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ワイルド・アパッチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワイルド・アパッチ
Ulzana's Raid
監督 ロバート・アルドリッチ
脚本 アラン・シャープ
製作 カーター・デヘイヴン
出演者 バート・ランカスター
ブルース・デイヴィソン
音楽 フランク・デ・ヴォル英語版
撮影 ジョセフ・バイロック
編集 マイケル・ルチアーノ英語版
制作会社 アソシエイツ&アルドリッチ
デヘイヴン=アルドリッチ
配給 MCA
ユニバーサル・ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 1972年11月15日
上映時間 105分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $2,800,000[1]
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ワイルド・アパッチ』(原題:Ulzana's Raid)は、1972年公開の西部劇映画。

あらすじ

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アパッチ族の戦士ウルザナは、数名の仲間を引き連れてインディアン居留地から脱走する。ローウェル砦英語版にウルザナ脱走の知らせが届き、指揮官のカートライト少佐は偵察のマッキントッシュに情報収集を任せ、デ・ビュイン少尉に追撃隊の編成を命じる。居留地の長老たちからウルザナの話を聞き出したマッキントッシュは、アパッチ族の協力者ケ・ニ・テイを連れて戻り、アドバイザーとしてデ・ビュインの追撃隊に同行する。その頃、付近の農場に危険を伝えに向かった新兵がウルザナに襲撃されて殺され、砦に避難しようとしていた母子もウルザナに襲われ、母親は凌辱されるのを防ぐために護衛に射殺され、その護衛も自殺する。ウルザナたちは護衛の心臓を抉り出して立ち去り、彼女の夫が残る農場に乗り込み、彼を拷問して死に追いやる。

ウルザナを追う追撃隊だったが、手掛かりを掴めずに疲弊し、当初はウルザナに寛大な姿勢を見せていたデ・ビュインも、ウルザナたちの残虐な行為を目にして次第に怒りを覚えるようになる。ケ・ニ・テイはウルザナの仕掛けた罠に気付き彼らを待ちかまえ、ウルザナの息子を射殺する。兵士たちはウルザナの息子の遺体を八つ裂きにしようとするが、デ・ビュインはそれを止め、丁重に埋葬するように命令する。追撃隊は馬を補充しようと近くの農場に立ち寄るが、そこは既にウルザナたちに襲撃された後で、農場主は惨殺され、妻は強姦されたまま放置されていた。ケ・ニ・テイはウルザナたちの士気が低下していることに気付き、罠を仕掛けて待ち構える作戦を提案する。デ・ビュインは提案を受け入れ、マッキントッシュと軍曹に部隊の半数を預けて夫人を砦に送り届ける進路を取らせ、自身はケ・ニ・テイと残りの部隊を連れてウルザナの仲間がいる山に向かう。

ケ・ニ・テイはウルザナの仲間を仕留めるため、デ・ビュインから望遠鏡を借りて「望遠鏡を反射させたら、マッキントッシュたちの救援に向かうように」と伝え山に乗り込む。しかし、ウルザナの仲間が持っていた望遠鏡が太陽に反射してしまったため、デ・ビュインたちはマッキントッシュたちの元に向かってしまう。それに気付いたケ・ニ・テイは、ウルザナの仲間を殺して後を追う。一方、マッキントッシュたちは渓谷でウルザナたちの襲撃を受け、全滅の危機に瀕していた。軍曹は射殺され、マッキントッシュも重傷を負う。そこにデ・ビュインたちが到着し、ウルザナたちを全滅させる。ウルザナは一人その場から逃げ出すが、ケ・ニ・テイに追い詰められ射殺される。デ・ビュインはマッキントッシュを連れて砦に戻ろうとするが、自分が助からないことを自覚していたマッキントッシュはそれを拒否する。それを聞いたデ・ビュインは、マッキントッシュに別れを告げて砦に帰還する。


キャスト

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役名 俳優 日本語吹替
テレビ朝日
マッキントッシュ バート・ランカスター 加藤武
ガーネット・デ・ビュイン少尉 ブルース・デイヴィソン 富山敬
ケ・ニ・テイ ホルヘ・リューク 中田浩二
軍曹 リチャード・ジャッケル 内海賢二
ウルザナ ホアキン・マルティネス英語版 小林清志
チャールズ・ゲイツ大尉 ロイド・ボックナー英語版
ウィリー カール・スウェンソン英語版
カートライト少佐 ダグラス・ワトソン英語版
リオルダン夫人 ドラン・ハミルトン
伍長 ジョン・ピース英語版
ウィリーの妻 グラディス・ホーランド
アビー・ギンスフォード マーガレット・フェアチャイルド
アパッチ族の女 エイミー・イークルス
ギンスフォード リチャード・ブル
アパッチ族の長老 オットー・ライコウ
アパッチ族の戦士 ジョージ・アギラール英語版
不明
その他
雨森雅司
石森達幸
寺島幹夫
北村弘一
徳丸完
日本語スタッフ
演出
翻訳
効果
調整
制作 グロービジョン
解説 淀川長治
初回放送 1977年7月24日
日曜洋画劇場

製作

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本作は、実際に起きたアパッチ族の襲撃事件を基にアラン・シャープが脚本を担当し、1956年公開の『捜索者』から強い影響を受けている[2]。シャープは本作について「世界の悪意と恐怖に直面した人々を寓意的に表現しようとした」と語っている[2]。主演のバート・ランカスターは、『ベラクルス』以来18年振りにロバート・アルドリッチ作品に出演している[3]。映画に登場するウルザナは、アリゾナ州で蜂起したジェロニモと同時代に実在したアパッチ族の戦士である[4]

撮影はアリゾナ州コロナド国立森林英語版とノガレス、ネバダ州バレー・オブ・ファイア州立公園英語版で行われた。製作にはランカスターも参加したため、アルドリッチ編集版とランカスター編集版の二種類のバージョンが存在する。両方のバージョンに大きな差異はないが、細かい会話のシーンに差異が存在している。

評価

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ジーン・シスケルは、本作を「1972年公開の映画ベスト10の一つ」と評価している[5]。また、ニューヨーク・タイムズヴィンセント・キャンビーも「1972年のベスト映画の一つ」と評価している[6]。批評家のエマニュエル・レヴィは、「1970年代最高の西部劇映画であり、他の作品と比べて過小評価されている作品の一つでもある」と述べている[7]

アメリカ軍が荒涼とした土地で残虐な敵を追跡するニヒリズム的な描き方は、ベトナム戦争に参加したアメリカ軍に対する寓意であると指摘されている[8]

関連

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出典

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  1. ^ Alain Silver and James Ursini, Whatever Happened to Robert Aldrich?, Limelight, 1995 p 284
  2. ^ a b Movies: White Man Unforks Tongue for 'Ulzana' Sharp, Alan. Los Angeles Times (1923-Current File) [Los Angeles, Calif] 13 May 1972: k20.
  3. ^ "Aldrich, Lancaster Reunited" Murphy, Mary. Los Angeles Times (1923-Current File) [Los Angeles, Calif] 27 November 1971: a9.
  4. ^ http://www.desertexposure.com/200606/200606_ulzana.html[リンク切れ]
  5. ^ Movies: Gene Siskel picks top 10 films of 1972 Chicago's best films... the pick of 1972's pack Siskel, Gene. Chicago Tribune (1963-Current file) [Chicago, Ill] 31 Dec 1972: o1.
  6. ^ Critic's Choice -- Ten Best Films of '72: Critic's Choice -- Ten Best of '72 By VINCENT CANBY. New York Times (1923-Current file) [New York, N.Y] 31 Dec 1972: D1.
  7. ^ Levy, Emanuel (April 12, 2008). “Ulzana's Raid”. 2017年4月30日閲覧。
  8. ^ Williams, Tony (2004). Body and soul: the cinematic vision of Robert Aldrich. Scarecrow Press. pp. 181–185. ISBN 978-0-8108-4993-8 

参考文献

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