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ローリー級ドック型輸送揚陸艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ローリー級ドック型輸送揚陸艦
基本情報
種別 ドック型輸送揚陸艦(LPD)
建造期間 1960年 - 1962年
就役期間 1962年 - 2005年
建造数 3隻
前級 なし
次級 オースティン級
要目
軽荷排水量 8,491 t
満載排水量 14,865 t
全長 159.0 m
水線長 152.4 m
最大幅 25.60 m
吃水 6.7 m
ボイラー 2缶
主機 蒸気タービン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 24,000 shp
電力 3,600 kW
速力 21ノット
航続距離 9,600海里 (16kt巡航時)
乗員
  • 個艦要員:士官24名+曹士396名
  • 揚陸部隊:1,139名
兵装 50口径3インチ連装速射砲×3基
搭載機 ヘリコプター甲板のみ
※一部艦は入れ子式ハンガーを後日設置
レーダー
電子戦
対抗手段
  • AN/SLQ-32(V)1 電波探知装置
  • Mk.137 6連装デコイ発射機×4基
  • テンプレートを表示

    ローリー級ドック型輸送揚陸艦(ローリーきゅうドックがたゆそうようりくかん、英語: Raleigh-class amphibious transport dock)は、アメリカ海軍が運用していたドック型輸送揚陸艦(LPD)の艦級。基本計画番号はSCB-187(3番艦はSCB-187A)[1]

    ドック型揚陸艦(LSD)をもとに、揚陸輸送艦 (LPA) 貨物揚陸艦(LKA)の機能を統合したものであり、1隻で自己完結した上陸戦機能を得た初の艦種であることから、強襲揚陸艦の元祖とされている[2]

    来歴

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    第二次世界大戦後のヘリコプターの発達を受けて、アメリカ軍ではこれらを水陸両用作戦に投入するためのヘリコプター揚陸艦の計画に着手した。まず1955年、実験的に護衛空母セティス・ベイ」が強襲ヘリコプター母艦に改装されるとともに、より本格的なヘリコプター揚陸艦として、エセックス級航空母艦からの改造(ボクサー級)および新規設計艦(イオー・ジマ級)の取得が計画された[1]

    しかしこれらのヘリコプター揚陸艦(LPH)は上陸用舟艇の運用能力を持たないため、重装備の揚陸能力に欠けるという問題があった[2]アメリカ海兵隊は、舟艇とヘリコプターの両方を運用できる艦を求めていたが、当時の情勢では、両方を本格的に運用できる艦の建造は高コストであると考えられていた。このことから、1956年ごろより、LPHと並行して、舟艇運用能力に重点を置いた新艦種としてドック型輸送揚陸艦(LPD)を整備する計画が着手された。1959年度計画より、その初の艦級として建造されはじめたのが本級である[1]

    設計

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    当初はかなり大型の艦として計画されていたが、予算上の制約から、1952年度計画より建造されていたLSDであるトーマストン級を元に発展させた設計が採用された[1]。主機関は基本的に同構成で、出力も同一だが、トーマストン級ではゼネラル・エレクトリック社製であったのに対して、本級ではド・ラヴァル社製とされていた。ボイラーの蒸気性状は圧力40.8 kgf/cm2 (580 lbf/in2)、温度467℃であった[3]

    ウェルドックは長さ51.2メートル×幅15.2メートルとされた。これは船体全長の32パーセントを占める程度であり、原型となったトーマストン級では長さ120メートル×幅14.6メートルと、船体全長の77パーセントを占めていたのと比べると、大幅にドック容積が削減されたことになる。その分、ドック前方には2層の車両甲板が追加されており、車両の搭載スペースは1,160 m2に増加した[4]。重量2,500トンないし体積4,955 m3を搭載可能とされている。また、削減されたとはいえ、ドックにはLCM(6)型9隻、またはLCM(6)型3隻とLCU 1隻を収容可能であった。また、後に登場したLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇も、1隻の収容に対応している[1]

    上記の経緯より、本級はLSDよりも優れた航空運用能力が要請されており、ドック上には固定式のヘリコプター甲板が設けられた。また当初計画ではハンガーの設置も検討されていたが、艦型の縮小に伴ってこれは断念された[1]。ただし、一部の艦では、後に入れ子式ハンガーが設置されている[4]

    なお、1960年度計画で建造された3番艦は、指揮・統制能力を強化した旗艦型とされており、基本計画番号もSCB-187Aに変更されていた。このことから、1972年には艦隊旗艦としてAGF-3に艦種変更されている[1]

    同型艦

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    同型艦一覧
    艦番号 艦名 建造所 起工 進水 就役 退役 備考
    LPD-1 ローリー
    USS Raleigh
    ニューヨーク海軍造船所 1960年
    6月23日
    1962年
    3月17日
    1962年
    9月8日
    1991年
    12月13日
    LPD-2 バンクーバー
    USS Vancouver
    1960年
    11月19日
    1962年
    9月15日
    1963年
    5月11日
    1992年
    3月31日
    LPD-3
    →AGF-3
    ラ・サール
    USS LaSalle
    1962年
    4月2日
    1963年
    8月3日
    1964年
    2月22日
    2005年
    5月27日
    1972年に指揮艦(AGF-3)に艦種変更
    2007年4月11日、大西洋艦隊の実弾演習の標的となり沈没

    登場作品

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    ゲーム

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    エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー
    オーシア国防海軍の通信情報艦「アンドロメダ」として登場。

    参考文献

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    1. ^ a b c d e f g Norman Friedman (2002). “Chapter 12. The Bomb and Vertical envelopment”. U.S. Amphibious Ships and Craft: An Illustrated Design History. Naval Institute Press. pp. 347-382. ISBN 978-1557502506 
    2. ^ a b 「アメリカ揚陸艦史」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、1-135頁、NAID 40015212119 
    3. ^ Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. pp. 821-822. ISBN 978-0870212505 
    4. ^ a b 「アメリカ揚陸艦のメカニズム」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、144-151頁、NAID 40015212119 

    関連項目

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    ウィキメディア・コモンズには、ローリー級ドック型輸送揚陸艦に関するカテゴリがあります。