宅配ロボット
宅配ロボットまたはデリバリーロボット(英語: Delivery robot)[1][2]は、「ラストマイル」の配達サービスを提供する「無人地上車両」あるいは「無人航空機」の自律型ロボットである。
概要
[編集]宅配ロボットは、食品配達、小包配達、病院配達、ルームサービスなど、さまざまな活用が検討されている。また、オペレーターは、ロボットが障害物等に引っかかる場合など、ロボットが単独で解決できない特定の状況下では遠隔操作で監視および制御が可能である。
離島または災害等で道路が利用できない場合は、無人航空機の活用が期待される。
歴史
[編集]宅配ロボットが実用化される以前は、ホテルのルームサービスでロボットは使われていた。2014年、ロボット・ベンチャー企業であるサヴィオーク によってルームサービスロボット「Relay」が導入された。顧客が注文すると、スタッフが商品をロボットに入れて顧客に配達するロボットによる最初の配送であった[3]。
日本
[編集]経済産業省では、自動配送ロボットを「自動で走行して、物流拠点や小売店舗などの様々な荷物や商品を配送するロボット」と定義している。EC市場の拡大などにより宅配需要が急増する中、物流分野における人手不足や買い物弱者対策などの課題解決のため、早期の社会実装が期待されている[4]。
日本では少子高齢化による人手不足などの影響が問題になっている。特に物流、運送業界[5]の慢性的な労働力不足解決のために自動配送ロボットが公道を走行するための実証実験[6][7]が行われ、法整備も進んでいる[1][2][8][9]。
2022年11月8日、北海道石狩市緑苑台東地区の一部エリアの公道で無人自動配送ロボットによる個人向け配送サービスの実証実験を開始[10]。
自動走行ロボットが公道走行を可能にする改正道路交通法が2023年4月1日に施行され、自動走行ロボットは「遠隔操作型小型車」として届出制になる見通し[11]。
- 2019年 - 官民協議会が国内の実装に向けた検討を開始
- 2020年 - 公道実証実験の制度整備および国内での公道実証実験開始
- 2021年 - 通常国会に自動配送ロボットの制度化の関連法案提出
- 2022年4月19日 - 低速・小型の自動配送ロボットの公道走行に関する規定の整備を含む「道路交通法の一部を改正する法律」が成立
- 2023年4月1日 - 改正道路交通法が施行、自動配送ロボットの公道走行が可能に
企業
[編集]自動走行ロボット
[編集]小型ロボットを積極的に利用し、安全な速度で走行、歩行者や障害物を避けながら食料品や小さな荷物のラストマイル配達を行っている。
- スターシップ・テクノロジーズ - 2018年11月、ロンドンの北西部にあるイギリスのニュータウン・ミルトン・キーンズで宅配サービスを開始、約半年間で5万回以上の配送を実現している[12]。2021年1月までに100万回以上の配達を行った[13]。
- アマゾンスカウト - 2019年1月23日、アマゾンスカウトは米アマゾンが発表した6輪の自動配達ロボット。ワシントン州スノホミッシュ郡のアマゾンの顧客向けにパッケージの配達を行った[14]。2022年10月、スカウトのフィールドテストを中止した[15][16]。
ドローン
[編集]導入事例
[編集]-
食料品を配達するDaxbot
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タリンのスール・アメリカ通りを横断するスターシップ・テクノロジーズの配送ロボット
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ピッツバーグ大学医療センターの病院配達ロボット
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オレゴン州立大学の学生に食べ物を届けるスターシップ製の歩道ロボット
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b “ロボットが宅配経路を自分で判断、NTTが実験”. LogisticsToday (2022年10月4日). 2022年11月3日閲覧。
- ^ a b “公道走行のロボット宅配や「レベル4」の自動運転、23年4月1日解禁へ”. LOGI-BIZ (2022年10月28日). 2022年11月3日閲覧。
- ^ Last mile delivery robots, history, benefits and best companies (Angariium)
- ^ 自動配送ロボットを活用した新たな配送サービスについて - 経済産業省
- ^ “2023年以降、配送サービスのロボットが公道利用可能へ。物流の諸問題を解決に導くか”. S-cubism (2022年9月9日). 2022年11月4日閲覧。
- ^ 第5回自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会(令和4年2月) - 経済産業省 (PDF)
- ^ 公道実証実験動画:ラストワンマイル物流の実現に向けた自動走行ロボットの技術開発(NEDO) - YouTube
- ^ 自動配送ロボット ~公道実証実験の制度等について~ (令和4年2月1日時点) - 経済産業省 (PDF)
- ^ “自動配送ロボットの標識決まる 電波と車両などイメージ 警察庁”. 毎日新聞 (2022年10月27日). 2022年11月4日閲覧。
- ^ “無人自動配送ロボットを活用した個人向け配送サービス KCCSとヤマト運輸が北海道石狩市で実証実験”. ロボスタ (2022年11月9日). 2022年11月9日閲覧。
- ^ “解禁!自動運転レベル4、道交法改正に伴う「法令改正案」概要”. 自動運転ラボ (2022年11月2日). 2022年11月4日閲覧。
- ^ “Starshipの配送ロボットが5万回の宅配回数を達成 Amazonやセグウェイなど参入も活況に”. ロボスタ (2019年4月15日). 2022年11月9日閲覧。
- ^ “ロボット食品配送が日常風景になりつつある…イギリスでは子どもたちがバナナを与えようとした”. 自動運転ラボ (2021年2月4日). 2022年11月4日閲覧。
- ^ “Amazon Scout(アマゾンスカウト)”. ロボスタ (2019年1月23日). 2022年11月9日閲覧。
- ^ “実は役立たず?米Amazon、自動配送ロボの公開テスト中止”. 自動運転ラボ (2022年10月21日). 2022年11月10日閲覧。
- ^ “Amazon配送ロボ「これからが本番」 試験中止でピッカー真っ二つ”. 自動運転ラボ (2022年10月28日). 2022年11月10日閲覧。
- ^ Zipline gets FAA Part 135 certification -AOPA
- ^ “Wingcopter drone delivering COVID-19 test kits to Isle of Mull” (英語). Wings Magazine (2020年5月27日). 2022年11月10日閲覧。