ヴァージン・ギャラクティック
種類 | Private company |
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市場情報 | |
本社所在地 |
アメリカ合衆国 ニューメキシコ州 |
設立 | 2004年 |
業種 | サービス業 |
事業内容 | 宇宙旅行 |
代表者 |
リチャード・ブランソン(創設者) ジョージ・ホワイトサイド(チーフスペースオフィサー) |
従業員数 | 30人(2007年) |
主要株主 | ヴァージン・グループ |
外部リンク | https://www.virgingalactic.com/ |
ヴァージン・ギャラクティック (英語: Virgin Galactic) は、ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソンが設立した宇宙旅行ビジネスを行う会社である。
かつては宇宙旅行の他に衛星打ち上げ事業も担っていたが、衛星打ち上げについては2017年にヴァージン・オービット社へ分社されている。
事業
[編集]スケールド・コンポジッツ社より技術提供を受け、再使用が可能な宇宙船「スペースシップツー」を開発しており、米国ニューメキシコ州に「スペースポート・アメリカ」、スウェーデンの北部に「スペースポート・スウェーデン」を建設している。スケールド・コンポジッツ社は、「スペースシップワン」の弾道飛行によりAnsari X Prizeに勝利し、賞金1000万ドルを獲得したことで知られる。
2023年6月より宇宙旅行の商業飛行を開始しており、約800人が予約済みとなっている[1]。日本に於ける公式代理店はクラブツーリズム・スペースツアーズ[2]。
2019年10月18日、SPACにより商業飛行の開始を待たずニューヨーク証券取引所に上場した[3][4][5]。初値は12.34ドル[3]。初値を基に計算した時価総額は約10億ドル(当時レートで約1080億円)となった[3]。「宇宙旅行会社」の上場は世界初となった[3][4][5]。
スペースシップツーのパイロット以外を乗せた有人宇宙飛行は2021年7月に初めて行われた。この飛行では創業者のリチャード・ブランソンら6人が搭乗、高度80kmに到達し3分間の無重力体験を行い、1時間後に無事帰還した[6][7][8]。
計画
[編集]ヴァージン・ギャラクティック社は年500人の観光客を一人当たり25万ドルの料金で宇宙へ送る計画を立てている(2021年に45万ドルに値上げ[1])。1960年代から2007年まで、100km以上の高さの宇宙に到達した飛行士は448人しかいない(ただしそのほとんどは地球を周回している)。ヴァージン・ギャラクティックは毎年これを超える人数の観光客を宇宙空間に送り込むことになる。
飛行は弾道飛行で、大気圏と宇宙のおおよその境界とされる地上100kmを若干超える高さまで到達することになっている。完全な無重力になる時間はおよそ6分間を予定している。将来的には軌道上を周回する宇宙機の投入も計画している。
沿革
[編集]- 2012年5月、連邦航空局 (FAA) より高度100kmの宇宙空間で試験飛行を行うための許可が交付される[9]
- 2013年4月、ロケットエンジンを使用した飛行試験を実施、高度17 kmまで到達した。2013年内には高度100 km到達させると発表した[10]。
- 2013年9月5日、2度目の飛行試験に成功[11]。高度約13kmから21kmまでをロケット動力で上昇した後、「フェザリング」技術を使って下降した[11]。
- 2014年1月10日、スペースシップツーの3回目のテスト飛行に成功[12]。3回目となるロケットエンジン噴射飛行で、これまでの最高高度となる7万1000フィート(約21.6キロメートル)を記録した[12]。
- 2014年10月31日、アメリカカリフォルニア州のモハーヴェ砂漠でスペースシップツーが4回目の試験飛行中に何らかの原因で爆発し、墜落したと発表[13][14][15]。母船は無事に帰還している[15]。2015年7月28日、米運輸安全委員会が、死亡した副操縦士による誤操作が原因だったとする調査結果を公聴会で明らかにした[16]。
- 2016年12月、飛行実験を再開[17]。スペースシップツーの2号機「VSSユニティ」が12月5日、12月22日の2回母機からのグライダー飛行に成功した[17]。
- 2018年4月5日、2014年の事故以来初めて、スペースシップツーのエンジンを使った試験飛行を再開し、成功したと発表した[18]。
- 2018年12月13日、「VSSユニティ」が米空軍の定める高度80km以上の宇宙空間に到達し、「史上初めて民間の乗客を乗せるために作られた有人宇宙船が宇宙に到達した」と発表した[19]。2019年2月の飛行後は機器の不良などでテストが延期されたが、2021年5月に再開。
- 2021年7月11日、創業者のリチャード・ブランソンら6人が搭乗したスペースシップツーが高度80kmに到達し3分間の無重力体験を行い、1時間後に無事帰還した[6][7][8][20][21]。
- 2023年6月29日、乗客3名が搭乗した初の商業飛行に成功 (Galactic 01)。スペースシップツーによる商業運用が開始される[1]。
- 2023年11月3日、5回目の商業宇宙飛行に成功 (Galactic 05)[22]。2023年6月の商業運用開始以来、月に1回のペースでの運用がされている[22]。1回目以来となる「準軌道科学実験室」のミッションを行い、有人宇宙飛行に関連した生理学的データを収集する2件の実験と微小重力環境下における新しいヘルスケア技術の評価の実験計3件の実験を実施した[22]。
- 2024年1月26日、6回目の商業宇宙飛行に成功 (Galactic 06)[23][24]。乗組員には、4人の民間の乗客と2人のヴァージン・ギャラクティックの従業員が含まれていた。宇宙飛行士の教官が搭乗していない最初のミッションであった[25]。フランツ・ハイダーはフランツ・フィーベックに続いて宇宙に行った2人目のオーストリア人となり、リナ・ボロジナは宇宙に行った最初のウクライナ人女性となった。
- 2024年6月8日、7回目の商業宇宙飛行に成功 (Galactic 07)。「VSSユニティ」の運用を終了して、以後はDelta Classの開発に注力することを発表[26]。
宇宙機
[編集]スペースシップツー
[編集]スペースシップツーはヴァージン・ギャラクティック社が運用する宇宙旅行者向けの弾道飛行スペースプレーン。母機であるホワイトナイトツーから空中で分離された後、高度80km以上の宇宙空間を目指す。1号機の「VSS Enterprise」は事故で失われたが、2号機の「VSS Unity」は宇宙空間に到達した。2023年から2024年にかけて7回の商業飛行が行われた後、2号機も運用終了となっている[26]。
スペースシップ III
[編集]スペースシップ IIIは、スペースシップツーの後継機となる弾道飛行スペースプレーンで、仕様や運用方法はスペースシップツーを踏襲するが、外観が鏡面塗装になっている他、内部構造がモジュール化されるなど大幅な改良が図られている[27]。1機目となる「VSS Imagine」は2021年3月に発表された[28]。また並行して2機目の「VSS Inspire」も建造中としている[28]。しかし、その後飛行が行われることはなく、2024年に先代のVSS Unityが運用終了した際に、VSS ImagineとVSS InspireはともにDelta Class開発のための地上試験などに転用されることが報じられている[29]。
Delta Class
[編集]Delta Classはスペースシップツーの後継機として開発されている新型の宇宙船で、乗客が最大6人にとなる他、週一回の飛行が可能となるとしている[30]。2024年現在開発中で、2026年の飛行を予定している[26]。
脚注
[編集]- ^ a b c “ヴァージン社が米国で宇宙飛行に成功 6500万円で販売”. 日経新聞 (2023年6月30日). 2023年6月30日閲覧。
- ^ 渡辺豪「2時間弾丸旅行が2000万円台」『AERA』第32巻第2号、朝日新聞出版、2019年1月14日、35-39頁。
- ^ a b c d “宇宙旅行の米ヴァージンがNY上場、時価総額10億”. 日本経済新聞 電子版. 日本経済新聞社 (2019年10月28日). 2020年1月3日閲覧。
- ^ a b “ヴァージン・ギャラクティックがNY証取に上場、宇宙旅行会社として世界初”. www.afpbb.com. フランス通信社 (2019年10月29日). 2020年1月3日閲覧。
- ^ a b “ヴァージンギャラクティック上場、前途は多難か”. WSJ Japan. ウォールストリートジャーナル (2019年10月29日). 2020年1月3日閲覧。
- ^ a b “商業宇宙旅行へ、試験飛行成功 米、ヴァージンギャラクティック”. 47NEWS. 共同通信社 (2021年7月12日). 2021年7月18日閲覧。
- ^ a b Corporation株式会社テレビ東京-TV TOKYO『米 宇宙旅行の試験飛行に成功 ヴァージン創業者も搭乗|テレ東プラス』 。2021年7月18日閲覧。
- ^ a b “ヴァージン創業者、宇宙船の試験飛行に成功、高度85キロに到達”. BBCニュース. (2021年7月12日) 2021年7月18日閲覧。
- ^ “宇宙観光、年末にも試験にゴー 米当局が飛行許可”. 47NEWS. 共同通信 (全国新聞ネット). (2012年5月31日) 2013年8月21日閲覧。
- ^ “ヴァージンの宇宙船「スペースシップツー」、ロケットによる初の超音速飛行を成功”. sorae.jp (2013年4月30日). 2013年8月15日閲覧。
- ^ a b “宇宙旅客機の2度目の飛行試験に成功、英ヴァージン”. CNN. (2013年9月7日) 2014年1月4日閲覧。
- ^ a b “ヴァージンギャラクテック、宇宙旅客機の3回目のテストフライトを完了…高度7万1000フィートを達成”. Response.. (2014年1月22日) 2014年2月26日閲覧。
- ^ “米で宇宙船が試験飛行中に墜落、1人死亡か”. 読売新聞. (2014年11月1日) 2014年11月1日閲覧。
- ^ “英ヴァージンの宇宙船が試験飛行中に墜落、1人死亡”. ロイター. (2014年11月1日) 2014年11月1日閲覧。
- ^ a b 日本経済新聞2014年11月2日朝刊14版5面
- ^ “副操縦士の誤操作が原因 米宇宙船試験機の墜落事故”. 47NEWS. (2015年7月28日) 2015年7月29日閲覧。
- ^ a b “2回目も成功 民間宇宙旅行のヴァージン社「VSSユニティ」 グライダー飛行実施”. エキサイトニュース. (2016年12月26日) 2017年1月15日閲覧。
- ^ “宇宙船の試験飛行再開、無重力体験の旅行目指す”. 読売新聞. (2018年4月7日) 2018年4月11日閲覧。
- ^ “ヴァージン、初の有人宇宙飛行に成功 米国では7年ぶり”. www.afpbb.com. 2018年12月14日閲覧。
- ^ “ヴァージン創業者、宇宙飛行に成功 ベゾス氏に先んじる”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2021年7月12日). 2021年7月18日閲覧。
- ^ “ヴァージン社の新型宇宙船、有人宇宙飛行に成功…創業者ブランソン氏ら搭乗”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2021年7月12日). 2021年7月18日閲覧。
- ^ a b c “ヴァージン・ギャラクティックが5回目の商業宇宙飛行に成功 次回は2024年1月の予定”. sorae 宇宙へのポータルサイト. 株式会社sorae (2023年11月3日). 2023年11月10日閲覧。
- ^ “VIRGIN GALACTIC COMPLETES 11TH SUCCESSFUL SPACEFLIGHT” (英語). Virgin Galactic (26 January 2024). 26 January 2024閲覧。
- ^ Foust, Jeff (2024年1月26日). “Virgin Galactic launches four private astronauts as it prepares to end Unity flights”. SpaceNews. 2024年5月22日閲覧。
- ^ Wall, Mike (2024年1月27日). “Virgin Galactic launches 1st Ukrainian woman to space on Galactic 06 suborbital flight (video)”. Space.com. 2024年5月22日閲覧。
- ^ a b c “VIRGIN GALACTIC COMPLETES 12TH SUCCESSFUL SPACEFLIGHT” (英語). Virgin Galactic. 2024年6月16日閲覧。
- ^ a b “ヴァージン、最新の宇宙船を発表…2021年夏にテスト飛行を予定”. Businessinsider. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “Investing in Space: Virgin Galactic enters spaceflight hiatus after retiring Unity” (英語). CNBC (2024年6月13日). 2024年6月17日閲覧。
外部リンク
[編集]- Virgin Galactic
- クラブツーリズム・スペースツアーズ - ヴァージン・ギャラクティック社主催の宇宙旅行(弾道飛行)を日本国内において独占販売。