ラオスの鉄道
ラオス | |
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ラオス・中国鉄道の車両 | |
運営 | |
国営鉄道 | ラオス鉄道公社 |
主要事業者 |
ラオス・中国鉄道 ラオス鉄道公社 |
統計 | |
距離 | |
総延長 | 433.4 km |
電化距離 | 422.4 km |
軌間 | |
主な軌間 | 1,435 mm (4 ft 8+1⁄2 in) |
ラオス・中国鉄道 | 1,435 mm (4 ft 8+1⁄2 in) |
ラオス鉄道公社 | 1,000 mm (3 ft 3+3⁄8 in) |
電化方式 | |
交流電化 | 422.4km |
非電化 | 11.0 km |
設備 | |
トンネル数 | 76 |
橋梁数 | 155 |
駅数 | 21 |
ラオスの鉄道(ラオスのてつどう)では、ラオスにおける鉄道について記す。
概要
[編集]2021年12月現在のラオスの鉄道は、タイ王国に接続するラオス鉄道公社(Lao Railway Authority)と、中華人民共和国に接続するラオス・中国鉄道の計2路線である。
歴史
[編集]フランス領インドシナ時代の1893年に、メコン川の激流地帯であるチャンパーサック県シーパンドンにて、船舶による輸送の代わりにデット島・コーン島鉄道が敷設されたのが始まりである。デット島 (Don Det) とコーン島 (Don Khon) を結ぶ6.5 kmが、600mm軌間(のちに1000mmに改軌)の鉄道で結ばれた[1]。本鉄道は第二次世界大戦後廃止され、その廃線後の遺構は残されている[2]。その後の約60年間、ラオスには鉄道は存在していなかった。
1950年代、ラオスは、物資の輸送をより円滑にするためラオス・タイの国境であるメコン川を渡るタイ=ラオス友好橋(鉄道道路併用橋)の建設をタイに提案し、オーストラリアの援助で設計・建設された。1994年4月8日に橋は開通したが、橋の中央を走る鉄道(併用軌道)は未完成であった。1995年にラオス鉄道公社(Lao Railway Authority)が設立され、1997年にはタイのShaviriyaグループとの合弁事業の協定が結ばれた。この合弁事業は、本路線に関わる60年間の運営権の譲渡、資産開発および通信網の権利、18年間の運営利益に対する税制上の優遇を有していたが、1999年に破棄された[3]。1997年の経済危機が収束した2000年、タイから鉄道建設の着工が、ラオスの負担分のうちの1億9,700万バーツについて無償援助ということで提案された。建設工事は2008年以前に終了し、2009年2月20日に双方から伸びてきた線路の結合式典がタイ=ラオス友好橋で挙行された。3月5日にターナレーン駅で開催された開通式には、ラオス代表してブンニャン・ウォーラチット副大統領が、タイ代表してシリントーン王女が出席した[4]。この路線は2024年7月、ヴィエンチャン市内に近いヴィエンチャン駅 (カムサワート)まで営業を開始した[5]。
中国の昆明とラオスとを結ぶ鉄道の建設が計画され、2015年11月13日、中国とラオスの両国は、両国を結ぶ鉄道の建設で正式に調印した[6]。2016年12月25日、ラオスのルアンパバーン郡で着工[7]、2021年10月12日に昆明 - ヴィエンチャン間全線でレール敷設が完了し[8]、2021年12月3日に開業した[9]。
事業者
[編集]状況
[編集]ラオス鉄道公社
[編集]- ラオス・タイ鉄道
タイのノーンカーイ駅から、タイ=ラオス友好橋にて国境を通過、ターナレーン駅を経由しヴィエンチャン駅へ至る路線である。NEDAの協力のもとで建設された、全区間非電化単線路線(軌間:1,000 mm)である。
第1フェーズとして、ノーンカーイ駅を南に移設し、この新駅から分岐してターナレーンを結ぶ6.15 kmの鉄道が計画された[3]。2009年3月5日にターナレーン駅で開通式が行われ、ラオス独立後初めての鉄道が開業した[10][4]。旅客利用者数は2013年は32,000人、2014年は38,000人、うち80%が外国人と発表されている[11]。2019年8月1日より、貨物列車の運行が開始された[12]。
第2フェーズとして、2013年9月からはターナレーン駅北側にてタナレーン・ドライポート、ビエンチャン・ロジスティクスパークが5.9億バーツの支援で建設され[13]、2021年12月に開業した。2023年10月30日、ヴィエンチャン駅へも延伸され、開業記念式典が行われた[14]。
2024年7月19日より、ヴィエンチャン駅の旅客営業を開始した。タイのバンコク(クルンテープ・アピワット中央駅)を結ぶ快速国際列車、ウドーンターニー駅を結ぶ国際列車[15]が、それぞれ1日1往復の運行を開始した[16][17][5]。出入国管理はヴィエンチャン駅、ノーンカーイ駅で行われ、長時間停車する[18]。
ヴィエンチャンからノーンカーイ駅までの国際列車を4往復運行する計画もあり、所要時間は約20分、運賃は60〜70バーツを予定している[19]。ほか、ナコンラチャシーマまでの普通列車を運行する計画もある[20]。
駅名 | 英語駅名 | ノーンカーイ駅 からの距離 |
所在地 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
ノーンカーイ駅 | Nong Khai | 0.00 km | ノーンカーイ県 | ムアンノーンカーイ郡 | 2000年5月28日移転 |
タイ=ラオス友好橋 | 2.65 km | タイ / ラオス国境 | 1994年4月8日開通 | ||
ターナレーン駅 (貨物駅) | Thanaleng | 6.15 km | ヴィエンチャン都 | ハートサーイフォング郡 | 2009年3月5日開業 |
ヴィエンチャン駅 (カムサワート) | Vientiane (Khamsavath) |
13.65 km | サイセター郡 | 2023年10月30日開業 |
ラオス・中国鉄道
[編集]ラオスの首都ヴィエンチャンとボーテン(中国国境、モーハン口岸)間を結ぶ鉄道である。ヴィエンチャンと中国・雲南省のシーサンパンナ(西双版納)間、421 kmを結び、軌間は標準軌で、76本のトンネルと154本の橋梁が建設された。旅客列車は最高速度160 km/h、貨物列車は120 km/hで運転される計画である。ヴァンヴィエン、ルアンパバーンなど7つの主要駅を含む20駅がまず設置された。最終的には31駅となる予定である。 鉄道建設計画は当初、ラオスと中国の共同プロジェクトとして提案され、建設費は70億ドル、中国進出口銀行からのソフトローン(2%、30年間)と計画されていた[21][22]。2013年より、ラオス側による計画が進められ、2015年9月17日にラオスのソムサワート・レンサワット副首相が、資金面の問題が解決されたため2015年12月より着工予定と発表した[23]。2016年12月に着工し、2021年10月12日に昆明 - ヴィエンチャン間全線でレール敷設が完了し[8]、2021年12月3日に開業した[9]。
将来計画
[編集]サワンナケート・ラオバオ鉄道計画
[編集]ラオスはタイ国境・サワンナケートとベトナム国境のラオバオ(Lao Bảo / 牢堡)間を結ぶ全長220kmの鉄道建設・運営について、マレーシア企業のGiant Consolidatedと契約調印した。路線は複線電化で、プロジェクトの総額は50億ドル(約4000億円)で、2017年の開業を目指していた[24]。 しかし2021年現在まだ建設は始まっていない。
ヴィエンチャン・ブンアン鉄道計画
[編集]2022年2月、ヴィエンチャンから、カムムアン県マハサイ郡を経由し、ベトナムのハティン省キーアイン県ブンアンまでの鉄道(全長555km、最高速度150km/h、標準軌)建設を、ベトナムのFLCグループが提案[25]した。3月にはラオスのペトロリアム・トレーディング・ラオ(PTL)と覚書を締結した[26][27]。2022年10月までに着工される見通しである[28]。
隣接国との鉄道接続状況
[編集]脚注
[編集]- ^ パクセ近郊 - ラオス政府観光局
- ^ 日経 アジア 中国 オセアニア. “南ラオスの旅 メコン川の滝と四千の島” (pdf). 2013年7月30日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b 松本尋夫、藤田崇義 著、(社)海外鉄道技術協力協会 編『最新 世界の鉄道』ぎょうせい、東京都、2005年7月1日。ISBN 978-4324076262。
- ^ a b 赤木攻 (2009年4月9日). “国境を越える「王室プロジェクト」”. NNA.ASIA(アジアの経済ビジネス情報). 2013年7月30日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b タイとラオスの首都を結ぶ 初の直通国際列車の運行始まる - NHK NEWS WEB 2024年7月20日
- ^ “中国とラオスが鉄道建設で調印、「中国からシンガポールまで結ぶ鉄道の一部になる」=中国メディア”. 2021年12月11日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Everything You Need to Know about the Laos-China Railway”. 2021年12月4日閲覧。
- ^ a b “中国ラオス鉄道全線でレール敷設が完了”. 人民網日本語版 2021年10月16日閲覧。
- ^ a b 川合秀紀. “「夢」か「わな」か、東南アジアに広がる“中華鉄道”の終着点は”. 西日本新聞 2021年9月26日閲覧。
- ^ “ラオス鉄道開通、日本が物流拠点構想も”. NNA.ASIA(アジアの経済ビジネス情報) (2009年3月6日). 2013年7月30日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “道乗客数”. パサソン社会経済紙. (2015年2月18日)
- ^ “ラオス~タイ間の鉄道による越境貨物輸送を開始”. JETRO. (2019年8月7日) 2021年12月9日閲覧。
- ^ “鉄道が5ヶ月後からスタート”. パサソン社会経済紙. (2015年2月11日)
- ^ ビエンチャン(カムサワート)駅が完成 - JETRO 2023年11月08日
- ^ ทีมพีอาร์การรถไฟแห่งประเทศไทย - Facebook
- ^ Bangkok-Vientiane train service begins July 19 - Bangkok Post, 3 JUL 2024
- ^ Thaland-Laos train service to begin on July 19 - Lao News Agency, 05/07/2024
- ^ ラオスとタイの首都間を結ぶ国際旅客鉄道の運行開始 - JETRO 2024年07月29日
- ^ Bangkok-Vientiane train to be reality by April - Bangkok Post, 25 Jan. 2024
- ^ Thailand -Laos rail project expected to be operational in mid-2023 - Lao News Agency, 10/10/2022
- ^ サンケイビズ (2013年5月31日). “高速鉄道の早期着工に意欲 ラオス-中国間で協議進む”. 2013年7月30日閲覧。
- ^ RailPlanet (2012年11月21日). “ラオス~中国間鉄道、来年着工か”. 2013年7月30日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “中国 - ラオス鉄道は12月着工へ、「資金面の問題」解決”. newsclip.be. (2015年9月21日) 2015年9月27日閲覧。[リンク切れ]
- ^ RailPlanet (2012年11月14日). “ラオス、タイ国境〜ベトナム国境間に鉄道建設へ”. 2013年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月30日閲覧。
- ^ “FLCグループ、ラオス~ハティン省間の鉄道建設を提案”. VIETJO. (2022年2月24日)
- ^ “ビエンチャン・ブンアン鉄道を建設へ、協力覚書を締結”. JETRO. (2022年4月4日)
- ^ “FLC AND PETROTRADE SIGN INVESTMENT AND CONSTRUCTION CONTRACT FOR RAILWAY PROJECT”. FLC Group. (2022年3月23日)
- ^ “ビエンチャン~ブンアン港間の鉄道、11月に着工へ”. VIETJO. (2022年3月21日)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ラオス公共事業運輸省鉄道局
- ກອງຄຸ້ມຄອງທາງລົດໄຟ Authority of Railway Management (100064829854643) - Facebook
- Lao Railway Authority - Asean Railways Portal