久保幸夫
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久保 幸夫(くぼ さちお[1]、1950年[2] - )は、地理情報システム (GIS) の開発や研究に先駆的に取り組んだ日本の地理学者。
1970年前後、学生たちの間に計量地理学への関心が高かった名古屋大学文学部史学科に学び、東京大学大学院理学系研究科地理学専攻に進学[3]、1975年に修士論文「アーバンフリンジにおける土地利用変化-確率過程による拡散分析-」により理学修士を取得[4]、その後、東京大学理学部助手となった[5]。
久保は、高橋潤二郎らとともに、英米における新たな研究潮流であった地理情報システム (GIS) にいち早く1970年代後半から取り組み[6]、1978年には、位寄和久とともに、地理情報グラフィックシステム ALIS を開発した[7]。また、1980年代初頭からは、その研究動向の紹介に努めた[8][9]。
1985年には博士論文「地理的情報システムとその都市周縁部研究への応用」により博士(理学)を取得した[10]。
この頃の久保は、「当時、計量地理学分野で最も活躍の目覚ましかった」研究者であったと後に評される活動をしていた[11]。1986年11月には、情報学担当としてお茶の水女子大学文教育学部地理学科に転じて[12]講師となり、1989年に助教授に昇任した[13]。
1991年に、慶應義塾大学環境情報学部助教授に転じ[14]、その後1990年代なかばに教授へ昇任した[1]。
その後は、創価大学教育学部非常勤講師として教育研究活動を続け、日本学術会議の特任連携会員にもなった[16]。2013年には、地理情報システム学会からGIS名誉上級技術者に認定された[17]。
おもな著書
[編集]単著
[編集]- 新しい地理情報技術、古今書院、1996年
共著
[編集]共編著
[編集]脚注
[編集]- ^ a b 「久保 幸夫 KUBO Sachio」『KAKEN』国立情報学研究所。2024年9月11日閲覧。
- ^ 「クボ, サチオ 久保, 幸夫(1950-)」北海道科学大学図書館。2024年9月11日閲覧。
- ^ 日野正輝 著「都市群システムと企業の支店配置に関する研究」、阿部和俊 編『日本の都市地理学50年』古今書院、2011年、195頁。ISBN 978-4-7722-6109-8。
- ^ 「修士論文第目一覧」東京大学人文地理学教室。2024年9月11日閲覧。
- ^ 「久保 幸夫」『CiNii』国立情報学研究所。2024年9月11日閲覧。
- ^ 岡部篤行「地理情報システム(GIS)研究とGIS教育の必要性」『地学雑誌』第117巻第2号、東京地学協会、2008年、316頁、CRID 1390282679207184384。
- ^ 岡部篤行「GIS学会立ち上げの経緯」『地理情報システム学会25周年記念誌』(PDF)地理情報システム学会、22頁 。2024年9月11日閲覧。「1978年には久保幸夫氏と位寄和久氏によって地理情報グラフィックシステムである ALIS が開発されており、この頃から大学での GIS 研究会活動が始動したと思われる。」
- ^ 碓井照子「地理情報システム(GIS)研究とGIS教育の必要性」『奈良大学紀要』第21号、1993年3月1日、157頁、CRID 1050582008179217920。「1970年代初頭より久保幸夫がこの研究を我が国に紹介し、...」 - 碓井は、参考文献に久保(1980)を挙げており、引用中の「1970年代初頭」は「1980年代初頭」の誤り。
- ^ 久保幸夫「地理的情報処理の動向」『人文地理』第32巻第4号、1980年、328-350頁、CRID 1390001205140536704。
- ^ 「博士論文第目一覧」東京大学人文地理学教室。2024年9月11日閲覧。
- ^ 式正英「随想 千歳壽一先生をお迎えした頃」『お茶の水地理』第40号、1999年、73頁。
- ^ 「学会だより 学会活動報告 4. ニューズレター発行」『お茶の水地理』第28号、1987年、88頁。「...昨年11月に新たに情報学担当として地理学科に迎えた久保幸夫教官...」
- ^ 「人事異動」『お茶の水女子大学学報』(PDF)、128別冊1989年5月1日、3面。2024年9月11日閲覧。
- ^ 「学会だより 地理学教室動向 1. 教員の異動など」『お茶の水地理』第32号、1991年、93頁。「久保幸夫助教授(情報学)は、慶応大学環境情報学部より強く割愛希望があり、残念ながら3月末を以って本学を退官され、4月1日付で慶應大学に赴任されることになった。」
- ^ researchmap は、2006年時点で西日本旅客鉄道所属としているが別人との混同の可能性もある。:「久保, 幸夫」国立情報学研究所。2024年9月11日閲覧。
- ^ “特任連携会員(210名)一覧(五十音順) 平成20年8月7日現在” (PDF). 内閣府/日本学術会議. 2024年9月11日閲覧。
- ^ 太田守重「委員会報告 GIS資格認定協会の動向」『地理情報システム学会ニューズレター』(PDF)、第86号2013年6月25日、5面。2024年9月11日閲覧。