レスター・ホーガン
クラレンス・レスター・ホーガン(Clarence Lester Hogan、1920年2月8日 - 2008年8月12日)は、米国の物理学者で、マイクロ波と半導体技術のパイオニアである。
生涯
[編集]モンタナ州グレートフォールズで3姉妹の兄として育ち、父はグレート・ノーザン鉄道に勤務していた。モンタナ州立大学で化学工学の学位を取得した後、1942年にアメリカ海軍に入隊。チェサピーク湾で音響魚雷の研究を行い、ベル研究所から声がかかり、太平洋戦争で潜水艦の乗組員にその技術を教えるために赴任した[1]。
戦後はリーハイ大学の大学院で学び、物理学の博士号を取得した。その後、1950年にベル研究所に入社した。その数ヵ月後、マイクロ波ジャイレータ(RC回路を代用することでインダクタンスをシミュレートできる装置)を発明し、厄介なコイル巻き作業から解放される。トランジスタの発明者でノーベル賞受賞者のウィリアム・ショックレーの下で働く。1953年から1958年までハーバード大学の教授を務めていたが、ダン・ノーブルに誘われ、アリゾナ州フェニックスのモトローラセミコンダクターに半導体事業の副社長兼ゼネラルマネジャーとして入社することになった[1]。
1968年、会長兼CEOとしてフェアチャイルド・カメラ・アンド・インスツルメントに、8人の上級幹部(Hogan's Heroesというニックネーム)を連れて移った。この移籍により、モトローラは企業秘密の窃盗を理由にフェアチャイルド社を提訴(不成功に終わる)[2]。
1975年、IEEEの「フレデリック・フィリップス賞」を受賞。1978年、「アメリカ電子協会 功績メダル」を受賞。1993年、"MTT-S Microwave Pioneer Award "を受賞。1996年、カリフォルニア大学バークレー校の電気工学・コンピュータサイエンス学科に彼の功績を称える講座が設置され、現在はシャフィ・ゴールドワッサーが就任している[3]。1999年10月20日、エタ・カッパ・ヌの「Eminent Member」に選出された。「電気・コンピュータ工学の分野における技術的達成とリーダーシップによる社会への貢献が、人類に大きな利益をもたらした選ばれた数人に与えられる、学会最高の会員分類」である。
2008年8月、アルツハイマー病の合併症により、カリフォルニア州アサートンの自宅で88歳の生涯を閉じた。
脚注・参考文献
[編集]- ^ a b “Interview with C. Lester Hogan, 1995 January 24”. Silicon Genesis - Spotlight at Stanford(スタンフォード大学). 2023年4月15日閲覧。
- ^ “Motorola vs Fairchild case files: The Trade Secret, 1968”. The Chip Collection - Litigation Series 17 - Smithsonian Institution. 2023年4月15日閲覧。
- ^ “Endowed chairs and distinguished professorships”. Berkeley Engineering. 2023年4月15日閲覧。
外部リンク
[編集]- Stanford University (Silicon Genesis) (Interview with Les Hogan – 1995、動画)
- Stanford University (Silicon Genesis) (Interview with Les Hogan – 1995、音声を文字に)
- SU Silicon Genesis Project ("An Oral History of Semiconductor Technology")
- Electronic Engineering Times ("The Hogan bombshell" – October 30, 1997)
- Smithsonian Chips ("Motorola vs Fairchild case files")
- AeA (Gala: "60th anniversary of the founding of AeA" – October 16, 2003)
- ΗΚΝ ("ΗΚΝ Eminent Members List")
- Biography - Clarence Lester Hogan, Microwave Theory and Techniques, IEEE Transactions, Jan 1958 Biography - Clarence Lester Hogan