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中村吉治

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

中村 吉治(なかむら きちじ、1905年2月4日[1][2] - 1986年12月10日[3])は、日本歴史学者東北大学名誉教授社会史農民史および村落共同体に関する著書多数。

経歴

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長野県上伊那郡朝日村平出(現在の辰野町)に生まれる[1]。朝日尋常高等小学校、長野県諏訪中学校を経て、旧制第三高等学校に進学[4]し、中村直勝の講義を聞き、歴史学に興味を持つ[5]1925年3月に同校文科丙類を卒業[6]京都帝国大学入学[7]後、1926年東京帝国大学文学部国史学科に再入学[8]し、卒業論文「近世初期の農政」をまとめ[9]1929年3月に同大学文学部卒業[3][10]

1929年、東京大学史料編纂所に入所[2]し、1933年3月まで勤めた[11]のち、東北帝国大学法文学部助教授[12]1941年に同教授となり[2]1968年定年退官[3]。東北大学名誉教授。同年、國學院大學経済学部教授、1981年退任[3]

1951年に「近世初期に於ける勧農について」により、東北大学から経済学博士の学位を授与される[13]

人物

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皇国史観一色に染まった戦前・戦中の歴史学界にあって、小野武夫古島敏雄などと雑誌「歴史学研究」「社会経済史学」などで、土一揆の研究や農民史の研究を発表し続けた。

同郷の先輩に社会学で有名な有賀喜左衛門がいたことや、柳田國男と親交があった関係[5]で、民俗学社会調査を取り入れた社会史研究はユニークである。

逸話

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豚に歴史はありますか

中村が東京帝国大学時代、卒業論文の指導を受けに平泉澄助教授を訪ねた。その時のことを、後年、中村自身が「私は百姓の歴史をやるといったら、えらく怒られもしないけれど、蔑視されちゃった。百姓に歴史はありますかというわけだ。何ですかと詳しく聞こうとしたら、豚に歴史はありますかとたたみかけられて、それで次ということになった」[14]と語った。この逸話は、後に『歴史手帖[15]などでも繰返し述べられ、広く知られるようになった。

著書

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資料

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  • 東北大学史料館において「中村吉治文書」(論文原稿、研究ノート、学内行政関係等)が保存・公開されている[16]

参考文献

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  • 『現代物故者事典1983-1987』日外アソシエーツ
  • 岩本由輝「中村吉治」『20世紀の歴史家たち(5)日本編 続』刀水書房〈刀水歴史全書45〉、2006年、217-233頁。 NCID BA31599971 
  • 塩澤君夫「中村吉治氏の訃(学界消息)」『日本歴史』第466号、吉川弘文館、1987年、126頁。 
  • 署名なし「彙報 全國各大學史學科學生昭和三年度卒業論文題目」『歴史地理』第53巻第3号、日本歴史地理学会、1929年、89-95頁、NCID AN00254866 
  • 東北大学記念資料室 編『中村吉治教授著作目録』東北大学記念資料室〈著作目録第31号〉、1968年。 NAID 120005744506 
  • 中村吉治「歴史と私―農民史への出発」『歴史手帖』第4巻第12号、名著出版、1976年、ISSN 0288-7568 
  • 中村吉治、佐藤和彦、峯岸賢太郎、山田晃弘「私の歴史研究 農民史探究と社会史」『歴史評論』第410号、1984年、83-101頁、NAID 40003833308 
  • 中村吉治『社会史への歩み 2 (学界五十年)』刀水書房、1988年。 NCID BN02578583 

脚注

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  1. ^ a b 岩本由輝 2006
  2. ^ a b c 東北大学記念資料室 1968
  3. ^ a b c d 塩澤君夫 1987
  4. ^ 『第三高等学校一覧 大正11年4月起大正12年3月止』第三高等学校、1922年9月1日、170頁。NDLJP:940326/193 
  5. ^ a b 中村吉治 et al. 1984
  6. ^ 『第三高等学校一覧 大正15年4月起大正16年3月止』第三高等学校、1926年7月10日、156(名簿)頁。NDLJP:940330/168 
  7. ^ 『官報』第3830号、大正14年6月1日、p.8
  8. ^ 『官報』第4136号、大正15年6月8日、p.196. NDLJP:2956287/5
  9. ^ 署名なし 1929
  10. ^ 『官報』第707号、昭和4年5月11日、p.293
  11. ^ 『史料編纂所一覧 昭和12年5月』東京帝国大学文学部史料編纂所、1937年、49頁。NDLJP:1220481/32 
  12. ^ 『東北帝国大学一覧 自昭和8年至昭和9年』1934年3月28日、76頁。NDLJP:1448331/46 
  13. ^ 書誌事項(CiNii Dissertations)”. 国立情報学研究所. 2017年2月26日閲覧。
  14. ^ 斎藤晴造ほか「経済史とともに四十年―中村吉治教授を囲んで」『研究年報 経済学(東北大学経済学会編)』第29巻第3・4号、1968年(中村吉治 1988, pp. 67–134)
  15. ^ 中村吉治 1976
  16. ^ 東北大学 教職員文書(個人・関連団体文書目録)”. 東北大学史料館 東北大学デジタルアーカイブズ. 2018年3月27日閲覧。

関連項目

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