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ヴェーゼンドンク歌曲集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヴェーゼンドンク歌曲集』(ドイツ語: Wesendonck Lieder)は、リヒャルト・ワーグナーが作曲した連作歌曲楽劇トリスタンとイゾルデ』を予告する作品として重要である。

概要

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当時のパトロンオットー・ヴェーゼンドンク(1815年 - 1896年)夫人、マティルデ・ヴェーゼンドンクの詩に曲付けされている。オットーの庇護下にある中で、ワーグナーとマティルデは情事を重ねており、それが結果的に『トリスタン』の濃密なロマンティシズムに寄与した、と伝えられている。マティルデの詩は、ヴィルヘルム・ミュラーシューベルトのお気に入りの詩人)に影響された、思い焦がれたような受苦的な文体にのっとっている。

次の5曲から構成されている。

  1. 天使 Der Engel
  2. とまれ Stehe still!
  3. 温室にて Im Treibhaus
  4. 悩み(心痛) Schmerzen
  5. Träume

最後に完成された2曲は、後に『トリスタン』に使われることになった楽想がいくつか登場する。「夢」は『トリスタン』第2幕の二重唱に、「温室にて」は『トリスタン』第3幕の前奏曲に含まれている。この2曲には、「トリスタンとイゾルデのための習作(Studie zu Tristan und Isolde)」という副題が付いている。

編成

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当初、ワーグナーは女声とピアノのために本作品を作曲したが、この後『夢』のみ管弦楽伴奏版を作成し、マティルデの誕生日である1857年12月23日に、室内オーケストラによって、窓越しに聞こえるように演奏された。

曲集全体の公開初演は、1862年7月30日マインツ近郊にて、「女声のための5つの歌曲」と題されて行われた。

『夢』を除く残りの4曲は、後にワーグナー指揮者として名を馳せたフェリックス・モットルにより管弦楽化され、現在全曲を演奏する際はこの版が使用されている。また、1976年ハンス・ヴェルナー・ヘンツェも、全曲を室内オーケストラ伴奏用に新しく編曲したが、全曲を通じ、オリジナルより短3度低く移調されている。

メゾ・ソプラノ藤村実穂子 は、N響 1971回定期公演Aプログラム(2022年12月3・4日、NHKホール、N響首席指揮者ファビオ・ルイージ指揮)においてこの曲を歌ったが、NHK Eテレ2023年 2月5日21:00-のクラシック音楽館で放映された際、藤村自身による邦訳がテロップで映し出された。

外部リンク

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