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信託会社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

信託会社(しんたくがいしゃ)とは、信託業法により内閣総理大臣の免許または登録を受けた者をいう。信託会社でなければ信託の引受けを営業として行うことができない。ただし、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(兼営法)により、銀行その他の金融機関は内閣総理大臣の認可を受けて信託業を営むことができ、信託銀行等は兼営法による認可を受けて信託業を営んでいる。

沿革

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信託業を営む会社は信託業法施行以前から存在した。1906年に設立された東京信託株式会社をはじめとして信託会社の設立が相次ぎ、1921年末にはその数は488社に達していたが、信託法・信託業法・兼営法の施行後に整理された[1][2]。残った信託会社も1948年に銀行業務の兼営が可能になった[3]のを受けて銀行法上の普通銀行に転換した。1954年に大蔵省は、普通銀行から信託業務を分離し、普通銀行から長期資金供給負担を軽減させる政策を進めた。これにより、信託業務を併営する普通銀行は大和銀行以外になくなり、7社の信託銀行が設立された。

現在、免許・登録を受けている信託会社は、その後に設立されたか、または海外から進出してきたものである。

免許・登録を受けている信託会社

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信託会社には、「運用型」と「管理型」の2種類があり、管理型信託会社は以下のいずれかの信託引き受けしかできないなど制限が設けられている。

  • 委託者の指図により信託財産の管理又は処分が行われる信託
  • 信託財産につき保存行為又は財産の性質を変えない範囲内の利用行為若しくは改良行為のみが行われる信託

最新の一覧は金融庁運用型信託会社免許・管理型信託会社登録一覧」参照。

運用型信託会社

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2004年12月に公布、施行された信託業法(2004年法律154号)は、「信託業の担い手の拡大」を目的の1つとしていた。「金融機関以外の参入を可能にする」ため、業務内容に応じて、2つの信託会社の区分を設けた。これが、免許制の運用型信託会社と、登録制の管理型信託会社である。信託業法の施行後、免許を受けた運用型信託会社は、次のとおりである。

免許年月 会社名 備考
2005年5月 ジャパン・デジタル・コンテンツ[4] 社名を「ジャパン・デジタル・コンテンツ信託」に変更して営業を開始。2009年9月免許取消、社名を「JDC信託」に変更
2005年9月 朝日信託[5]
2005年9月 日立キャピタル信託[6] 2021年7月に社名を「三菱HCキャピタル信託」に変更
2005年10月 ディービー・ファイナンス・ジャパン[7] 社名を「DB信託」に変更して営業を開始。2014年2月に社名を「ドイチェ信託」に変更。2020年10月にサングループが買収、社名を「Sanne Group Japan信託」に変更
2007年2月 トランスバリュー信託[8] 管理型信託会社が免許を受けたもの。2015年5月に社名を「楽天信託」に変更
2008年1月 ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチ・ジャパン[9] 社名を「ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチ信託」に変更して営業を開始。2012年7月に社名を「ロンバー・オディエ信託」に変更
2008年4月 イートラスト信託[10] イーバンク銀行の信託子会社。2009年9月に廃業
2009年10月 スターツ信託
2012年4月 ベルニナ信託 2015年1月に社名を「FPG信託」に変更
2018年5月 レオパレス信託 2019年9月に社名を「未来サポート信託」に変更。2021年10月に社名を「エイブル信託」に変更
2019年3月 ジェイバリュー信託
2021年3月 FXクリアリング信託 管理型信託会社が免許を受けたもの。2021年4月に社名を「SBIクリアリング信託」に変更
2021年10月 LGTウエルスマネジメント信託
2022年1月 JIA信託

管理型信託会社

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同じく、信託業法の施行後、登録を受けた管理型信託会社は、次のとおりである。

財務局 登録番号 登録年月 会社名 備考
関東 1 2005年5月 SMLC信託[11] 2007年10月に社名を「SMFL信託」に変更
関東 2 2005年12月 トランスバリュー信託[12] (上記)
関東 3 2006年11月 日本エスクロー信託[13] 2012年10月に社名を「山田エスクロー信託」に変更
関東 4
関東 5 2009年8月 UAP信託 2011年2月に廃業
関東 6 2011事務年度 虎ノ門サポート信託 2015年10月に廃業、社名を「虎ノ門法曹ビル」に変更
関東 7 2012事務年度 富嶽信託 2014年3月に廃業
関東 8 2013年7月 ほがらか信託
関東 9
関東 10 2014年8月 大東みらい信託
関東 11 2014年8月 エスクロー・エージェント・ジャパン信託
関東 12 2018年5月 FXクリアリング信託 (上記)
関東 13
関東 14 2015年9月 プルデンシャル信託
関東 15 2017年6月 積水ハウス信託
関東 16 2017年9月 ハートワン信託
関東 17 2017年11月 しあわせパートナーズ信託 2019年7月に社名を「マネックスSP信託」に変更
関東 18 2018年6月 留学安心信託
関東 19 2020年9月 コタエル信託
関東 20 2020年12月 パソナ知財信託
近畿 1 2006年6月 桐生信託[14] 社名を「きりう不動産信託」に変更して営業を開始
近畿 2 2006年6月 アロー信託[15] 社名を「ファースト信託」に変更
近畿 3 2006年12月 共同信託[16]
近畿 4
近畿 5 2007年3月 日本流動化信託[17] 2012年6月「サーバントラスト信託」に商号変更、2022年10月「日税信託」に商号変更
東海 1 2006年10月 ライツ信託[18] 2010年6月業務停止命令(1回目)。そのまま廃業
東海 2 2016年6月 飛騨ITアセット信託 2017年3月に社名を「すみれ地域信託」に変更
東海 3 2021年6月 貝沼信託不動産
福岡 1 2022年3月 三好スマイル信託

脚注

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  1. ^ 上林敬宗「貸付信託の盛衰と今後の信託銀行」『経済志林』第68巻第2号、法政大学経済学部学会、2000年11月、247-277頁、CRID 1390009224829529984doi:10.15002/00002732hdl:10114/1151ISSN 0022-9741 
  2. ^ 昭和初期には50社近くあった信託専業会社は、終戦時には住友信託・三菱信託・川崎信託・三井信託・安田信託・日本信託・第一信託の7社にまで減少した。
  3. ^ 当時、1948年に制定された証券取引法により銀行と証券会社の業際が分離(銀証分離)していた。有価証券のアンダーライティングを主要業務の一つとしてきた信託会社にとっては、引き受けた戦時国債等の無価値化や戦後の大幅なインフレによる受益資産の運用悪化と共に、銀証分離は経営環境の悪化の一因となった。こうした中信託会社の救済措置として、大蔵省は銀行業との合併こそ認めなかったが併営を許したのである。
  4. ^ 「17年5月27日、信託業の免許第一号として、「ジャパン・デジタル・コンテンツ信託株式会社」に対して免許を交付した。当社は、著作権等の知的財産権を受託し、信託受益権を投資家に販売することを主な業務としており、信託を利用して、コンテンツ制作者の資金調達を促進することとしている。」(「金融庁の1年」2004事務年度版)
  5. ^ 「平成17年9月9日、信託業の免許第二号として、「株式会社朝日信託」に対して免許を交付した。当社は、弁護士、公認会計士、税理士を役職員とする信託会社であり、主に、信託機能を活用した高齢者の財産管理や死亡時における相続人への財産の分配等を行うこととし、同年11月21日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2005事務年度版)
  6. ^ 「17年9月30日、信託業の免許第三号として、「日立キャピタル信託株式会社」に対して免許を交付した。当社は、主に、日立キャピタルグループの保有する金銭債権、リース債権、動産、不動産の流動化や、ハウスメーカーと提携した信託型リバースモーゲージ等を行うこととし、同年10月3日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2005事務年度版)
  7. ^ 「17年10月27日、信託業の免許第四号として、「DB信託株式会社」に対して免許を交付した。当社は、ドイチェ信託銀行の法人信託サービス部門を同行の会社分割により承継した上で信託業務を営むものであり、不動産、金銭債権等の流動化対象資産を受託し、管理保全等を行うこととしており、同年11月9日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2005事務年度版)
  8. ^ 「19年2月21日、信託業の免許第五号として、「トランスバリュー信託株式会社」に対して免許を交付した。当社は、17年12月12日に管理型信託業の登録を受け、金融機関等から売掛債権、貸付債権、手形債権等の金銭債権の流動化業務を行ってきたところであるが、当該免許が交付されたことにより、金銭債権に加え、土地・建物等の不動産の流動化業務等を行うこととし、19年2月21日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2006事務年度版)
  9. ^ 「20年1月31日、信託業の免許第6号として、「ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチ株式会社」に対して免許を交付した。当社は、金銭、有価証券、みなし有価証券等の運用・管理業務等を行うこととしており、20年2月12日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2007事務年度版)
  10. ^ 「20年4月1日、信託業の免許第7号として、「イートラスト信託株式会社」に対して免許を交付した。当社は、金銭、金銭債権、有価証券等を中心に受託し、信託機能を活用した資産の流動化事業等を行うこととしており、20年4月8日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2007事務年度版)
  11. ^ 「17 年5月2日、管理型信託業の登録第一号として、関東財務局長が「SMLC信託株式会社」の登録を行った。当社は、リース会社が保有するリース債権等を受託し、リース債権の管理、回収等を行うことを主な業務としている。信託受益権は、信託受益権販売業者から投資家に販売し、リース債権の参加者の裾野を拡大することとしている。」(「金融庁の1年」2004事務年度版)
  12. ^ 「平成17年12月12日、管理型信託業の登録第二号として、関東財務局長が「トランスバリュー信託株式会社」の登録を行った。当社は、金融機関等から貸付債権、手形債権、売掛債権等の金銭債権を受託し、管理・回収等を行うこととしており、同日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2005事務年度版)
  13. ^ 「18 年11月22日、管理型信託業の登録第六号として、関東財務局長が「株式会社日本エスクロー信託」の登録を行った。当社は、不動産取引の売買代金等を委託者から信託財産として受託し、不動産の登記を確認した後、不動産の売主である受益者へ売買代金等の交付を行うこととしており、19月1月5日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2006事務年度版)
  14. ^ 「18年6月21日、管理型信託業の登録第三号として、近畿財務局長が「株式会社桐生信託」の登録を行った。当社は、マンション等の賃貸収益物件を受託し、維持管理業務及び短期賃貸運営業務等を行うこととしており、同年7月中旬より営業を開始する予定。」(「金融庁の1年」2005事務年度版)
  15. ^ 「18年6月21日、管理型信託業の登録第四号として、近畿財務局長が「アロー信託株式会社」の登録を行った。当社は、マンション等の賃貸収益物件を受託し、維持管理業務及び短期賃貸運営業務等を行うこととしており、同年7月中旬より営業を開始する予定。」(「金融庁の1年」2005事務年度版)
  16. ^ 「18年12月4日、管理型信託業の登録第七号として、近畿財務局長が「共同信託株式会社」の登録を行った。当社は、不動産にかかる所有権・地上権・担保権等を受託し、権利関係調整業務、リフォーム業務等を行うこととしており、同年12月20日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2006事務年度版)
  17. ^ 「19年3月19日、管理型信託業の登録第八号として、近畿財務局長が「株式会社日本流動化信託」の登録を行った。当社は、商業施設等の賃貸収益物件を受託し、維持管理業務等を行うこととしており、同年3月23日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2006事務年度版)
  18. ^ 「18年10月24日、管理型信託業の登録第五号として、東海財務局長が「ライツ信託株式会社」の登録を行った。当社は、特許権及び著作権を受託し、当該信託財産にかかる利用者へのライセンス付与、侵害への対応等を行うこととしており、19年2月5日より営業を開始している。」(「金融庁の1年」2006事務年度版)

関連項目

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外部リンク

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