ロクロニウム
IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
Drugs.com | monograph |
法的規制 | |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | NA |
血漿タンパク結合 | - 30% |
代謝 | some de-acetylation |
半減期 | 66–80 minutes |
排泄 | Unchanged, in bile and urine |
データベースID | |
CAS番号 | 119302-91-9 |
ATCコード | M03AC09 (WHO) |
PubChem | CID: 441290 |
IUPHAR/BPS | 4003 |
DrugBank | DB00728 |
UNII | I65MW4OFHZ |
KEGG | D00765 |
ChEMBL | CHEMBL1201244 |
別名 | [3-hydroxy-10,13-dimethyl-2-morpholin-4-yl-16-(1-prop-2-enyl-2,3,4,5-tetrahydropyrrol-1-yl)-2,3,4,5,6,7,8,9,11,12,14,15,16,17-tetradecahydro-1H-cyclopenta[a]phenanthren-17-yl] acetate |
化学的データ | |
化学式 | C32H53N2O4+ |
分子量 | 529.774 g/mol |
ロクロニウム (Rocuronium) はアミノステロイドの非脱分極性神経筋遮断薬・筋弛緩薬である。骨格筋を弛緩させることによって気管挿管を行いやすくするため、もしくは手術中の不動化を維持するために現代の麻酔において用いられている。日本での商品名は「エスラックス」[1]。臭化物(臭化ロクロニウム)として販売されており[2]、略号はRbである[2][3]。
ジェネリック医薬品も販売されている。日本で用いられている非脱分極性筋弛緩薬の中では最も作用時間が短く、それまでの主力であったベクロニウムに取って代わりつつある。
効能・効果
[編集]副作用
[編集]重大な副作用として、下記のものが知られている[4]。
作用機序
[編集]ロクロニウムは、神経筋接合部のニコチン性アセチルコリン受容体に対する競合的拮抗薬である。スキサメトニウムなどの脱分極性神経筋接合部遮断薬の作用機序である持続的な過分極とは異なり、受容体の作用を弱めて筋弛緩を引き起こすため、神経筋接合部遮断薬の中では非脱分極性神経筋接合部遮断薬と考えられている。
パンクロニウムよりも弱い神経筋接合部遮断薬として設計されており、ステロイドのD環にアリルピロリジンが結合した第四級アンモニウムイオンとなっている。ロクロニウムの作用発現は早く、作用時間は中程度である[5]。
一部の患者(特に喘息患者)にアレルギー反応が起こる可能性があると考えられているが、同種の他の薬剤(非脱分極性神経筋遮断薬)を使用しても同様のアレルギー反応が起こることが確認されている[6]。
ロクロニウムの作用を拮抗させる新たな薬剤として、γ-シクロデキストリン誘導体のスガマデクスが登場した[7]。スガマデクスは2009年からヨーロッパの多くの国で使用されているが、アレルギー反応や出血への懸念から米国FDAに2度承認を断られ[8]、2015年12月15日にようやく米国で外科手術時に使用する薬として承認された[9]。ネオスチグミンはロクロニウムの拮抗薬としても使用できるが、スガマデクスほどの効果はない。ネオスチグミンはスガマデクスと比較して安価であるため、使用されることは多い(2016年)[10]。
脚注
[編集]- ^ “エスラックス静注25mg/2.5mL、50mg/5.0mL”. 2017年3月5日閲覧。
- ^ a b “Rocuronium Bromide | ≥99%(HPLC) | Selleck | AChR 拮抗剤”. www.selleck.co.jp. 2023年12月15日閲覧。
- ^ 伊藤, 博徳「非脱分極性筋弛緩薬による神経筋遮断と四連反応比の関係」『金沢大学十全医学会雑誌』第105巻第1号、1996年2月1日、154–161頁。
- ^ “エスラックス静注25mg/2.5mL/エスラックス静注50mg/5.0mL 添付文書”. www.info.pmda.go.jp. 2021年11月10日閲覧。
- ^ Hunter JM (April 1996). “Rocuronium: the newest aminosteroid neuromuscular blocking drug”. British Journal of Anaesthesia 76 (4): 481–3. doi:10.1093/bja/76.4.481. PMID 8652315.
- ^ “Anaesthetic management in asthma”. Minerva Anestesiologica 73 (6): 357–65. (June 2007). PMID 17115010.
- ^ Naguib M (March 2007). “Sugammadex: another milestone in clinical neuromuscular pharmacology”. Anesthesia and Analgesia 104 (3): 575–81. doi:10.1213/01.ane.0000244594.63318.fc. PMID 17312211 .
- ^ McKee, Selina (September 24, 2013). “FDA turns down Merck & Co's sugammadex again”. PharmaTimes. February 22, 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月10日閲覧。
- ^ “Press Announcements - FDA approves Bridion to reverse effects of neuromuscular blocking drugs used during surgery” (英語). www.fda.gov. 2017年1月7日閲覧。
- ^ Carron, Michele; Zarantonello, Francesco; Tellaroli, Paola; Ori, Carlo (2016). “Efficacy and safety of sugammadex compared to neostigmine for reversal of neuromuscular blockade: a meta-analysis of randomized controlled trials”. Journal of Clinical Anesthesia 35: 1–12. doi:10.1016/j.jclinane.2016.06.018. PMID 27871504.