光岡・バディ
光岡・バディ AXAH52/54改・MXAA52/54改型 | |
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20ST | |
ハイブリッド仕様 | |
概要 | |
製造国 | 日本 |
販売期間 | 2020年 - 2024年 |
デザイン | 青木孝憲[1] |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドア クロスオーバーSUV |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 |
前輪駆動/四輪駆動 2.5Lハイブリッド車: E-Four(電気式4WDシステム) |
プラットフォーム | トヨタ・GA-Kプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン | |
モーター |
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最高出力 | ベース車両と同じ |
最大トルク | ベース車両と同じ |
変速機 |
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サスペンション | |
前 | ストラット式 |
後 | ダブルウィッシュボーン式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,690 mm |
全長 | 4,730 mm |
全幅 | 1,865 mm |
全高 | 1,685 - 1,690 mm |
車両重量 | 1,560 - 1,750 kg |
その他 | |
ブレーキ |
前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク |
ベース車両 |
トヨタ・RAV4 (5代目) |
バディ(Buddy)は、光岡自動車が市販車の5代目トヨタ・RAV4をベースに改造・販売するクラシカルな外観を持ったクロスオーバーSUV型のパイクカーである。
概要
[編集]ベース車両は5代目トヨタ・RAV4であり、第2世代シボレー・K5ブレイザーをデザインモチーフにフロントバンパーを含むノーズ部分、およびリアバンパーカウル部分をハンドメイドで製作した。グリルやバンパーはABS樹脂、リアゲート外板はポリプロピレンによる成型品である[2]。5代目RAV4の完成車両をトヨタ自動車高岡工場より輸送された後、ボディの内外装を分解し、1台1台職人の手作業によりカスタマイズする方法が採られている。外装は大幅に変化しているものの、安全装備や快適装備はトヨタ自動車が提供するサービス「T-Connect」が利用できないこと以外ベース車そのままで、オリジナルのロゴが取り付けられる[2]。
エンジンはガソリン車には2.0L直列4気筒のM20A-FKSが搭載され、ハイブリッド車には2.5L直列4気筒のA25A-FXSが搭載される。シフトはガソリン車にはDirect Shift-CVTが用意され、ハイブリッド車には電気式無段変速機が用意される。ただし、ベース車のRAV4と異なり、プラグインハイブリッド(PHV)車は用意されない。
取り扱われるグレードは以下の通り。
バディのグレード | 対応する RAV4のグレード |
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20ST | X |
20DX | G |
20LX | G "Z package" |
HYBRID ST | HYBRID X |
HYBRID DX | HYBRID G |
装備はそれぞれ対応するベース車のグレードに準拠する。このうち、「20ST」と「HYBRID ST」には4WDのほか、2WDも用意される。
もっとも、一連の光岡の車種としては史上初のクロスオーバーSUVとなる。さらに2022年には、愛知県で開催された「フィールドスタイルジャンボリー」に出展されたが、アウトドア系イベントへの参加は光岡にとって初めてのことであり、新しい需要への開拓をはじめたともいえる[3]。
受注が好調であり、納期が長期化する見込みであることから、光岡自動車は2022年2月3日にトノックス、三菱ふそうバス製造の2社とバディの製造委託に関して基本合意した[4][5][6]。この結果、専用生産ラインが独自に設けられ、年間生産台数は当初の150台から300台に拡大した。
光岡自動車は、同じ富山市に本社がある三菱ふそうバス製造にバディの製造を委託することで、地域活性化が図れるとしている[4][5]。
公式サイトでは2024年9月4日をもって、全車完売したとアナウンスしている。
デザイン
[編集]デザインは先の通り、K5ブレイザーをはじめとした1980年代のアメリカンSUVをモチーフとしている。光岡はかつて同じようにアメ車をモチーフとしたロックスターを発表していたが、従来の英国車風から一変してアメ車続きなのは「今まで挑戦したことのない新たなカテゴリーでクルマづくりに挑戦していこう」という姿勢のあらわれである旨を執行役員の渡辺稔は語った[7]。しかしある関係者によれば、イメージの構想の過程については偶然であると述べている[1]。
経緯としては企画していた当時、市場に増えたSUVはプレミアム一辺倒で、コンセプトとして定めた「自然体でサラリと乗りこなせる相棒」のように気軽に乗れるSUVを提案したいという想いから「アメリカンビンテージのSUV」にたどり着いたとのことである[1]。ちなみに車名自体も、これに由来する。
ベース車両にRAV4が選ばれたのは、その「カタチ」にあった。これまでにもSUVモデルの製品化を考えていたものの、それに適したデザインの車両が見つからなかったため、投入が遅れてしまった[8]。RAV4は新型SUVの中でも直線基調のエクステリアとなっており、企画開発課課長でデザインを担当した青木孝憲もベース車には角ばった形状を意識していたという[1]。また、個性的なデザインながらもRAV4をベースとしていることで安全性と耐久性が保証されているため、ベストセラー車ならではの良さを活かしているといえる[9]。ところでこれまでよりも樹脂製部品が多いのは、発表当時の最新モデル(新規開発車)をベースとしたカタログモデルに対して長いライフサイクルを考慮した上であり、なおかつオーダー数が非常に多かったことが理由である。
ホイールはオプションで選択可能であり、通常ではトヨタ純正のアルミロードホイールに17~19インチタイヤが装着される。これに対して光岡オリジナルの専用オプションは、ディーン製のクラシカルなクロスカントリーアルミホイールとBFグッドリッチの16インチオールテレインタイヤが用意される[2]。
カラーバリエーションはベース車であるRAV4由来のものも含めて標準カラーのモノトーン、オプションカラーのモノトーンと2トーンカラーでそれぞれ6色が用意される[10]。カラーネームも独自に命名され、「ノースカロライナブルー」や「トップガングレー」といった、80~90年代の映画やミュージックシーンを想わせるものになっている。
余談だが、このバディのデザインと非常によく似た改造車に、アルパインスタイルが「Cal’s Motor」(キャルズモーター)ブランドから発表した「ハバナ」がある[11]。こちらはバディよりもコンパクトなトヨタ・ライズ(2019年11月発売)がベースとなっている。ちなみにアルパインスタイルは、後述する大画面カーナビを提供するアルパインの子会社にあたる[12]。
沿革
[編集]型式・XA5#型改(2020年- )
[編集]- 2020年9月24日 - ティザーサイトを公開[13]。キャッチコピーは「Buddy さあ いこうぜ相棒」。
- 2020年10月29日 - デザインをティザーサイトにて初公開[14]。
- 2020年11月26日 - 公式発表(2021年6月24日発売[15][注 2])[16]。同日より先行予約を開始。
- 2021年12月2日 - 一部改良[17]。アルミホイールの塗装色と意匠を変更。「20ST」と「HYBRID ST」にこれまでオプション設定だった「バックガイドモニター」を標準装備化し、全車にバックカメラが装備される。
- 2022年1月14日 - ディーラーオプションにアルパイン製大画面カーナビ「ビッグX」を採用した[18]。オープニング画面やチューニングデータは専用に設定される。ナビゲーションパッケージは3種類用意され、パッケージAはカーナビのみ、パッケージBはETC2.0付き、パッケージCはこれに2カメラドライブレコーダーが取り付けられる。
- 2022年10月7日 - 先進安全装置の機能を拡大し、デジタルインナーミラーに録画機能を追加。さらにディスプレイオーディオやマルチインフォメーションディスプレイの大型化、ETC2.0、フルセグ、通信型ナビを全車に標準装備した[19]。(ベース車であるトヨタ・RAV4の2022年10月4日の一部改良に準じた改良)
- 2022年11月末 - 累計受注台数1,000台を達成[20]。
- 2024年1月26日 - ブラックを基調にルーフをレッドにした専用ボディカラーを採用して精悍さを際立たせるとともに、レッドを取り入れた専用レザーシート&トリムセットを装備し、専用ドアエンブレムも装着された特別仕様車「バディ MJ スタイル」の注文を20台限定(2WD 15台・4WD 5台限定)で開始[21]。
関連項目
[編集]- トヨタ・RAV4 - ベース車種
- シボレー・ブレイザー(2代目) - モチーフとなった車種
- 爆上戦隊ブンブンジャー - 劇中に本車種が登場し、光岡自動車が車両協力として参加している。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ギヤ機構付自動無段変速機。
- ^ 当初は2020年11月26日に発売される予定だったが、予約注文が多く殺到したためこのような結果となった。
出典
[編集]- ^ a b c d 関顕也 (2020年11月27日). “アメ車顔した「RAV4」がデビュー!? ミツオカの個性派SUV「バディ」ができたワケ”. webCG. 2024年12月12日閲覧。
- ^ a b c 佐野弘宗 (2021年6月5日). “ミツオカ・バディ20ST(FF/CVT)【試乗記】 もはやオリジナル”. webCG. 2024年12月12日閲覧。
- ^ “バディとロックスターを展示、光岡自動車がアウトドア系イベントに初出展…フィールドスタイルジャンボリー”. Response. (2022年11月19日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ a b 光岡自動車 生産協力工場2社と車輌製造委託基本合意 新型 SUV『Buddy』(バディ)受注好調につき、生産体制を強化光岡自動車 2022年2月3日
- ^ a b 光岡自動車と車両製造受託を基本合意 同社の新型 SUV「Buddy」(バディ)の車両製造を開始三菱ふそうバス製造 2022年2月3日
- ^ バス製造会社がSUVつくる!? 光岡「バディ」製造委託で増産へ 特殊車メーカーも助っ人乗りものニュース 2022年2月3日
- ^ 桜庭智之 (2020年11月26日). “なぜベース車はRAV4!? アメ車がモチーフの光岡 新型SUV「バディ」発表”. 価格.comマガジン. 2024年12月12日閲覧。
- ^ 木村剛大 (2020年11月28日). “ミツオカの新型車バディのベース車がRAV4のワケとは!? 開発者に直撃”. MōTA. 2024年12月12日閲覧。
- ^ “【光岡 バディ 新型試乗】何故バディは超人気車となったのか…中村孝仁”. Response. (2021年8月13日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “納期2年待ちのミツオカ バディ 全18色のカラバリをイッキ見! 懐かし系SUVに似合う色を探せ!”. MōTA (2021年5月23日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “光岡バディの弟分!? トヨタライズが398万円のアメリカ~ンSUVになっちゃった!!”. ベストカーWeb (2024年1月23日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “【コレを待っていた!】アメ車化されたライズとハイエースが超イケてる!”. Motorz (2023年1月10日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “ミツオカ初の新型SUV ティザーサイト公開”. 光岡自動車 (2020年9月24日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “光岡初のSUV『バディ』、デザイン初公開…ベースはRAV4?”. Response. (2020年10月29日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “光岡自動車 新型SUV 『Buddy』(バディ) を発売開始”. 光岡自動車 (2021年6月24日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “ミツオカ初のSUV「バディ」が正式デビュー 配車は2021年6月から”. webCG (2020年11月26日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “光岡自動車 『バディ』を一部改良して発売”. 光岡自動車 (2021年12月2日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “光岡自動車 『バディ』 ディーラーオプションに、 アルパイン製大画面カーナビ 「ビッグX」 を採用”. 光岡自動車 (2022年1月14日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “光岡自動車、「バディ」を一部改良 現在の納期は約1年半から2年(Car Watch)”. LINE NEWS. 2022年10月8日閲覧。
- ^ “光岡自動車 『Buddy』(バディ)の累計受注台数1,000台達成”. 光岡自動車 (2022年12月15日). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “光岡自動車 台数限定の特別仕様車 『Buddy MJ style』 を発表・発売”. 光岡自動車 (2024年1月25日). 2024年12月12日閲覧。