ロフー
ロフー | ||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Labeo rohita (Hamilton, 1822)[2] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
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ロフー(アッサム語: ৰৌ মাছ、ベンガル語: রুই মাছ、マイティリー語: रोहु ローマ字転写: Rofu)は、南アジアの川で見られるコイ科の魚である[3][4]。大型の雑食魚であり、養殖される[5]。
概要
[編集]ロフーは大型で銀色の魚である。目立つアーチ形の頭を持ち、成魚は最大で重さ45キログラム、最長で長さ2メートルにもなる[2][2]。インドのパンジャーブ州ルディヤーナーを流れるサトレジ川等で行われた調査では、体長は平均0.329–0.5154メートルという値が出ている[6]。
分布と生息
[編集]インドの北部、中央部、東部[7]、パキスタン、ベトナム、バングラデシュ、ネパール、ミャンマーの川に多く生息する。また、南インドやスリランカの川にも導入され、帰化している[1][2]。
生態
[編集]この種は雑食性であり、成長段階によって好む餌が変わる。生活環の初期段階では主に動物プランクトンを食べるが、成長すると植物プランクトンをより多く食べるようになる。若魚や成魚になると、植物プランクトンや藻を食べる。細く髪の毛のような鰓耙を持ち、水を濾しながら食べていることが示唆される[注釈 1] 2歳から5歳になると性的に成熟する。通常南西モンスーンの時期に氾濫した河川において、潮の届かない川の中ほどで産卵する[2]。貯水池で産卵を行うこともある[2]。
養殖
[編集]ロフーは、南アジアの重要な淡水養殖魚である[8]。湖生態系では産卵しないため、養殖の際には、卵を導入することが必要である[9][10]。釣り魚としても重要である[1]。
食材
[編集]バングラデシュ、ネパール、パキスタンやインドのトリプラ州、ナガランド州、ビハール州、オリッサ州、アッサム州、西ベンガル州、アーンドラ・プラデーシュ州、タミル・ナードゥ州、ウッタル・プラデーシュ州では、非常に一般的な食用魚である[7]。
後期チャールキヤ朝のソーメーシュヴァラ3世が編纂した12世紀のサンスクリット語百科事典『マーナソーッラーサ』にも、揚げロフーのレシピが記載されている。このレシピでは、ロフーの皮を剥いた後、アサフェティダと食塩でマリネし、水で溶いたウコンに漬けてから揚げる[11]。
ミティラーでとれたロフーは、Mithila Rohu Machh (マイティリー語: मिथिला रोहु माछ) として知られ、湾岸地域で捕れたものよりも美味であるとみなされている。ビハール州政府は、地理的表示の確立に向けた取組を行っている[12][13]。
栄養
[編集]ω-3脂肪酸、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンCに富む[14]。また含まれる食品の少ないビタミンDも豊富で、ビタミンD欠乏症である骨粗鬆症の予防になる[15]。
諸言語における呼称
[編集]- アッサム語: ৰৌ মাছ(ラウ・マサ=卵魚)
- オリーヤ語: ରୋହି(ロヒ)
- グジャラート語: રોહુ માછલી(ローフの魚)
- ビルマ語: ငါးမြစ်ချင်း(ガミッチン)[16]
- ヒンディー語: रोहू मछली
- ベンガル語: রুই মাছ(ルイ・マーチ)
- マラーティー語: रोहु मासा(ロフ マーサ)
参考文献
[編集]主な執筆者、編者の順。
- Frimodt, C. (1995). Multilingual Illustrated Guide to the World's Commercial Warmwater Fish. Fishing News Books. Oxford, England: Osney Mead. p. 215
- Judson, A.; Stevenson, Robert C.; Eveleth, F. H. (1921) (英語). The Judson Burmese-English Dictionary. Rangoon: American Baptist Mission Press. p. 329
- Kottelat, M. (2001). Fishes of Laos. Colombo 5, Sri Lanka: WHT Publications Ltd.. p. 198
- Masram, Vedika; Singh, Prabjeet; Datta, S.N.; Tewari, Grishma (2022). “Length Weight Relationship and Condition Factor of Labeo rohita (Ham.) Collected from Domesticated and Riverine Habitats” (英語) (pdf). Indian Journal of Ecology 49 (3): 869. doi:10.55362/IJE/2022/3608 .
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 種の摂食習慣と摂食域;大型のコイの仲間:
- Catla:動物園:プランクトン食性:表面摂食者
- Rohu:____:雑食性:柱状摂食者
- Mrigal:____:腐食性:底生摂食者
出典
[編集]- ^ a b c Dahanukar, N. (2010). “Labeo rohita”. IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T166619A6248771. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-4.RLTS.T166619A6248771.en 19 November 2021閲覧。.
- ^ a b c d e f “Labeo rohita (Roho labeo)” (英語). FishBase : fisheries, aquaculture, gamefish (2023年6月). 2023年10月29日閲覧。
- ^ Frimodt 1995, p. 215
- ^ Kottelat 2001, p. 198
- ^ Rishi, Mandhan 1990, pp. 3–4
- ^ Masram et al. 2022, p. 869
- ^ a b “Rohu Fish Farming Information Guide” (英語). Agrifarming.in. Agri Farming (26 August 2015). 8 September 2018閲覧。
- ^ “FAO Fisheries & Aquaculture Labeo rohita”. Fao.org. 8 September 2018閲覧。
- ^ de Graaf, G.; Latif, A. (2002). “Development of freshwater fish farming and poverty alleviation - A case study from Bangladesh”. Aquaculture Asia 7 (2): 5 .
- ^ Nandeesha, M.C. (1990年). “Induced spawning of Indian major carps through a single application of Ovaprim-C.”. Asian Fisheries Society. 23 January 2017閲覧。
- ^ K.T. Achaya (2003). The Story of Our Food. Universities Press. p. 85. ISBN 978-81-7371-293-7
- ^ “Mithila's 'Rohu'” (英語). Drishti IAS. 2022年7月16日閲覧。
- ^ “Bihar govt to approach Centre over GI tag for Mithila's Rohu fish” (英語). Moneycontrol. 2022年7月16日閲覧。
- ^ “10 healthiest Indian fish varieties and why you must have them [最も健康的なインドの魚10種類と食べるべき理由]”. オリジナルの2022年11月4日時点におけるアーカイブ。 30 October 2022閲覧。
- ^ “World Osteoporosis Day: Things women can do to make their bones stronger [世界骨粗鬆症デー:女性が骨を強くするためにできること]” (英語). Financial Express 30 October 2022閲覧。
- ^ Judson, Stevenson, Eveleth 1921, p. 329