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攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
初期革命評論集から転送)
攻殻機動隊 > 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG
ジャンル SFアニメ
アニメ
原作 士郎正宗
監督 神山健治
シリーズ構成 神山健治
キャラクターデザイン 後藤隆幸西尾鉄也
下村一(オリジナルキャラ)
メカニックデザイン 寺岡賢司、常木志伸
音楽 菅野よう子
アニメーション制作 Production I.G
製作 攻殻機動隊製作委員会
放送局 パーフェクト・チョイス
日本テレビ系列(2005年
放送期間 2004年1月 - 2005年1月
話数 全26話
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(こうかくきどうたい スタンドアローンコンプレックス セカンドギグ)は、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の続編となるSFTVアニメスカパーパーフェクト・チョイスでは2004年より放送された。前作で解散に追い込まれた公安9課が再結成してからの物語となっている。

本作シリーズを約160分にまとめた総集編『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Individual Eleven』が製作された。

「STAND ALONE COMPLEX」シリーズとしては続編『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』も製作されている。

概要

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スタッフは前作の『S.A.C.』とほぼ同じであるが、ストーリーコンセプトに押井守が参加している。

本作は『S.A.C.』から2年後の西暦2032年が舞台となっている。「個別の11人」を名乗るテロリストの事件を発端に、公安9課復活の経緯から9課と敵対する内閣情報庁の登場と暗躍、個別の11人事件と、それに伴うクゼの登場からその追跡の模様、その他一話完結のストーリーを織り交ぜながら展開していく。後半は内閣情報庁の情報操作や工作活動によって国民の難民への不信感と反発がさらに増し、その結果として生じた招慰難民の一斉武装蜂起、クゼによる「革命」や自衛軍による出島総攻撃、米帝による出島への核攻撃などが描かれる。

2006年には「個別の11人事件」を描いたエピソードを約160分にまとめた『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Individual Eleven』が制作され、DVDでリリースされた。

登場人物

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用語

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作品に影響を与えた事件

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アメリカ同時多発テロ事件

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2001年9月11日に、アメリカ合衆国で同時多発テロ事件が発生しており、『2nd GIG』では、9.11以降の戦争を描くことが作品のテーマの一つとなっている[1]。『攻殻機動隊』テレビアニメ化の当初の段階では、『S.A.C.』全26話で終了する予定であり、そのようにプロットが構築されていた。『S.A.C.』第2話完成時に急に26話追加して全52話にすることになり、『S.A.C.』の制作と同時に『2nd GIG』のシリーズ構成が行われ、『2nd GIG』にはストーリーコンセプトとして押井守が参加することが決定した。押井は神山に「9.11以降の戦争を描け」というテーマを投げかけ、そこから「招慰難民」という設定が作品の中核に据えられた[1]

九州南西海域工作船事件

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2001年12月22日に、巡視船不審船と交戦の末、不審船が自爆と思われる爆発を起こし沈没する事件があった。この不審船は、調査で北朝鮮工作船であることが判明した。この事件を受け、押井は神山に、作品内で不審船を描くよう指示した[2]。神山によると、これが押井の指示の中で一番具体的なものであったという。

初期プロットからの変更

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元々『S.A.C.』におけるサリンジャーに当たるものとして、セカンドシーズンである『2nd GIG』では三島由紀夫が考えられていた。神山は『S.A.C.』で「赤報隊」の問題にやり残した感があったと考え、『2nd GIG』で日本における右翼在日というテーマを扱おうとした。そのために「個別の11人」という素材を採用し、三島由紀夫がその中核に据えられていた。三島由紀夫の『近代能楽集』は9編で構成されているが、神山はこれに「ロングアフターラブ」を足した10編とするという逸話を聞き、さらに幻の1編が存在し、それが「個別の11人」だったという設定を考えていた[1][注 1]。しかし、事前の聞き取りでは、三島の作品をこのような形で使うことは許可を取るのが不可能であるという意見が多く、また右翼団体が会社に来る可能性まで勘案し、そこまでのリスクは負えないと判断し、プロットの段階でこのアイデアは断念された[3]

これに伴い、三島は1960年代のフランスの思想家シルベストル(架空の人物)に、『近代能楽集』の幻の1編であった「個別の11人」は、シルベストルによる「初期革命評論集」の幻の1編に変更された。神山はこの変更に対し、現実に存在する危ないネタをスポイルしながら始めてしまったため、自分の中で少しずつリアリティが失われていったと述べている。神山のスタイルは、皮膚感覚を作品に投影していくというものであるが、三島であれば皮膚感覚的にひりひり来ていたのが、架空の思想家シルベストルに変更することでぼんやりしてしまったため、その時点で全体の方針を再考すべきだったかもしれないと振り返っている。思想家の東浩紀はこれに対し、シルベストルに変更したことで、含意が大幅に薄くなり、リアルさが失われたと指摘している[3]

スタッフ

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主題歌

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オープニングテーマ

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「rise」
作詞 - Tim Jensen、Origa / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Origa
「Christmas in the silent forest」
作詞 - Shanti Snydar / 作曲、編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Ilaria Graziano
  • 地上波放送用

エンディングテーマ

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「living inside the shell」[注 2]
作詞 - Shanti Snyder / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Steve Conte
「snyper」[注 3]
作詞 - Tim Jensen / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Ilaria Graziano
  • 地上波放送用

各話リスト

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IN: individual (個別の11人)エピソード  DI: dividual(分離・単独)エピソード  DU: dual(複合)エピソード

# タイトル
英題 (英語版参照)
脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 再起動 REEMBODY
DI: Reactivation – REEMBODY
櫻井圭記 橘正紀 中村悟
2 飽食の僕 NIGHT CRUISE
DI: Well-Fed Me – NIGHT CRUISE
菅正太郎 安藤真裕 竹下健一 清水ひろし
3 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE
DI: Saturday Night and Sunday Morning – CASH EYE
佐藤大 西村純二 布施木一喜 新野量太
4 天敵 NATURAL ENEMY
DU: Natural Enemy – NATURAL ENEMY
藤咲淳一 吉原正行 丸山宏一
5 動機ある者たち INDUCTANCE
IN: Those Who Have the Motive – INDUCTANCE
佐藤大
神山健治
布施木一喜 竹下健一 後藤隆幸
6 潜在熱源 EXCAVATION
DI: Latent Heat Source – EXCAVATION
藤咲淳一
神山健治
下司泰弘 河野利幸 浅野恭司
7 狂想は亡国の調べ 239/94Pu
DU: The Rhapsodic Melody of a Bygone Nation – 239/94Pu
西村純二 川崎逸朗 村田俊治
8 素食の晩餐 FAKE FOOD
DI: Vegetarian Dinner – FAKE FOOD
佐藤大
神山健治
布施木一喜 新野量太
9 絶望という名の希望 AMBIVALENCE
DU: The Hope Named Despair – AMBIVALENCE
佐藤大
神山健治
松家雄一郎
岡村天斎 竹下健一 浅野恭司
10 イカレルオトコ TRIAL
DI: One Angry Man – TRIAL
櫻井圭記 河野利幸 村田俊治
11 草迷宮 affection
IN: Kusanagi's Labyrinth – AFFECTION
大松裕
神山健治
松本淳 中村悟
12 名も無き者へ SELECON
IN: To Those Without Even a Name... – SELECON
橘正紀 後藤隆幸
13 MAKE UP
DI: Face – MAKE UP
布施木一喜 川崎逸朗 新野量太
14 左眼に気をつけろ POKER FACE
DI: Beware the Left Eye – POKER FACE
櫻井圭記
神山健治
吉原正行 西尾鉄也
15 機械たちの午後 PAT.
DI: Afternoon of the Machines – PAT.
布施木一喜 竹下健一 中村悟
16 そこにいること ANOTHER CHANCE
IN: The Fact of Being There – ANOTHER CHANCE
神山健治 橘正紀 後藤隆幸
17 修好母子 RED DATA
DI: Mother and Child – RED DATA
菅正太郎 川崎逸朗 浅野恭司
18 天使の詩 TRANS PARENT
DI: Angel's Poem – TRANS PARENT
神山健治 吉原正行 河野利幸 芝美奈子
19 相対の連鎖 CHAIN REACTION
IN: Chain Reaction of Symmetry – CHAIN REACTION
布施木一喜 新野量太
20 北端の混迷 FABRICATE FOG
IN: Confusion at the North End – FABRICATE FOG
松本淳 竹下健一 中村悟
21 敗走 EMBARRASSMENT
IN: Escape in Defeat – EMBARRASSMENT
吉原正行 小西賢一
22 無人街 REVERSAL PROCESS
DU: Abandoned City – REVERSAL PROCESS
佐藤大
神山健治
川崎逸朗 後藤隆幸
23 橋が落ちる日 MARTIAL LAW
IN: The Day the Bridge Falls – MARTIAL LAW
神山健治 河野利幸 浅野恭司
24 出島、空爆 NUCLEAR POWER
IN: Aerial Bombing of Dejima – NUCLEAR POWER
橘正紀 新野量太
25 楽園の向こうへ THIS SIDE OF JUSTICE
IN: To the Other Side of Paradise – THIS SIDE OF JUSTICE
松本淳 中村悟
寺岡賢司・玄馬宣彦(メカ)
26 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG
IN: Return to Patriotism – ENDLESS∞GIG
神山健治 吉原正行 西尾鉄也、後藤隆幸
寺岡賢司(メカ)

放送局

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放送局 放送期間 放送日時 備考
パーフェクト・チョイス 2004年1月 - 2005年1月 PPVで1か月間各2話放送 有料放送
日本テレビ 2005年4月5日 - 9月27日 毎週火曜 25:29 - 25:59 製作委員会参加
中京テレビ 2005年4月14日 - 10月13日 毎週水曜 26:09 - 26:39 9日遅れ
札幌テレビ 2006年10月12日 - 2007年4月5日 毎週木曜 25:46 - 26:16 1年6か月遅れ
テレビ神奈川 2015年10月14日 - 2016年4月6日 毎週水曜 23:00 - 23:30
(3局同時ネット)
テレビ埼玉
千葉テレビ放送
日本テレビ(日テレ) 火曜25:29枠
前番組 番組名 次番組
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG

リリース

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  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Official Log 1 (DVD) バンダイビジュアル 発売:2004年11月26日
    本編ハイライト、インタビュー映像+アフレコ現場映像、特製本付き
  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Official Log 2 (DVD) バンダイビジュアル 発売:2005年4月22日
    本編ハイライト、インタビュー映像+アフレコ現場映像、特製本付き
  • 攻殻機動隊 S.A.C. 公安9課ファイル (DVD) バンダイビジュアル 発売:2005年10月28日
    オープニング全集、演出担当スペシャルインタビュー、特製本付き
  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven (DVD) バンダイビジュアル 発売:2006年1月27日
    第2シーズン全26話を161分に濃縮した再編集版。
  • 攻殻機動隊 S.A.C. プロダクションノート (DVD) バンダイビジュアル 発売:2006年7月28日
    『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズ。その制作の裏側に迫るDVDとブックレットのセット。
  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG DVD-BOX (DVD) バンダイビジュアル 発売:2007年8月24日
    第2シーズン 全26話収録。


  • 攻殻機動隊 S.A.C. TRILOGY-BOX (Blu-ray) バンダイビジュアル 発売:2008年7月25日
    「The Laughing Man」「Individual Eleven」「Solid State Society」を収録。


  • EMOTION the Best 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven (DVD) バンダイビジュアル 発売:2009年10月27日


  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX 1 (Blu-ray) バンダイビジュアル 発売:2009年11月25日
    第2シーズン 第1話-第13話を収録。
  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX 2 (Blu-ray) バンダイビジュアル 発売:2009年12月22日
    第2シーズン 第14話-第26話を収録。
  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven (Blu-ray) バンダイビジュアル 発売:2010年12月22日


  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX:SPECIAL EDITION (Blu-ray) バンダイビジュアル 発売:2013年11月22日
    第2シーズン 全26話を収録。


  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX:SPECIAL EDITION (Blu-ray) バンダイビジュアル 発売:2015年12月24日
    第2シーズン 全26話を収録。2013年発売のBD-BOX特装版と同仕様。

サウンドトラック

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脚注

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注釈

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  1. ^ 実際はこの他に『附子』という短編が11編目に入っている。従って本作は実際に11編にて構成されているが、当初の9編目の作品『源氏供養』は後に三島本人が廃曲とした為に、現在は10編構成が通説となっている。当該記事も参照の事。
  2. ^ 最終回のみ地上版OPに同じ。
  3. ^ アルバム収録時のタイトル名は「from the roof top〜somewhere in the silence [sniper's theme] 」となっている。

出典

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  1. ^ a b c 青土社ユリイカ」 2005年10月号『特集 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』p.46
  2. ^ 青土社「ユリイカ」 2005年10月号『特集 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』p.54
  3. ^ a b 青土社「ユリイカ」 2005年10月号『特集 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』p.47

関連項目

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外部リンク

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