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利用者‐会話:東 遥/原稿/振り込め詐欺

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振り込め詐欺(ふりこめさぎ)とは加害者が被害者に直接顔をあわせず、郵送した文書や電話で相手を騙し、銀行口座を介して振込みを行わせて金銭を詐取する詐欺の類型の一つで、オレオレ詐欺融資保証金詐欺架空請求詐欺還付金詐欺の総称である。

沿革[編集]

加害者が電話で相手を騙し、加害者管轄の銀行口座に振込みを実行させたうえで、振り込まれた金銭を引き出して姿をくらませる形態の犯罪がクローズアップされたのは、1990年代末にオレオレ詐欺が報道で広く紹介されたところからである。

当初は「オレオレ」と自称し、加害者が単独で詐欺を行っていたが、次第に手口が巧妙になり劇団型犯罪へと派生して、必ずしも「オレオレ詐欺」の名称にそぐわない手口が用いられる様になった。加えて、融資に必要な保証金や手数料を振り込ませて詐取する融資保証金詐欺や、利用していないサービスの利用料を振り込ませて詐取する架空請求詐欺なども社会問題となり、2004年12月9日に警視庁が、振込みを行わせて詐取する犯罪形態を総称した統一名称として振り込め詐欺と呼ぶ事を決定した。以後、2006年半ばより医療費還付金等がATMで直ぐに受け取れると称して実際には被害者の口座から加害者の口座へ振り込みを行わせる還付金詐欺が増え、2007年11月1日にこれも振り込め詐欺に含めることとした。

一方で、ATMからの振込みについて警戒態勢がとられ、携帯電話で話しながら振込み操作を行う客に銀行職員が注意を促す様になると、コンビニATMから振り込む様に指示する様になった。また、架空口座の取引が防止され、不審な取引を行った口座が停止されるなどの対策が進むと、銀行口座を介さずにバイク便エクスパック500で現金を届けさせる事例もでてきた。

分類[編集]

振り込め詐欺は大まかに下記の類型に分けられる。必ずしも特定のカテゴリに当てはまらないものや、複数のカテゴリにまたがるものもある。

オレオレ詐欺[編集]

形態としては、

被害者に対して債務の存在を突然告げて慌てさせて速やかに弁済金の振込みを行わせる

または

被害者に対して債務の突発的な発生を告げて慌てさせて速やかに弁済金の振込みを行わせる

前者の典型的な事例としては、遠隔地に住む親類を騙り、多額の負債を抱えてしまい至急に返済しないと酷い目に遭わされるとして早急な金銭的援助を求める手口がある。最初期には、高齢者と思しき人に電話をかけて単に「オレオレ」と自称し、遠隔地に住む子や孫と錯覚させた上で窮状を訴えて金を振り込ませる手口が主であったことから、俗に「オレオレ詐欺」と呼ばれる様になった。

後者の典型的な事例としては、外出した夫が痴漢行為を働き、立件を免れて示談とするためには慰謝料が必要であるとか、交通事故の相手の車に乗っていた妊婦が破水し、至急医者にみせねばならず医療費が要るとして、多額の金銭を至急振り込む様に在宅の妻に要求する手口がある。後には痴漢犯罪を扱う警察官・駅員や国選弁護士、妊婦の夫や患者を運ぶ救急隊員等を装おう人を用意し、背後でサイレンを流すなどして、複数の人間で夫の窮状を演出する劇団型犯罪へと派生した。

主として加害者は電話によって被害者に接触し、被害者の縁者や、その関係者を名乗り、債務の存在や発生を告げて、当日中に銀行振込を行うように求める。より具体的には昼に接触を始め、振込み処理が当日に行われる14:00を期限として至急に振り込むように強要し、慌てさせると共に事実を確認する暇を与えずに振り込みに至らせる。

融資保証金詐欺[編集]

貸します詐欺とも言われる。形態としては、

資金の需要がある被害者に対して「所定の金額を払い込めば融資を行う」と説明をして振込みを行わせる

実際には、融資を実行せず、また振り込まれた保証金等も返却せずに姿をくらませて、振り込まれた金を持ち去る。

主として加害者は著名な金融機関を想起させる紛らわしいパンフレットを準備し新聞雑誌等に広告を出したり直接郵送する。被害者がこれを参照して融資を申し込むと「信用力を見るため」「手続き費用が要る」「ブラックリストに載っているので、その情報を消す手数料が要る」など融資前に所定の金額の納入が必要と説明して振込みを求める。

架空請求詐欺[編集]

形態としては、

被害者の思いもよらない債務の存在を告げるとともに支払い期限を限って弁済を求め、慌てさせて振込みを行わせる

被害者を追い詰めるために、いかがわしいサービスを利用した事を周囲に公言するとか、不利な信用情報が登録される、などと恫喝を加えて架空のリスクを負わせる一方で多少の金額で体面を保ちながら早急に解決を図れると錯誤させて支払いに至らしめる。具体的には、被害者が利用したことの無いテレクラの利用料金が未払いであると告げ、数日内に指定金額を振り込まないと会社や住居に押しかけてテレクラ利用の事実を周囲に公言するとして支払いを強要するのが典型的な事例である。

債務の名目としては、購入していない物品やサービスの利用に対する対価のみならず、公的年金・健康保健等の未納・納入不足・手数料や、違法ダウンロードした楽曲に対する音楽著作権利用料の支払いや罰金の請求なども用いられる。

主として加害者は文書の郵送電話によって被害者に接触し、被害者の思いも拠らない債務が存在すると主張する。文書の郵送による接触では、所定の金額を指定口座に指定期日までに振り込む様に指示する方法から始まり、電話連絡を強要する方法へと派生した。電話連絡では、個人情報を聞き出すのと併せて口頭で法律上も債務が有効である等と虚言を弄すると共に支払いが無ければ社会的信用を貶める等と恫喝を加えて支払いを強要する。後には支払督促制度少額訴訟制度を悪用したり、公証人制度内容証明郵便を応用して当該債権が公的にも認定され法律的にも有効であると見せかける例も見られる。

還付金詐欺[編集]

形態としては、

被害者の思いもよらない債権が存在すると告げて警戒を解くと共に受領可能な期日を限ってATMへ誘導し、金を受け取る方法と称して不適切な操作法を指示し、被害者の口座から加害者の口座への振込みを実行させる

債権の名目としては、税金の過払いの還付、年末調整で発生した還付、医療保健の還付、年金問題に絡めて発見された年金記録に伴う年金の還付、電話料金やクレジットカード決済金の取りすぎの返却、などが用いられる。

主として加害者は文書の郵送電話によって被害者に接触する。文書の郵送による場合は債権の存在を通知すると共に電話連絡を要求する。電話による接触を果たすと、受け取り期限を本日までとして慌てさせてATMへ急行するように仕向ける。ATMでは、口座確認の為に一端先方に振込みを行う必要があると称して振り込ませて連絡を絶つ手口の他に、不適切なATM操作を行わせる手口がある。具体的には、慣れていない人に対して、受け取り方法を説明すると称して実際には振り込み操作を行わせる手口、操作方法を指示するにあたりメニューの「振り込み」といった釦の名称や「口座番号」などの項目名で指示するのではなく、上から3番目の釦右から2番目の項目と指示したり、預金残高額表示画面においてそれが取引番号なので右から数字を読み上げて教えてくださいなどと指示し、通常の概念から離れた形容を行ってお金を扱っているとか振り込み操作を行うという認識を損なわせて疑わせる事無く振り込み操作を実行させる手口がある。

特徴[編集]

架空口座[編集]

実行の様態[編集]

振り込め詐欺全体の特徴としては、通話を維持して即ATMからの振込みを行わせる手口と、振込み先等を指示して待ちうける手口の大別して2つに分けられる。

即ATMで振込みを行わせる[編集]

即ATMへ向かうように仕向ける理由として、オレオレ詐欺では、収監が行われる前に示談に持ち込むためとして至急の振込みが必要と説明する。還付金詐欺では、受け取れる期日が本日迄として、至急にATMへ向かう様にに仕向ける。いずれも、加害者の説明が本当であるかどうかを確認する暇を与えず、また、心理的に確認をする余裕を与えずに緊張状態を維持してATM前へ誘導し振り込み実行に至らしめる。その際、本当にATM前に来ているかを確認するため、最初に閉鎖されている口座番号を提示し、これへの振込みを指示して反応を見る事も行われる。これにより振り込めないと更に慌てさせる事で余計な事を考えさせないようにすると共に確かにATM前に立っている事を確認して真の架空口座を提示する。 殊に還付金詐欺では、受領可能な余裕時間が数分しかないと期限を区切り、慌てさせた状態で指示した釦を確実に押す様に指示し、自分が振り込み操作を行っているという認識を損なわせて処理を最後まで実行させる。

関連[編集]

代金引換郵便を用いて被害者に対して無価値な物品を送りつけ、その対価として過大な金額を支払わせてせしめる代金引換郵便詐欺につき、「振り込め詐欺の新たな手口」に含めて扱うことがある。

現状[編集]

  • 2008年8月には、銀行のATMコーナーにおいて携帯電話の使用を禁止する対策がとられた。また、顔を隠して引き出しを行おうとする場合には出金を停止する対策もとられた。