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ロサンゼルス郡都市圏交通局P865形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロサンゼルス郡都市圏交通局P865形電車
ロサンゼルス郡都市圏交通局P2020形電車
P865形(2004年撮影)

P2020形(1995年撮影)
基本情報
運用者 ロサンゼルス郡都市圏交通局
製造所 日本車輌製造
製造年 P865形 1989年 - 1990年
P2020形 1994年 - 1995年
製造数 P865形 54両(100 - 153)
P2020形 15両(154 - 168)
運用開始 P865形 1990年
P2020形 1995年
運用終了 P865形 2018年
P2020形 2021年
主要諸元
編成 2車体連接車、両運転台
軸配置 Bo'2'Bo'
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V
架空電車線方式
最高運転速度 88 km/h(50 mph)
設計最高速度 104 km/h(65 mph)
車両定員 180人(着席76人)
車両重量 42.8 t(94,160 lbs)
全長 26,518 mm(87 ft)
全幅 2,661 mm(8 ft)
全高 3,505 mm(11 ft 6 in)
車輪径 711.2 mm(2 ft 4 in)
固定軸距 1,900 mm(6 ft 2 51/64 in)
主電動機出力 217 kw
搭載数 2基
駆動方式 直角カルダン駆動方式
出力 434 kw
制御方式 電機子チョッパ制御方式
制動装置 回生ブレーキディスクブレーキ電磁吸着ブレーキ
保安装置 列車対地上連絡装置(TWC)、自動列車停止装置(ATC)
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7][8][9]に基づく。
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ロサンゼルス郡都市圏交通局P865形電車(ロサンゼルスぐんとしけんこうつうきょくP865がたでんしゃ)は、かつてアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡で公共交通機関を運営するロサンゼルス郡都市圏交通局が所有していた車両ライトレールブルーライン(現:A線)開通に合わせて日本の鉄道車両メーカーである日本車輌製造によって製造された電車で、増備車のP2020形と共に長期に渡って使用されたが、P865形は2018年、P2020形は2021年までに営業運転を終了した[1][2][3][4][5]

概要

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ロサンゼルス郡都市圏交通局A線は、ロサンゼルス初のライトレール「ブルーライン(Blue Line)」として1990年に開通した路線である[注釈 1]。それに合わせ、日本の鉄道車両メーカーである日本車輌製造への発注が行われたのがP865形である[2][3][11][12]

両運転台の2車体連接車で、車体は耐候性高張力鋼板を用いた全溶接式構造が採用された他、床下機器を覆うカバーを始めとする一部はアルミが使われた。また車端部の台枠には安全対策としてアンチクライマーが設置された。乗降扉は圧縮空気を用いて開閉する両開き式で、各車体の両側面に2箇所設置されており、プラットホームが存在するという線形条件から扉の位置は床面高さと同じとされた。窓ガラスはFRA(連邦鉄道省)の規定に基づき、一定の速度で銃弾が当たっても貫通しない強度を有していた。連節箇所の下部には動力が設置されていない中央台車が存在し、台枠の結合部分がピンで取り付けられていた。これにより双方の車体の荷重が伝達され、事故時の破損や車体の乗揚げを防ぐ効果があった。この連節部分は再度カバーやトップカバーで覆われており、外見からは目立たないようになっていた。製造当初の塗装はカリフォルニアの明るい街を走る軽快さをイメージし、白色をベースにダークブルー、ミディアムブルー、ライトブルー、クリムゾンレッド、ブラックの5色を車体全体に走らせるというデザインであった[1][6][13][14]

車内には合計76人分の座席が設置され、ステンレス製のフレームにクッション材入りの布織物で覆った形状となっていた。大半の座席は運転台側を向いた2人掛けのクロスシートであったが、乗降扉付近は中央向きのロングシートで、そのうち運転台側の3人掛け座席は折り畳みが可能であった。また、車内には冷暖房双方に対応した空調装置が完備されていた[13][15][14]

主要機器については、屋根上に各種アンテナや空調装置、抵抗器、集電装置が存在した一方、床下には回生ブレーキに対応した電機子チョッパ制御装置、安全対策のための列車対地上連絡装置(TWC)、補助電源装置、充電池などが搭載された。また、各車体の運転台側に設置された動力台車には1基の主電動機が搭載され(モノモーター方式)、騒音防止の観点から空気ばねや防音車輪が、軽量化の観点からインサイドベアリング方式が用いられた[7]

運用

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ブルーライン(→A線)の開業に備えてP865形は合計54両(100 - 153)が製造され、1990年7月14日の開通に合わせて営業運転を開始した。その後、1995年グリーンライン(現:C線)の開通に合わせて、前年の1994年に同型車両のP2020形が15両(154 - 168)増備された。これらの車両の基本構造はP865形と同一であったが、グリーンラインの走行に必要な自動列車制御システムが搭載されていた。その後これらの車両は2000年に全てブルーラインへ転属した[2][4][8][9][16]

以降は両形式とも主力車両としてブルーラインやエキスポ線(現:E線)で長期に渡り使用されたが、P865形については製造から27年以上が経過し老朽化が進んだため、近畿車輛が製造したP3010形への置き換えが2017年から始まり、2018年9月までに営業運転から撤退した。以降は2両が現存しており、144が南カリフォルニア鉄道博物館で保存されている他、トップナンバーの100も登場時の姿に復元された上でロングビーチで静態保存されている[2][3][17][18]

P2020形についてはそれ以降も使用されたが、こちらも2021年までに全車両が営業運転を終了した。ほとんどの車両は解体されたが、1両(164)のみ残存しウエスタン鉄道博物館で保存されている[4][5]


関連項目

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  • ロサンゼルス郡都市圏交通局のライトレール車両[19][20]

脚注

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注釈

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  1. ^ 「ブルーライン」を含めたロサンゼルス郡都市圏交通局のライトレールや地下鉄路線は2019年から2020年にかけて系統名の変更が行われており、「ブルーライン」は2019年にA線に改名された[10]

出典

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  1. ^ a b c Light Rail Vehicle for LACMTA”. NIPPON SHARYO,LTD.. 2022年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e LA Metro to retire remaining P865 light-rail cars”. Progressive Railroading (2018年7月12日). 2023年10月8日閲覧。
  3. ^ a b c d Anna Chen. “End of an era: the last P865 light rail car has been decommissioned”. The Source. 2018年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月8日閲覧。
  4. ^ a b c d Help save Metro car 164”. Western Railway Museum. 2023年10月8日閲覧。
  5. ^ a b c losangelesmetroの投稿(10159407927596763) - Facebook
  6. ^ a b 佐々孝光 1989, p. 79.
  7. ^ a b 佐々孝光 1989, p. 84.
  8. ^ a b Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority 2010, p. 7.
  9. ^ a b Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority 2010, p. 18.
  10. ^ Light rail to Long Beach will reopen soon — but it won’t be called the Blue Line”. Los Angeles Times (2019年10月17日). 2023年10月8日閲覧。
  11. ^ 佐々孝光 1989, p. 78.
  12. ^ Metro A Line (Blue)”. Metro.net. 2023年10月8日閲覧。
  13. ^ a b 佐々孝光 1989, p. 81.
  14. ^ a b 佐々孝光 1989, p. 83.
  15. ^ 佐々孝光 1989, p. 82.
  16. ^ Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority 2010, p. 6.
  17. ^ Anna Chen (2018年7月11日). “Metro light rail car 144 will retire to the Orange Empire Railway Museum”. The Source. 2018年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月8日閲覧。
  18. ^ Now-retired Metro rail car may soon serve as cafe or museum in Long Beach”. Long Beach Post News (2021年8月18日). 2023年10月8日閲覧。
  19. ^ Impact Recovery Systems (19 December 2013). Successful Implementation of Station Platform Between Car Barriers (PDF) (Report). 2023年10月8日閲覧
  20. ^ OUR PRODUCTS”. Kinki Sharyo. 2023年10月8日閲覧。

参考資料

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