]

分類

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ユーリノサウルスの生態復元。上顎が伸びている
頭骨

以下のクラドグラムは2015年の Marek らの分析に基づく[5]

パルヴィペルヴィア類 

 マクゴワニア

 ハドソネルピディア

 新魚竜類 

 テムノドントサウルス

 レプトネクテス科 

 レプトネクテス

 エクスカリボサウルス

 ユーリノサウルス

 スエヴォレヴィアタン

 トゥンノサウルス類

形態

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ユーリノサウルスは基本的な魚竜の形態に従っており、卓越した背ビレと垂直方向に備わった半月状の尾ビレ、1対の胸ビレ、尻ビレを持ち、体型は紡錘形で目は巨大だった。ただし大きく異なる明確な特徴もあった。上顎は下顎の約2倍の長さを誇り、微細な歯がまるで鋸の歯のように上向きと下向きで垂直方向に生えている[3]。当然、ノコギリエイの横に突出した歯とは形質を異とする。

長く伸びた吻部は摂食のためにノコギリエイと同じく海底近くで左右に振って海藻や海底堆積物の探索に用いられた可能性があるほか、メカジキバショウカジキなどのように獲物を殴打して失神させることに用いられた可能性がある。新第三紀中新世歯クジラ類であるユーリノデルフィスも同様の構造が発達している。

極めて近縁な属であるエクスカリボサウルスはかつてユーリノサウルスのシノニムとされていた[6]が、ユーリノサウルスの前肢が細長いことや体型が重厚であることから2属は分割された[7]。また、上顎と下顎の長さの比率もユーリノサウルスの方がより顕著である。

出典

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  1. ^ Maisch MW. 2010: Phylogeny, systematics, and origin of the Ichthyosauria – the state of the art. Palaeodiversity 3: 151-214
  2. ^ Fischer V, Guiomar M & Godefroit P. 2011: New data on the palaeobiogeography of Early Jurassic marine reptiles: the Toarcian ichthyosaur fauna of the Vocontian Basin (SE France). Neues Jahrbuch für Geologie und Paläontologie, Abhandlungen 261(1): 111-127
  3. ^ a b c Maisch MW, Matzke AT. 2000. The Ichthyosauria. Stuttgarter Beiträge zur Naturkunde Serie B (Geologie und Paläontologie) 298: 1-159
  4. ^ Reisdorf AG, Maisch MW & Wetzel A. 2011. First record of the leptonectid ichthyosaur Eurhinosaurus longirostris from the Early Jurassic of Switzerland and its stratigraphic framework. Swiss Journal of Geosciences 104(2): 211-224
  5. ^ R. D. Marek, B. C. Moon, M. Williams, M. J. Benton: The skull and endocranium of a Lower Jurassic Ichthyosaur based on digital reconstructions. In: Palaeontology 58, 2015, S. 723–742.
  6. ^ Maisch, M. W.; A. T. Matzke (2000). “The Ichthyosauria”. Stuttgarter Beitrage zur Naturkunde Serie B (Geologie und Palaeontologie) 298: 1–159. 
  7. ^ McGowan, C. (2003). “A new Specimen of Excalibosaurus from the English Lower Jurassic”. Journal of Vertebrate Paleontology 23 (4): 950–956. doi:10.1671/1860-20.