コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

三フッ化ヨウ素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三フッ化ヨウ素
識別情報
CAS登録番号 22520-96-3
特性
化学式 IF3
モル質量 183.9 g/mol
外観 黄色の個体(-28 ℃)[1]
融点

−28 ℃で分解[2]

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

三フッ化ヨウ素(さんフッかヨウそ、iodine trifluoride)は化学式IF3で表される、ヨウ素フッ素からなるハロゲン間化合物である。−28 ℃で分解する不安定な物質であり、製造時には五フッ化ヨウ素に分解してしまわないよう注意を要する。

反応

[編集]

トリクロロフルオロメタンの存在下の−45 ℃で、フッ素ヨウ素を反応させて得られる。また、下記のように低温下でヨウ素と二フッ化キセノンとの反応により製造することもできる。

非常に不安定な物質であるため、性質については知られていないことも多い。

構造

[編集]

他の三フッ化ハロゲンである三フッ化塩素三フッ化臭素と同様、T字形の構造をしている。ヨウ素原子からは2つの孤立電子対が出ている。ヨウ素からの距離は、アキシアル位のフッ素が198 pm、エクアトリアル位のフッ素が187 pm。アキシアル位とエクアトリアル位との角度は80.1°となっている[2]

性質

[編集]

−28 ℃以下では安定しているが、それ以上の温度ではヨウ素と五フッ化ヨウ素とに分解する。フッ素化剤としての性質を持つが、その能力は三フッ化塩素や三フッ化臭素より弱い[2]。低温状態で、トリクロロフルオロメタンの存在下でヨウ素と反応させることにより一フッ化ヨウ素を生じる。

歴史

[編集]

1960年に、マルティン・シュマイサーにより初めて合成された[3]

脚注

[編集]
  1. ^ Iodtrifluorid bei Webelements.com
  2. ^ a b c Arnold F. Holleman, Nils Wiberg: Lehrbuch der Anorganischen Chemie, 102. Auflage, de Gruyter, Berlin 2007, S. 459-460, ISBN 978-3-11-017770-1.
  3. ^ M. Schmeisser, E. Scharf (1960). “Über Jodtrifluorid JF3 und Jodmonofluorid JF”. Angewandte Chemie 72 (9): 324. doi:10.1002/ange.19600720912. 
ハロゲン間化合物
フッ素 塩素 臭素 ヨウ素 アスタチン
フッ素 F2
塩素 ClF ClF3 ClF5 Cl2
臭素 BrF BrF3 BrF5 BrCl BrCl3 Br2
ヨウ素 IF IF3 IF5 IF7 ICl I2Cl6 IBr IBr3 I2
アスタチン AtCl  AtBr  AtI At2?