ラ・クーポール
ラ・クーポール、クーポール(仏: La Coupole)とはフランス、パリ14区のモンパルナスにあるブラッスリー[1][2]。クーポールは「丸天井」の意[1]。
カフェとして紹介されることもあるが[3][4]、公式にはブラッスリーをうたっている[5]。この評価・格付けの曖昧さについてはブラッスリーの項を参照。なお、本項では以降クーポールとのみ表記する。
歴史
[編集]1870年からの普仏戦争を契機にアルザス=ロレーヌ地方からパリに移住した人々が始めたブラッスリーは20世紀にかけて大流行した[6]。サン=ジェルマン=デ=プレには19世紀中にすでにカフェ・ド・フロールやリップといった有名カフェやブラッスリーがその地位を確固たるものにしていた[7][8]。モンパルナスの、後にクーポールが建つ場所は1000平方メートルほどの石炭置き場であったが、創業者のエルネスト・フロー(Ernest Fraux 、オーヴェルニュ出身[9])はここを買い取り、1927年12月20日にクーポールを開業し、開業に当っては2500人を招待した[10]。モンパルナスだけにエコール・ド・パリの芸術家たちも近所に生活していたため、彼らによる店内の装飾も行えた[10]。
クーポールは人気店となり、ピカソ、フジタ[1]、コクトー[10]、サルトル[2]やヘミングウェイ[11]などの顧客を得るに至った。地下階で行われたジャズの演奏も評判であった[1]。
その後一旦の衰退を経て、1988年に店内を改装し2013年現在も営業を行っている[1]。「雰囲気は昔のまま」と評される[11]。
建築
[編集]1000平方メートルほどの敷地を持ち、地下もある2階建てで2階にはテラスもある[12]。アール・デコ調[11]の広大な店内にはそれぞれ絵画による装飾の施された32本[13]または33本の柱が立ち[10]、300席ほどが確保されている[2]。1988年、一部が「歴史的記念物」に指定された[14]。
店内に設置されている像は、東京池袋駅東口にある『大地の像[15]』と同じもので、製作者はともにルイ・デルブレである[16]。
地下階は以前は映画「ラスト・ダンス・イン・パリ」でも使用されたダンスホールであったが、2007年現在では日曜午後だけ開放されている[17]。
アクセス
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e 宇田川 et al. 2007, p. 165
- ^ a b c d 昭文社 2012, p. 63
- ^ 昭文社 2012, p. 62
- ^ 赤瀬 2000, p. 49
- ^ “Restaurant emblematique à Paris, Montparnasse”. La Coupole. 2013年11月23日閲覧。
- ^ 宇田川 et al. 2007, p. 559
- ^ “カフェ・ド・フロール Cafe le Flore”. パリ・ビストロ・エディション. 2013年11月23日閲覧。
- ^ “リップの長い物語”. パリ・ビストロ・エディション. 2013年11月23日閲覧。
- ^ “La Coupole Timeline”. La Coupole. 2013年11月23日閲覧。
- ^ a b c d ブロンベルガー n.d., p. 1
- ^ a b c ブロンベルガー n.d., p. 2
- ^ ブロンベルガー n.d., pp. 1–2
- ^ 地球の歩き方編集室 2009, p. 288
- ^ “Monuments historiques - Restaurant La Coupole”. Ministère de la Culture et de la communication(フランス文化・通信省). 2013年11月23日閲覧。
- ^ “大地の像”. 東京都産業労働局. 2013年11月23日閲覧。
- ^ “Une légende historique”. La Coupole. 2017年6月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月23日閲覧。
- ^ JTBパブリッシング 2007, p. 32
参考文献
[編集]- 赤瀬雅子「久生十蘭とフランス文学・フランス文化 : 『十字街』を中心として」『桃山学院大学人間科学』、桃山学院大学、29-53頁、2000年。ISSN 09170227 。
- 宇田川政喜; 遠藤智子; 加藤綾子; 橋村弘美 著、日仏料理協会 編『フランス 食の事典(普及版)』株式会社白水社、2007年。ISBN 978-4-560-09202-6。
- JTBパブリッシング「パリ」『ララチッタ : 街歩きをハッピーに。』ヨーロッパ 3、昭文社、2007年。ISBN 9784533067488。
- 昭文社「フランス」『マップルマガジン』第2682号、昭文社、2012年。ISBN 978-4-398-26947-8。
- 地球の歩き方編集室『地球の歩き方 A07 パリ&近郊の町 '10-'11』ダイヤモンド社、2009年。ISBN 978-4-478-05860-2。
- ブロンベルガー,ローラン「パリ、モンパルナスの歴史的カフェ ラ・クーポール」『カフェの文化』、パリ・ビストロ・エディション 、n.d. 。
関連項目
[編集]- ラ・ブーム - フランス映画。主人公が祖母とこの店で食事をする。
外部リンク
[編集]ウィキメディア・コモンズには、ラ・クーポールに関するカテゴリがあります。