河瀨直美
かわせ なおみ 河瀨 直美 | |||||||||||
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生年月日 | 1969年5月30日(55歳) | ||||||||||
出身地 | 日本・奈良県奈良市 | ||||||||||
職業 | 映画監督、脚本家 | ||||||||||
配偶者 | 仙頭武則(1997年 - 2000年) | ||||||||||
公式サイト |
www | ||||||||||
主な作品 | |||||||||||
『萌の朱雀』 『殯の森』 『あん』 『光』 『朝が来る』 | |||||||||||
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河瀨 直美(かわせ なおみ、1969年5月30日 - )は、日本の映画監督。奈良県奈良市出身・在住。平城遷都1300年記念事業協会評議員。なら国際映画祭エグゼクティブディレクターを務める。メディア等では河瀬 直美とも表記される。
経歴
奈良県奈良市紀寺町出身。奈良市立一条高等学校卒業。中学時代にバスケットボールを始め、高校在学中はバスケットボール部キャプテンとして国体出場経験を持つ。大阪写真専門学校映画科卒業。
大阪写真専門学校卒業後、同校の講師を務めながら、8mm作品『につつまれて』(山形国際ドキュメンタリー映画祭国際批評家連盟賞受賞)や『かたつもり』(山形国際ドキュメンタリー映画祭奨励賞受賞)を制作し注目を集める。実父と生き別れ実母とも離別し、母方の祖母の姉に育てられた自らの特殊な境遇から制作された作品の独自性が評価されたものだった[要出典]。
1996年、大阪写真専門学校を退職し、奈良に個人事務所兼制作プロダクション「有限会社組画」を設立[1]。
1997年、初の35mm作品であると同時に最初の商業作品として制作された『萌の朱雀』にて、第50回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少(27歳)で受賞。また芸術選奨新人賞受賞。その直後に同作品のプロデューサーを務めた仙頭武則と結婚し、活動も「仙頭直美」名義となったが、のちに離婚したことにより姓を河瀨に戻した。再婚後の2004年に第1子(長男)を出産。
2007年、第60回カンヌ国際映画祭にて『殯の森』がグランプリを受賞[2]。同作品は劇場公開前の2007年5月29日(グランプリ受賞の2日後)にNHK BS-hiの『ハイビジョン特集』にて放送された[3][注釈 1]。また、同賞を受け、奈良県民栄誉賞を受賞[4]。同年10月には山形国際ドキュメンタリー映画祭のインターナショナル・コンペティション部門で『垂乳女』が特別賞を受賞した[5]。
2009年、第62回カンヌ国際映画祭で、映画祭に貢献した監督に贈られる「黄金の馬車賞」を、女性、アジア人として初めて受賞した[6]。
2013年、第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の審査員に選出[7]。日本人では、1996年にデザイナーの石岡瑛子が務めて以来、17年ぶり。映画監督では初。
2014年、第12回ウラジオストク国際映画祭にて『2つ目の窓』がグランプリ(Best Feature Award)を受賞[8]。
2015年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ章を、日本人女性映画監督として初めて受章[7][9]。同年、『あん』が第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニング作品に決まる[10]。
2016年、第69回カンヌ国際映画祭の短編コンペティション部門と、学生作品を対象としたシネフォンダシオン部門の審査委員長に就任[11]。
2017年、『光』が第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、エキュメニカル審査員賞を受賞した[12]。同部門での受賞は日本人女性監督としては、初の受賞となった[13]。
2018年10月、2020年東京オリンピックの公式記録映画の指揮(監督)に決定された[14]。
2020年7月13日、2025年大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーに就任[15]シニアアドバイザーも兼務[16]。
2021年6月4日、バスケットボール女子日本リーグ会長就任[17][18]。地元の男子プロバスケットボールクラブであるバンビシャス奈良のファンクラブ名誉会員でもある[19]。同年11月26日、日本女性初の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の親善大使に就任した[20][21]。同年12月10日、国際芸術祭「あいち2022」のアンバサダーに就任した[22]。
2022年4月12日、日本武道館で行われた東京大学の入学式で来賓として祝辞を述べた[23]。同年5月、2020年東京オリンピックの公式記録映画が第75回カンヌ国際映画祭で上映された[24]。同年5月30日、フランス政府より芸術文化勲章 オフィシエ章を授与された[25][26]。
主な受賞歴
- 第50回カンヌ国際映画祭 カメラ・ドール(新人監督賞)(『萌の朱雀』)
- 第26回ロッテルダム国際映画祭 国際批評家連盟賞(『萌の朱雀』)
- ベルギー王立フィルム・アーカイヴ(『萌の朱雀』)
- 第21回山路ふみ子映画賞 福祉賞(『萌の朱雀』)
- 第12回高崎映画祭 若手監督グランプリ(『萌の朱雀』)
- 第47回芸術選奨 文部大臣新人賞(『萌の朱雀』)
- 第53回ロカルノ国際映画祭 国際批評家連盟賞・ヨーロッパ国際芸術映画連盟賞
- 第3回ブエノスアイレス国際映画祭 最優秀撮影監督賞
- 第60回カンヌ国際映画祭 グランプリ(審査員特別大賞)(『殯の森』)
- 奈良県民栄誉賞
- エストニア/タリンブラックナイツ国際映画祭 NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)
- マケドニア国際映画祭 観客賞・市長賞
- 第22回高崎映画祭 最優秀監督賞
- Time for Peace Asian Film Award
- 第62回カンヌ国際映画祭 金の馬車賞
- 第12回ウラジオストク国際映画祭 グランプリ
- フランス芸術文化勲章 シュヴァリエ章
- 第60回バリャドリード国際映画祭 最優秀監督賞
- 2015年度全国映連賞 監督賞(『あん』)
- 第45回報知映画賞 監督賞(『朝が来る』)[27]
- 第75回毎日映画コンクール 監督賞(『朝が来る』)[28]
- 第44回日本アカデミー賞 優秀監督賞(2021年、『朝が来る』)[29]
主な監督作品
- につつまれて(1992年)
- 白い月(1993年)
- かたつもり(1994年)
- 天、見たけ(1995年)
- 陽は傾ぶき(1996年)
- 萌の朱雀(1997年)
- 杣人物語(1997年)
- 万華鏡(1999年)
- 火垂(2000年)[30][31]
- きゃからばあ(2001年)
- 追臆のダンス(2002年)
- 沙羅双樹(2003年)
- 影-Shadow(2004年)
- 垂乳女〜TARACHIME〜(2006年)
- 殯の森(2007年)
- 七夜待(2008年)
- 狛-Koma(2009年)
- 美しき日本・奈良 (日本アーカイブス)(2010年 - )
- 玄牝 -げんぴん-(2010年)
- 朱花の月(2011年)
- 塵 (2012年)
- 2つ目の窓(2014年)
- あん(2015年)
- 光(2017年)[32]
- パラレルワールド(2017年)
- Vision(2018年)
- 朝が来る(2020年)
- 東京2020オリンピック (映画) SIDE:A(2022年)[33]
- 東京2020 オリンピック SIDE:B(2022年)
インターネットムービー
- 主人公は君だ!(2007年)
- つながりゆくもの(2009年)
- Nippon Archives「美しき日本」(2010年)
- Miu Miuショートフィルムプロジェクト・女性たちの物語「SEED」(2016年)[34]
ミュージック・ビデオ
- JUDY AND MARY「PEACE -strings version-」(2001年)
- 宇多田ヒカル「桜流し」(2012年)
- 秦基博「水彩の月」(2015年)
主な出演作品
映画
- ラブ&ポップ(1998年、監督:庵野秀明) - ナレーション
- デストロイ・ヴィシャス(2011年、監督:島田角栄) - 喫茶店主人 役
- 冴え冴えてなほ滑稽な月(2013年、監督:島田角栄) - SMの女王 役
- 静かな雨(2020年、監督:中川龍太郎) - こよみの母 役
テレビドラマ
- 山田孝之のカンヌ映画祭 第6話・7話(2017年、監督:山下敦弘・松江哲明) - 本人役
テレビ番組
- NHK教育テレビ『未来潮流』〜映画監督・河瀬直美の「リアル」を探して(1997年7月26日)
- TBS『いのちの響』(1997年11月2日)
- NHK教育『ETV2001 「逆境からの出発」(3)-生きたいから撮る~映画監督・河瀬直美-』(2001年5月23日)
- 毎日放送『真珠の小箱』(2001年6月3日)
- NHK『クローズアップ現代』(2007年6月5日)
- テレビ朝日『ナツメのオミミ』(2012年5月26日)
- TBS『情熱大陸』(2015年8月2日)
ラジオ番組
脚注
注釈
- ^ 劇場公開前の映画がテレビ放映されるのは異例だが、NHKエンタープライズが製作協力した関係で受賞前から放送が決定していたという。
出典
- ^ 『女性自身』編集部 (2019年1月9日). “東京五輪・公式映画監督 河瀬直美を支える「家族のつながり」”. 光文社. 2021年6月5日閲覧。
- ^ “河瀬直美監督「殯の森」がカンヌ映画祭でグランプリ受賞!”. 映画.com (2007年5月29日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ “『殯の森』、一般公開前にNHKがテレビ放映”. ORICON NEWS (2007年5月28日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ “河瀬監督に奈良県民栄誉賞”. 日刊スポーツ (2007年6月14日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ “河瀬監督の出産シーンも映す『垂乳女(たらちめ)』が特別賞!【山形国際ドキュメンタリー映画祭】”. シネマトゥデイ (2007年10月10日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ “カンヌ映画祭 河瀬直美監督に「黄金の馬車賞」”. asahi.com (2009年5月15日). 2021年4月23日閲覧。
- ^ a b “映画監督の河瀬直美氏が芸術文化勲章を受章”. 駐日フランス大使館 (2019年1月17日). 2021年6月19日閲覧。
- ^ “河瀬直美『2つ目の窓』がウラジオストク国際映画祭グランプリ!”. シネマトゥデイ (2014年9月24日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ “河瀬直美監督、芸術文化勲章を初受章!瞳うるませ決意新た”. 映画.com (2015年1月8日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ “河瀬直美監督「あん」カンヌ映画祭・ある視点部門オープニング作品に決定”. 映画.com (2015年4月25日). 2015年4月25日閲覧。
- ^ “河瀬直美監督、カンヌ短編部門などの審査委員長就任”. 日刊スポーツ. (2016年3月16日) 2016年3月16日閲覧。
- ^ “河瀬直美監督の「光」 カンヌでエキュメニカル賞受賞”. デイリー (2017年5月28日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ “カンヌ帰りの永瀬正敏「光」エキュメニカル審査員賞受賞の瞬間を明かす”. 映画.com (2017年6月1日). 2022年5月29日閲覧。
- ^ “東京五輪記録する公式映画指揮に河瀬直美監督が決定”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2018年10月23日) 2018年10月23日閲覧。
- ^ “関西万博プロデューサーに河瀬直美氏ら10人が就任”. SankeiBiz. 産経デジタル (2020年7月14日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2020年7月13日). “25年大阪・関西万博、河瀬、石黒氏らプロデューサー10人就任”. サンスポ. 2022年5月29日閲覧。
- ^ “Wリーグ新会長に映画監督の河瀬直美さん バスケット女子”. JIJI.COM. (2021年6月4日)
- ^ 『新役員就任のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ、2021年6月4日 。
- ^ “映画作家河瀨直美氏のユネスコ親善大使任命式”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2022年5月29日閲覧。
- ^ “映画作家河瀨直美氏のユネスコ親善大使任命式”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2022年5月29日閲覧。
- ^ 美奈, 三井 (2021年11月26日). “河瀬直美さん ユネスコ親善大使に アフリカの女性監督育成に意欲”. 産経ニュース. 2022年5月29日閲覧。
- ^ “国際芸術祭「あいち2022」アンバサダー就任について | 国際芸術祭「あいち2022」”. aichitriennale.jp. 2022年5月29日閲覧。
- ^ “令和4年度東京大学学部入学式 祝辞(映画作家 河瀨 直美 様)”. 東京大学 (2022年4月12日). 2022年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月29日閲覧。
- ^ “河瀬直美総監督の東京五輪映画、カンヌで上映…終演後は拍手浴び「戻ってこられてうれしい」”. 読売新聞オンライン (2022年5月26日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ “河瀬直美さんにフランス勲章「オフィシエ」…「あらゆる国の人たちの役に立つような自分でありたい」”. 読売新聞オンライン (2022年5月30日). 2022年5月30日閲覧。
- ^ “河瀬直美監督に仏文化勲章 大使公邸で叙勲式:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2022年5月30日閲覧。
- ^ “【報知映画賞】『罪の声』3部門制覇、小栗旬&星野源が男優賞 アニメ作品賞は『鬼滅の刃』”. ORICON NEWS (2020年12月2日). 2020年12月2日閲覧。
- ^ “長澤まさみ主演『MOTHER マザー』 毎日映画コンクール日本映画大賞”. ORICON NEWS. オリコン (2021年1月22日). 2021年2月2日閲覧。
- ^ “第44回 日本アカデミー賞 優秀賞決定!”. 日本アカデミー賞公式サイト. 2021年2月9日閲覧。
- ^ “映画公式ホームページ”. acommy エンタテイメント 2022年1月25日閲覧。
- ^ “河瀨直美旧公式ホームページ” 2022年1月25日閲覧。
- ^ “永瀬正敏×河瀬直美監督「あん」コンビ再び!「光」でカンヌ映画祭パルム・ドール狙う”. 映画.com. (2016年10月31日) 2016年10月31日閲覧。
- ^ “菅前首相 東京五輪は「開催してよかった」 公式映画鑑賞し感想「想像と違う」”. デイリースポーツ online (2022年6月7日). 2022年6月7日閲覧。
- ^ “河瀬直美×安藤サクラ×サカナクション、ショートフィルム「SEED」公開”. 映画ナタリー (2016年2月17日). 2016年2月18日閲覧。
外部リンク
- 河瀨直美公式サイト組画(くみえ)
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- 河瀨直美 - allcinema
- 河瀨直美 - KINENOTE
- 河瀬直美 - 日本映画データベース
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- UNDER THE TREES - α-station
- 河瀨直美インタビュー - ウェイバックマシン(2010年2月18日アーカイブ分)