倉橋燿子
倉橋 燿子(くらはし ようこ)は、日本の児童文学作家。燿子の「燿」の字は、火偏。
広島県出身。上智大学文学部卒。女性誌の編集やCMのコピーライターを経たのち、作家へ転身。ジュニア小説や漫画原作などを手掛けている。
作風
[編集]主人公の少女(ほとんどが11 - 13歳)が様々な逆境に出会い、これに立ち向かうという成長物語を多く執筆する。「生き別れた肉親」「友人との確執と和解」「不治の病」「突然の出会いから始まる恋」など、いつの時代も少女を惹きつけるロマンティックな要素が満載されている。
「人生には、必ず予想外の試練や不本意な出来事が起きるが、だからこそ人間は大きく成長することが出来る」。倉橋作品の根底にあるのは、このような人生観である。
決して安易に、思い通りには進まない人生の試練の中で、自分の無力さや未熟さの壁と戦い、他人との軋轢(あつれき)に戸惑いながらも、その葛藤の中だからこそ自分の弱さを乗り越え、本当の友情・絆に目が開かれることができる。そして、以前の自分からは想像もつかないような新しい人生を切り開くことができるのではないか。多数の著作を通じて、ひたすらこのテーマを追求していると言っても過言ではない。
これから人生の山谷を迎える多感な若い読者のために、深い愛情をこめてこのような問いを発信し続ける姿勢が、倉橋作品ならではの特徴である。30年以上の長きにわたって、読者から高い人気を保ち続けているのもそういった理由からだろう。
また、小中学校の教科書、学習塾の教材などへの引用も数多く、各地方自治体の推薦図書にも指定されている。講談社青い鳥文庫から発刊されたヒットシリーズ「パセリ伝説-水の国の少女-」では、本格的なファンタジー作品に挑戦、大人気シリーズとなる。同時に開設されたパセリ伝説ウェブサイトでは読者との双方向性のある活発な交流が試みられており、パセリ伝説プロジェクト(Pプロ)と呼ばれるサポートチームがその運営に携わるという手法が取られた。
『パセリ伝説』『ラ・メール星物語』の2作品は、公式サイト公認動画として、それぞれの作品の紹介動画が制作されており、YouTubeにて見ることができる。
2019年3月発売に、『小説 聲の形 上』が発売。大今良時の大人気コミック『聲の形』全7巻を上下巻でノベライズ。表紙を含め、すべての挿絵が描き下ろしであり、コミックにはないシーンも追加されている。
主な作品
[編集]講談社
[編集]- 倉橋惣三物語 上皇さまの教育係(2021年) 娘の倉橋麻生(惣三のひ孫)との共著
- 泣いちゃうわたしと泣けないあの子(2023年)
- 風を道しるべに…(全10巻、1988年 - 1989年)
- 続・風を道しるべに…(全5巻、1991年)
- 風を道しるべに・完結編(全3巻、1992年)
- AZ(あず)とカオル シリーズ(1988年 - 1989年)
- スウィート・リトル・ダーリン
- 悲しみは雪のように
- オン・ザ・ロード
- ロマンス・ブルー
- BYE2(バイバイ)片想い(1988年)
- BYE2(バイバイ)バレンタイン(1989年)
- きざみパセリのボーイズハート(1988年)
- マッシュポテトのガールズハート(1988年)
- さようならこんにちは(全20巻、1989年 - 1991年)
- 夏色の天使(上下巻、1989年)脚本:横田与志
- 天使のピアス(1994年)
- 天使のコロン(1995年)
- 天使のブレスレット(1995年)
- いちご-from ichigo-(全5巻、1994年 - 1996年)
- 青い天使(全9巻 1997年 - 1999年)
- ドリームファーム物語 ペガサスの翼(上中下巻、2000年)
- カミングホーム - わたしのおうち - (2001年)
- ホーリースクール(全5巻 2001年 - 2002年)
- ラッキーチャーム(全5巻、2003年 - 2004年)
- 月が眠る家(全5巻 2005年)
- パセリ伝説〜水の国の少女〜(全12巻、2006年 - 2009年)
- パセリ伝説外伝 - 守り石の予言(2010年)
- ラ・メール星物語(全5巻 2011年 - 2013年)
- 初恋アニヴァーサリー 短編『カノンの響き』(2008年)
- 魔女の診療所(全8巻、2011年 - 2013年)
- ドジ魔女ヒアリ(全3巻、2014年 - 2015年)
- ポレポレ日記(ダイアリー)(全5巻 2015年 - 2016年)
- 生きているだけでいい! -馬がおしえてくれたこと-(2017年)
- 夜カフェ(全12巻、2018年 - 2022年)
- 星カフェ(既刊5巻、2022年 - )
- 小説 聲の形(上下巻、2019年)原作・絵:大今良時
- KK文庫
- 小説 映画 なのに、千輝くんが甘すぎる。(2023年)原作:亜南くじら、脚本:大北はるか
小学館
[編集]- ラストシーン(全10巻、1993年 - 1994年)
- 忘れたいのに……(1993年)
- 愛を聴かせて(前中後巻、1995年)
- 僕にできることは…(1995年)
- ライバルにまわしげり!(前後巻、1997年)
ポプラ社
[編集]- ぼくたちの出発 ぼくがぼくであるために(1998年)
- 空に続く道(2000年)
- 風の天使(2000年)
- 天使の翼(2003年)
- 扉のむこうの課外授業 お困り犬ひきうけます(2007年)
- 神様がくれた犬 -ドンのハッピー新聞-(2017年)
- 小説以外
- 泣いてもいいよ!―涙は天使の贈り物 (ジュニアメッセージ文庫、1993年)
- くよくよしないで、笑っちゃえ!(自分探しの旅シリーズ、1996年)
漫画原作
[編集]- 熱いさよなら(全2巻)作画:沖野ヨーコ
- チークタイム(1巻のみ)作画:朔本敬子
- この扉(ドア)をあけたら ⁻OPEN SESAME-(全2巻)作画:さとう智子
- トマト・フレーバー 作画:高橋千鶴
- 戀むらさき〜与謝野晶子物語〜(全3巻)作画:高橋千鶴
新聞連載
[編集]『ドジ魔女ヒアリ「入れかわり」魔法で大ピンチ!?』2014年10月 - 2015年
- 中日こどもウイークリー
- 宮崎日日新聞「宮日こども新聞」
- 南日本こども新聞「オセモコ」
講演活動
[編集]主に、全国小中学校、地方自治体、教育委員会主催の講演会に招かれている。参加した子どもたちからの「感動した」「変わりたい」「本をもっと読みたい」という声とともに教師や父兄からも「今の子育てや教育現場にとって大事なことであり、必要なこと」と熱い感想が多く寄せられている。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]倉橋燿子の公式ウェブサイト。最新シリーズの『夜カフェ』ページはもちろん、本人が綴る「Y's Blog」、作品紹介ページなど。コンタクトページからは、感想など直接送ることができる。公式Twitterとも連動。
YouTubeで『パセリ伝説』『ラ・メール星物語』を紹介する動画を公開中。
倉橋燿子のOfficial Twitter。 本人の発言には(燿)が付く。