コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ラフ・ミックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ラフ・ミックス』
ピート・タウンゼントロニー・レーンスタジオ・アルバム
リリース
録音 イングランドの旗ロンドンオリンピック・スタジオ
1976年9月-1977年春
プロデュース グリン・ジョンズ
テンプレートを表示

ラフ・ミックス』(Rough Mix)は、イングランドロック・ミュージシャンのピート・タウンゼントロニー・レーンが1977年に共作名義で発表したアルバムである。

解説

[編集]

経緯

[編集]

タウンゼント(ザ・フー)とレーン(スモール・フェイセズフェイセズ)は1968年に親しくなった。レーンはタウンゼントが当時強い影響を受けていたインドの導師メヘル・バーバーの教えについて語るのに耳を傾け[1]、彼等はバーバーの信奉者達が制作した3作のアルバムに参加した[注釈 1]

レーンは1973年にフェイセズを脱退してソロ活動を開始し、1976年にソロ・アルバムを制作する為にタウンゼントに協力を要請した。するとタウンゼントは彼に、グリン・ジョンズ[注釈 2]にプロデュースを頼んで共同名義のアルバムを制作することを提案した[2]

本作は1976年9月から1977年までロンドンオリンピック・スタジオで製作され、同年9月に発表された[3]

内容

[編集]

全11曲の収録曲の内10曲が彼等の作品で、内訳はタウンゼント作が5曲、レーン作が4曲[注釈 3]、共作が1曲である。唯一他人の曲である'Till the Rivers All Run Dry'は、カントリー・シンガーのドン・ウィリアムスが1975年に発表した楽曲である[注釈 4][4]

上記のように彼等はバーバーの熱心な信奉者だったが、本作にはバーバーや彼の教えに関連した曲は含まれていない。

オーケストレーションを担当したエドウィン・アシュトレーは作曲家で、タウンゼントの当時の義父に当たる。

客演者のうち、ラビット[5][注釈 5]ピーター・ホープ=エヴァンス[注釈 6]ビリー・ニコルス[注釈 7]は、この後、タウンゼントのソロ活動や1978年以後のザ・フーの活動に携わっていった。

収録曲

[編集]

LP

Side One
#タイトル作詞・作曲参加ミュージシャン時間
1.「My Baby Gives It Away」TownshendCharlie Watts: Drums
2.「Nowhere To Run」LaneRabbit: Organ/Henry Spinetti: Drums/Peter Hope Evans: Harmonica
3.「Rough Mix」Townshend-LaneEric Clapton: Lead Guitar/Rabbit: Organ/Henry Spinetti: Drums
4.「Annie」Lane-Lambert-ClaptonEric Clapton: 6 String Acoustic/Graham Lyle: 12 String Acoustic/Benny Gallagher: Accordion/Charlie Hart: Violin/David Marquee: String Bass
5.「Keep Me Turning」TownshendRabbit: Organ & Piano/Henry Spinetti: Drums
6.「Catmelody」Lane-LambertCharlie Watts: Drums/Mel Collins: Saxophone/Ian Stewart: Piano
合計時間:
Side Two
#タイトル作詞・作曲参加ミュージシャン時間
1.「Misunderstood」TownshendPeter Hope Evans: Harmonica/Julian Diggle: Percussion/Bijou Drains: Gulp
2.「April Fool」LaneEric Clapton: Dobro & Foot/David Marquee: Double Basses
3.「Street In The City」TownshendEdwin Ashtley: Orchestral Score/Tony Gilbert: Orchestral Leader/Charles Vorsanger: Principal 2nd Violin/Steve Shingless: Principal Viola/Chris Green: Principal Cello/Chris Laurence: Principal Bass
4.「Heart To Hang Onto」TownshendBoz Burrell: Bass/Rabbit: Fender Rhodes/Henry Spinetti: Drums/John Entwistle: (Who Else?) Brass
5.「Till The Rivers All Run Dry」Holyfield-WilliamsHenry Spinetti: Drums/Boz Burrell: Bass/Eric Clapton: Dobro/John Entwistle and Billy Nicholls: Vocal Help
合計時間:

CD

#タイトル作詞・作曲参加ミュージシャン時間
1.「My Baby Gives It Away」TownshendCharlie Watts: Drums
2.「Nowhere To Run」LaneRabbit: Organ/Henry Spinetti: Drums/Peter Hope Evans: Harmonica
3.「Rough Mix」Townshend-LaneEric Clapton: Lead Guitar/Rabbit: Organ//Henry Spinetti: Drums
4.「Annie」Lane-Lambert-ClaptonEric Clapton: 6 String Acoustic/Graham Lyle: 12 String Acoustic/Benny Gallagher: Accordion/Charlie Hart: Violin/David Marquee: String Bass
5.「Keep Me Turning」TownshendRabbit: Organ & Piano/Henry Spinetti: Drums
6.「Catmelody」Lane-LambertCharlie Watts: Drums/Mel Collins: Saxophone/Ian Stewart: Piano
7.「Misunderstood」TownshendPeter Hope Evans: Harmonica/Julian Diggle: Percussion/Bijou Drains: Gulp
8.「April Fool」LaneEric Clapton: Dobro & Foot/David Marquee: Double Basses
9.「Street In The City」TownshendEdwin Ashtley: Orchestral Score/Tony Gilbert: Orchestral Leader/Charles Vorsanger: Principal 2nd Violin/Steve Shingless: Principal Viola/Chris Green: Principal Cello/Chris Laurence: Principal Bass
10.「Heart To Hang Onto」TownshendBoz Burrell: Bass/Rabbit: Fender Rhodes/Henry Spinetti: Drums/John Entwistle: (Who Else?) Brass
11.「Till The Rivers All Run Dry」Holyfield-WilliamsHenry Spinetti: Drums/Boz Burrell: Bass/Eric Clapton: Dobro/John Entwistle and Billy Nicholls: Vocal Help
合計時間:

参加ミュージシャン

[編集]
  • Ronnie Lane – ヴォーカル、ギター、マンドリン、ベース・ギター、バンジョー、ウクレレ
  • Pete Townshend – ヴォーカル、ギター、マンドリン、ベース・ギター、バンジョー、ウクレレ

以下、番号はCDのトラックを示す。

  • Edwin Astley – オーケストレーション(#9)
  • Boz Burrell – ベース・ギター(#10、#11)
  • Eric Clapton – エレクトリック・ギター(#3)、アコースティック・ギター(#4)、ドブロ(#8、#11)
  • Mel Collins – サクソフォーン(#6)
  • Julian Diggle – パーカッション(#7)
  • John Entwistle – 金管楽器(#10)、ヴォーカル・ヘルプ(#11)
  • Charlie Hart – ヴァイオリン(#4)
  • Peter Hope Evans – ハーモニカ(#2、#7)
  • Benny Gallagher – アコーディオン(#4)
  • Tony Gilbert – オーケストラ・マスター(#9)
  • Chris Green – チェロ(#9)
  • Chris Laurence – コントラバス(#9)
  • Graham Lyle – 12弦ギター(#4)
  • Dave Markee[6] – ダブル・ベース(#4、#8)
  • Billy Nicholls – ヴォーカル・ヘルプ(#11)
  • Rabbit – オルガン、フェンダー・ローズ(#2、#3、#5、#10)
  • Steve Shingles – ビオラ(#9)
  • Henry Spinetti – ドラムス(#2、#3、#5、#10、#11)
  • Ian Stewart – ピアノ(#6)
  • Charlie Watts – ドラムス(#1、#6)
  • Charles Vorsanger – バイオリン(#9)

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ハッピー・バースデイ』(1970年)、『アイ・アム』(1972年)、『ウィズ・ラヴ』(1976年)。
  2. ^ ザ・フーやフェイセズのアルバムのプロデュースを手掛けた。
  3. ^ そのうちの2曲は客演者のエリック・クラプトンやケイト・ランバートとの共作である。
  4. ^ 本作に客演しているエリック・クラプトンが1976年9月30日にハマースミス・オデオンでのウィリアムスのコンサートに客演した時、自分に会いに楽屋を訪れたタウンゼントとレーンにウィリアムスを紹介した。
  5. ^ 本名ジョン・バンドリック。テキサス州出身のアメリカ人。再結成したフリーのメンバーとして、1972年の2度目の日本公演と最後のアルバムHeartbreakerの制作に参加した。また1973年には、ザ・ウェイラーズのアルバム『キャッチ・ア・ファイア』の制作に参加した。仕事を求めてオリンピック・スタジオを訪れ、本作を制作しているタウンゼントと出会った。
  6. ^ タウンゼントやレーンも参加したアルバム『ウィズ・ラヴ』(1976年)に参加したMedicine Headのメンバー。
  7. ^ 1968年にデビュー・アルバムWould You Believeを発表したイングランドのシンガー・ソングライター。当時彼はレーンのスモール・フェイセズと同じレコード会社に所属しており、デビュー・アルバムの制作にはレーンをはじめスモール・フェイセズのメンバー全員が参加した。また彼は、タウンゼントやレーンも参加したアルバム『アイ・アム』(1972年)と『ウィズ・ラヴ』(1976年)に参加した

出典

[編集]
  1. ^ Townshend (2012), p. 138.
  2. ^ Townshend (2012), p. 292.
  3. ^ Neill & Kent (2007), pp. 389, 396, 402.
  4. ^ Neill & Kent (2007), p. 389.
  5. ^ Townshend (2012), p. 296.
  6. ^ Discogs”. 2023年9月15日閲覧。

引用文献

[編集]
  • Neill, Andy; Kent, Matt (2007). Anyway Anyhow Anywhere: The Complete Chronicle of The Who 1958-1978. London: Virgin Books. ISBN 978-0-7535-1217-3 
  • Townshend, Pete (2012). Who I Am. London: HarperCollins. ISBN 978-0-00-747916-0 

関連項目

[編集]