利用者:じゃがいもこぞう/sandbox

交通取り締まり用パトロールカーの例。車種はニッサン・スカイラインGT-R(埼玉県警)

日本の警察車両では、日本における警察が使用する車両について記述する。

日本の警察業務において使用される自動車オートバイ等の車両。街の巡回や現場への急行、事件の捜査、人命救助、警備、警護など、用途によって使用する車両は異なる。

概要[編集]

街の巡回や事件事故の対応等を行う地域警察などで使用される警ら用パトロールカー、交通違反の取り締まりや事故の対応等を行う交通警察などで使用される交通取り締まり用パトロールカー、捜査に使用される捜査車両など、用途に合った様々な車両が使用されている。[1]

歴史[編集]

1950年、殺傷事件など凶悪事件が多発したために、当時統制していたGHQ民間参謀局・公安課(治安施設の管理監督を行う部署)が自治体警察に巡回活動を指示。それに伴い警視庁に警ら用パトロールカーを3台配備した。ニッサン180型トラックがベースで、このシャシにセダンボディを搭載したものだった。そのほかにも、アメリカ軍から譲渡されたオープンカーや、移動警察車としてジープ型車両も配備された。

当初からカラーは白黒のツートンが多く、理由は「アメリカのパトロールカーを参考にして汚れが目立ちにくくした」や「他の自動車と区別するため」などと言った説が存在する。最初期は白緑(白青説も存在)カラーの車両も存在したが、1955年には全国で白黒に統一された。

当時配備された3台は故障が多い、居住性が悪いなど問題点が多かったため、アメリカ軍譲渡のシボレー製セダンが使われるようになっていった。

当初は無線機を装備したが、その後、GHQの指示により撤去された。1950年代末に長短波無線機が導入されるまでは無線機非装備の状態で運用されていた。


覆面パトロールカー[編集]

反転灯式交通取り締まり用や捜査車両、警護車など、秘匿性を必要とするため一般車に紛れて活動する自動車の総称を覆面パトロールカー(覆面パトカー)と呼ぶ。一般車に紛れる理由は、「対象者に警察であると気付かれないため」、「一般車か警察車両区別できないようにし、どこに警察がいるかわからないような環境にして交通違反を防止するため」などとされる[2]


入札から廃車[編集]

警察庁や都道府県警察は、まず納入したい車両をメーカーに公告する。

自動車のメーカーは、警察庁もしくは都道府県警察が定める規格にあった車両で競争入札する。警察側は、競争入札の結果一番安価だったメーカーを落札することが多い。

警察庁が国税で導入するもの国費導入、都道府県が地方税で導入されるものは都道府県費導入と呼ばれる。


落札されたメーカーは、ベースとなる車両を製造し、架装会社に送る(メーカーでの製造時に、塗装等の大まかな架装を行うことが多い)。架装会社は、装備などの細かな架装を行い、またメーカーのディーラーに渡って、陸運局で検査、登録を行い、警察へと納入される。。[3]

財政事情の悪化により、数十台分という予算を一括計上する事が困難になっている事から、一部においては購入ではなくリース導入する例もあり、このような車も緊急自動車としてサイレン・赤色灯を装備している。消防車や救急車に於いては古くからリース導入の実績はあったものの、これらは一般のリース車と異なり他用途への転用や中古市場への流通が出来ない事からクローズドエンドリースであり、リースアップ後は廃車される。

自動車メーカーから直接寄贈されているケースも存在する。神奈川県警察の歴代フェアレディZ、スカイラインGT-R(神奈川県に横浜工場および大森ファクトリーが存在するため)、栃木県警のNSX(寄贈当時、栃木県にNSX専用工場が県内にあったため)が代表的な例である。又、有志の一般人によるものもある(埼玉県警察高速隊のトヨタ・スープラなど)。 引用エラー: 無効な <ref> タグです。名前 (name 属性) がない場合は注釈の中身が必要です

一方、外国車の場合は地元有志(ロータリークラブ、地元自動車ディーラーなど)による寄贈が多いといわれている。

細かなステッカーや資機材、無線機等は、警察に納入されてから後付けされることが多い。

7年から12年ほど第一線で使用され、その後は廃車にされるか、予備車、訓練用車として使われたり、他の部署に配属転換されることもある。

廃車になると、登録を抹消され、しばらく廃車置き場で解体を待つ。廃車等の基準は都道府県により異なる。

民間への払い下げは一切なく、再利用できる装備品等を外し廃車にされる。[4]

現在、警ら用パトロールカーなどでは全てが「持ち込み登録」(陸運局に直接車両を持ち込み、検査や手続きを行なって登録する方式)となり、記載事項の変更をする。高さや重量が変わるためで、「車体の形状」も「箱型」などから「警察車四輪」に変わるため8ナンバーとなる。赤色灯等の取り付けのためにボディに穴を開けたり、エンジンやミッションなどを載せ変えたりしている場合もあるため、こういった場合は構造変更の検査・登録も同時に行う。サンルーフ仕様車を架装ベース車とすることにより構造変更要件をパスしている車両もあるとされる(元々ガラスなど重いものが付く上、同時に補強もされているので架装時の補強が不要とされることから)。

170系クラウンの例。グレードエンブレムを装備せず、リアガラスにTAアンテナを装備

かつての覆面パトロールカーは、特種用途自動車扱いであり、乗用車モノコックボディということで、反転式赤色灯の装備が「構造変更を伴う車体改造」となり、それを取り付けた事によって「車体の形状」が「警察車四輪」扱いになるためである(陸運局に提出する構造変更概要の書類において、「車体の形状」は書き換える事ができるので8ナンバーとなっていた)。しかし、現在は仕様が変更され、普通自動車と同じ扱いとなった。

例えばクラウンの覆面パトロールカーでは通常「CROWN」という車種のエンブレムの横に「ROYAL SALOON」などグレードを示すエンブレムがあるが、パトカーの場合は「CROWN」という車種のエンブレムのみである。ただし、後付けで新たにグレードバッジなどを付けているものもある。

装備品[編集]

パトロールカーの車内。中央下部にストップメーターとサイレンアンプが搭載されている。

アンテナ[編集]

白黒パトロールカー等、警察車両であることが明確な車両は、無線機専用のホイップアンテナを使うことが多い。

が、捜査車両や反転灯式交通取り締まり用パトロールカーなど(いわゆる覆面パトカールカー)は、秘匿性を高めるために自動車電話やカーナビ、ラジオ用アンテナを偽装したものが使われる。

警察無線用にNTTドコモから供給(製造は電気興業株式会社)された、外観が自動車電話用と同一のアンテナ(TL型アンテナ、TLアンテナなど)や、近年では自動車電話のアンテナ自体が目立つようになり擬装の意味がなくなってきたことから、自動車TV型(ダブルダイバシティ型・TA偽装型)やフィルムアンテナ、ユーロアンテナ等も装着されている。引用エラー: 無効な <ref> タグです。名前 (name 属性) がない場合は注釈の中身が必要です

また、これは警察無線用であり、周波数帯が違う。(データ通信用等の目的で携帯電話を装備し、正規の自動車電話用アンテナを立てている車両も存在する)。

警護車では広域無線など複数の系統を使用するためアンテナが2本以上立っている場合もある。

ミラー[編集]

過去は一部の例外を除き、従来フェンダーミラーが大半であったが、現在ではドアミラーを装着した車種が多い。助手席側のサッシ(Aピラー側)に、市販車にはない補助ミラー(ナビゲーターズミラー)を付けた車両があるが、目立つため最近は装備していないパトカーも多い。警察車両以外でこれがついているのは教習車やごく一部のハイヤーなどだけである。最近は市販されている吸盤貼付け式の補助ミラーが付いたものもある。[5]

サイドミラーは、助手席側の上部に補助ミラーをつけるものもあったが、近年は少ない。

赤色警光灯[編集]

単灯式警光灯を装備した車両

現在、捜査車両反転灯式交通取り締まり用(いわゆる覆面パトロールカー)などを除きほとんどの車両が散光式警光灯(ブーメラン型・バー型など)を装備する。

過去には、小型で筒型の単灯式警光灯も使用されていた。

一方、反転灯式交通取り締まり用や警護車などは、反転灯を装備する。これは、小型の警光灯で、普段はルーフ中央下部の箱に格納され、点灯時はルーフの蓋が開き、警光灯が自動でせり上がってくるという装置で、サイレンアンプのボタンで操作できる。

捜査車両は、小型の警光灯を手で脱着する脱着式警光灯を装備している。

捜査車両や反転灯式交通取り締まり用など(いわゆる覆面パトカールカー)は フロントグリル内や前面ナンバーの両サイドなどに、目立たない形で、点滅式の前面警光灯を装備している。 現在は少数だが、フォグランプに模した前面警光灯(オートカバー)を装着した車両もあった。 一部の捜査車両などでは助手席のサンバイザー部分にフラットビーム(サンバイザーに付ける、赤色LEDを多数並べた薄型の全面発光式点滅灯)を装備していることもある。[6]

一部の警護車などに、前面警光灯の光り方を、点灯と点滅で切り替えることができる機能、または前面警光灯のみを点灯させることができる機能を有した車両も存在する。

サイレンアンプ・マイク・スピーカー[編集]

緊急走行に必要なサイレンや警光灯を操作するサイレンアンプや、広報音声や指示を担うマイク、音声を再生するスピーカーも装備される。

無線機・車載電話[編集]

APR-ML1型無線機

無線は、暗号化されるデジタル式の警察専用無線で、都道府県により仕様が異なる。 無線機本体はトランクに搭載されていることが多い。

一部の車両には自動車用電話を搭載しており、普通の電話とも通話ができる。

カーロケーションシステム[編集]

本部から車両の位置を把握したり、別の車両の位置を把握したりする端末。都道府県により仕様が異なり、カーナビゲーションシステム機能や、照会機能、本部からの事案情報を表示する機能を有する端末もある。

警視庁の車両は、車両が停車、発車する際に自動的に位置情報を発報している。

ストップメーター・レーダー[編集]

警ら用や交通取り締まり用などは、速度測定のため、ストップメーターを装備する。ストップメーターとは、速度測定装置のことであり、記録用紙の印刷装置も装備している。白バイなどのオートバイは、サイレン吹鳴スイッチを押したと同時に速度測定が始まる仕組みになっている。

また、レーダー(レーザー)は、高価のため一部の白黒交通取り締まり用にしか装備されない装置で、より高性能で誤差を少なく測定できるというもので、停車中でも測定が可能。

上昇中の警光灯昇降装置

積載する用具・資機材[編集]

取り締まりで使用されるカラーコーンと矢印表示板。
  • カラーコーン、矢印表示板、後続車に規制を知らせる赤旗(事故現場での車線規制時に使用)
  • 「止まれ」の表示旗(検問や職務質問のため車両を停止させる時に使用)
  • ウォーキングメジャー、巻き尺、チョーク(事故現場の実況見分時に使用。チョークは駐車違反取り締まり時にも用いる)
  • ジュラルミン製またはポリカーボネート製の盾(機動隊とほぼ同型だが高さが約10センチ低い。ジュラルミン製のものは裏が緑色に塗装、縁も車体の損傷防止のため緑色のウレタンが装着されている)、刺又(暴動鎮圧や人質立てこもり・監禁事件における強行突入時に用いる。機動隊や特殊部隊が用いる物と同型)
  • 懐中電灯(夜間のパトロール・出動時に使用)
  • トランジスタメガホン(災害及び事故発生時における避難や交通規制の告知・暴動やデモの鎮圧・雑踏警備時における観衆への呼びかけ・立てこもり犯への説得などに使用。パトロールカーのマイクハンドマイクうぃ代わりに用いる場合もあり)
  • 誘導棒(事故現場やイベント会場の雑路警備等での交通整理や緊急配備時における車両検問の停止呼びかけに使用)
  • 雨具(雨天時のパトロール・捜査に使用 交通警察は白色雨衣で、前後と袖と裾に光反射布付)
  • ヘルメット(頭部の保護に使用・光反射材付)
  • 規制線(事件・事故発生現場へ捜査関係者以外の部外者が立ち入るのを防ぐために貼る「立入禁止 KEEP OUT (警察本部名)」と書かれた線。かつてはトラロープに「立入禁止 (警察署名)」のプレートを下げたものだったが現在の主流は「バリケードテープ」という、文字が印刷された黄色の非粘着性ビニールテープ。パトカーのバックミラー支柱は規制線固定箇所としてよく使われている)
  • 飲酒検査用具(職務質問時に酒の臭いがした運転者に対し飲酒検査を行うための道具。ストローの先端に付いている袋に運転者より息を吹き込んでもらったのち、アルコール反応が出ると色が変わる気体検知管を吹き口に差し込んで呼気に含まれるアルコール濃度を測定)
  • 薬物検査用具(麻薬使用の疑いがないかを調べる道具。短い試験管と、麻薬・覚せい剤などの薬物反応が出ると色が変わる試薬などが木箱に収められている)
  • 車輪止め・駐車禁止標章(標章は駐車禁止区間に駐められた車両のフロントガラスに貼り付け、当該車両が違法駐車である旨を示す。車輪止めは「車輪止め」標識付き駐車禁止区間へ違法駐車された車両のタイヤを固定し動かせなくする鍵付き輪留め。いずれも運転者自身が所轄の警察署へ申告せず勝手に撤去すると道路交通法「駐車禁止遵守」違反となり罰金=反則金が科せられる)
  • 交通違反切符(シートベルト不着用・信号無視・運転中の携帯電話使用・一時不停止・指定方向以外通行禁止違反・一方通行逆走などの交通違反をした旨を示す切符で、赤と青と白の3種類ある。)

その他、パトカー乗務時に警察官は所轄地域の住宅地図道路地図、クリップボード、ノート、筆記用具、デジタルカメラ・ビデオカメラ(いずれも違反車や事件・事故現場の証拠写真・映像撮影用)、メモ用紙、携帯無線機(他の警察車両・警察官や所轄警察署との連絡用)、警笛(交通整理及び危険周知用)などを携行する。最近では逃走防止用具を一部の車両に搭載したり、最近では警らパトロールカー等に自動体外式除細動器が積載してある車両もいる。引用エラー: 無効な <ref> タグです。名前 (name 属性) がない場合は注釈の中身が必要です

そのほか、救助工作車は、エンジンカッターやハンマー等の救助資機材のほか、サーチライトやウインチ、クレーン等の装備を有している。このように、機動隊で使用される車両は、それぞれの役割にあった資機材や装備を

パトカー乗務員になるために警察官が受ける訓練[編集]

警察官が警察車両を運転する場合、交通量が多く渋滞の激しい道路や住宅街等の狭隘道路においても一般車両との人身・物損・接触事故を避けて周囲の交通に危険を及ぼすさずに事件・事故発生現場へ急行したり、挙動不審の車両・人物(特に指名手配犯や盗難届が出されている車両)を迅速に発見・追跡・身柄確保できるよう、非常に高度かつ熟練の運転技能、及び臨機応変の判断力が要求される(ただ単に「普通・準中型・中型・大型・自動二輪・大型二輪の第一種運転免許を有している」のみでは警察車両の運転は不可であり、警察官は指定自動車教習所指導員以上の高度な運転技能を有している)。

よって、運転免許試験場内コースなどで一般の自動車教習所より高度かつ厳しい運転技能習熟訓練を長期にわたり受け、かつその試験(検定)に合格しなければならない(訓練・試験内容は所属部署や車種により異なる)。また高速道路交通警察隊交通機動隊所属の警察官は普通以上に高度な運転技能・体力・判断力が要求される。なお新人警察官は場内コースにおける走行訓練・教習のみならず、実務中も先輩・上司警察官から運転技能等を指導される。

さらに積雪の多い地方においては事故を起こさぬよう、夏期の乾燥路面以上に慎重かつ迅速な運転が要求される。このため全警察官に対し冬道安全運転技能向上訓練が課されている。なお検定は1級〜4級まであり、緊急走行をする場合は2級以上の検定に合格しなければならない(3級以下は「緊急走行可能な車種と場面を絞る」という条件付きでの運転となるため、警察官としての守備=任務遂行範囲が狭まる)。またパトカー運転訓練指導員になるためには最も難関である1級の検定に合格する。加えて(一般の「運転免許更新試験」にあたる)「パトカー及び白バイ運転技能考査」も毎年実施されており、これに不合格となった警察官は警察車両の運転が一定期間出来なくなる。

警察車両の運転資格の車種区分は各都道府県警により異なっており、警視庁の場合、運転資格は軽自動車限定とそれ以外の二種類であり、公用車の運転には緊急走行を行わない一般職員であっても同じ資格を取得しなければならない。技能試験は緊急車両向けの特殊な項目や高度な技術が必要なものは存在せず、免許試験場における普通免許の実技試験と全く同一の内容である。

警察車両の運転技能習熟訓練は「普通MT免許及び自動二輪免許を取得後2年以上経過し、かつ無事故無違反を1年以上継続」という条件を満たした警察官のみ参加可能である。(参加人数には上限が設けられており、技能試験不合格が続いた警察官は運転不可。)新人警察官は警察学校における研修期間中に「3級」までの取得を目標とした車両運転訓練を受ける。また最も高度なパトカー及び白バイの運転技能と臨機応変の判断力を必要とする。

  • 高速でのスラローム・クランク・鋭角走行(一般車両及び障害物に見立てたカラーコーンを避け、急カーブで速度を上げた時でも車体をコーンにぶつけないようジグザグ走行。前進のみならず袋小路や狭隘路等の反転不能箇所における追跡を想定し、バックによるスラローム・クランク走行もある。一部カラーコーンをあらかじめ倒した状態での訓練も実施。カラーコーンに車体を接触させたりタイヤを乗り上げさせると減点)。
  • 急停止(歩行者・自転車・他車等が側方から急に飛び出してきた場合を想定。緊急走行時でも衝突を避け規定の停止位置で確実に止まれるようにする。規定の停止位置をオーバーランすると減点)。
  • 事故発生時における交通規制(カラーコーン、表示板等を素早く準備し、後続車に追突される二次災害防止のために事故発生を迅速に知らせる体制を整える)。連携確認のため(NEXCO等の)道路管理者と合同訓練という形を採る場合もある。
  • 交通整理方法習得(雑踏警備時や停電で信号機が止まった場合・及び事故発生現場での車線規制時に「手信号による的確な交通整理」ができるようにする。また停電時でも稼働可能な自家発電装置付き信号機を備えた交差点では「電源を自家発電へ迅速に切り替える」訓練も実施)。
  • イベント開催時などにおける交通規制実施方法習得。
  • 要人警護訓練(首脳・皇族などの要人を乗せた車両の公道通行時における先導方法、要人を不審者から守るための警備方法習得)。
  • パトロール中及び緊急出動時における装備、機械の取り扱い方法・及び不審車両への職務質問方法習得。
  • パレード・マラソン・駅伝開催時における車両での参加者先導方法習得。
  • 車両の特性・構造学習(指定自動車教習所の教習カリキュラムと同じ)。
  • 白バイ隊員のみ)幅の狭いジグザグの板から外れないように、さらに足場の悪い凹凸路面でも転倒しないよう走行(オフロードバイクを用いた障害物突破訓練も実施。途中で転倒したり地面に足をつくと減点)。
  • (万一路肩の障害物に乗り上げたり、足場の悪い凹凸路面を走行する場面を想定し)片側のタイヤのみを細い板に載せてバランスを崩さないよう走行(途中で脱輪すると減点)。
  • (不審者・違反者が検問・職務質問等を振り切って逃走した場合を想定した)車両の急発進・急反転・急旋回。
  • スリップ体験(冬期におけるスリップ事故の怖さを凍結=アイスバーン路面を再現したスキッドコースで体験し、緊急走行中に万一スリップした場合でも横転や他車との接触事故を未然に防ぎ、落ち着いて車両を元の姿勢へと立て直せるようにする)。
  • 車両整備方法、車両運行前点検方法の習得。
  • 万一車両トラブルが発生した場合の対処方法(パトロール・取り締まり業務中の車両にタイヤパンク・エンジントラブル・悪天候などでの立ち往生・接触事故など不測の事態が起きた場合でも、慌てず落ち着いて対処できるようにする。万一事故を起こした場合は負傷者を迅速救護すると共に、その旨を所轄本部へ迅速に報告できるようにする)。

警察車両専用グレード[編集]

一部のメーカーでは、警察車両専用グレードを設定していることが多く、警察向けのカタログを発行するメーカーもある。

警察庁や都道府県警察の定める規格に適合するように設計され、また、インテリアや快適設備など、必要のないものを除去してコストを抑える工夫がされる。

警察車両専用グレードが設定された主な車種[編集]

ジープBJ、ランドクルーザー (BJ型・20系・40系、1953-1960年代)

初代のトヨタジープBJ型は警察予備隊の小型汎用車両の競争入札に参加する目的で設計された。

頑丈なシャシと強力なB型エンジンが評価され、国家地方警察の警ら車両として採用される。

二代目のJ20系では国家地方警察の全ラインナップの半数が後輪駆動(2WD)となる。初代の途中で消防用シャシ向けに追加された、より新しいF型エンジンもすべてのモデルで選べるようになる。

J40系はジープBJやJ20系の置き換えや補充用として納入されてはいたが、この頃になると国産乗用車の性能や信頼性が高まり、道路舗装も進んだことから、機動隊や消防指揮車を除き、一般的な警ら車両はS40系クラウンをベースとしたトヨタ・パトロールへと移行してゆく。

トヨタ・パトロール (BDR型・BHR型・BH/FH26型・FS20系・FS40系・FS50系)

BDRはトヨタパトロールの試作車で、小型トラックと同様のはしご型フレームを持ち、サスペンションも全後輪ともにリーフリジッドである。

エンジンは戦前設計された大型トラックバス用の、初代B型であり、これはジープBJや20系ランドクルーザーとも共通である。トランスミッションも小型トラック用の3速MT歯車比を変更したもので、6.00-16のタイヤサイズもやはり小型トラックと共通である。

この時代のRS系クラウンは排気量1500cc、出力は48馬力と非力なため、当時は大型トラック用の大排気量ガソリンエンジンの採用に至った。この時代、日産やいすゞでも、同様な警ら用車を納入している。

2代目となるH26系は、外観は初代クラウンのRS系に酷似するが、シャシやパワートレインはBHRと同様で、新設計のF型エンジンが追加設定されている。

直列6気筒エンジンを搭載するため、クラウンに比べホイールベースボンネットが長く、タイヤサイズが大きく車高も高い。この外観的特徴は先代にも共通する。右フロントフェンダー上に電動サイレンが装備されており、そのためアウターリアビューミラードアミラーとなっている。

クラウンではBピラー埋め込みであった矢羽式方向指示器(アポロ)は、フロントカウル左右端にステーで直立する形となる。

この他、H20系には2ドア・2シーターで、短いクーペのようなキャビンで、白黒の塗り分けも通常とは異なる仕様が少数存在する。

また、このシャシとエンジンの組み合わせは、四輪駆動の必要の無い地域向けの消防用シャシ(カウルシャシ)としても販売されており、これらはFA型大型トラックの縮小コピーのようなボンネットを持っており、パトロールカーとは全くスタイルが異なる。

3代目のFS20系からFS50系までは、クラウン(S20系、S40系、S50系)の各部を補強した上で先述のF型エンジンを搭載したものとなる。H20系までとは異なり、ボンネットの延長は無く、前輪がダブルウィッシュボーン式独立懸架となり、車高も通常の乗用車と変わらない。

なお、FS20、FS40、FS50系には、クラウンバンを大幅に設計変更した「トヨタ・救急車」も存在する。

トヨタ・パトロールカー (FS60系・FS80系)

トヨタ・クラウンをベースとした警察車両専用車種。制服車(白黒パトロールカー)、特殊車(いわゆる交通取り締まり用覆面パトロールカー)、警護車、私服無線車(捜査車両)がセダンベース、事故処理車、鑑識車、捜査用車、保全車がライトバンベースである。

先代まで採用されていたトラック用エンジンではなく、4M型5R型というクラウン用エンジンとなり、タイヤも乗用車用となった。

トヨタ・クラウン/クラウンセダン
130系、1987-1995)

交通取り締まり用、警ら用ともに排気量は3000cc(JZS133Z)の5速MTのみであった。ベースはクラウンセダン。1991年に後期型へのモデルチェンジ、その2年後の1993年に一部マイナーチェンジを行った。

フェンダーミラーが標準だが反転灯式交通取り締まり用にはドアミラーを装備している車両も存在した。

ホイールキャップ等は非装備で、警光灯もバータイプのものが装備されていた。

150系、-2001)
[[|thumb|200px|right|150系クラウン(警視庁)]]

ベースはクラウンセダンで、このモデルから80系マークIIセダンパトロールカーが生産終了したため、1クラス上のクラウンセダンに初めて2000ccの警ら仕様が設定された。

インテリアやシートなどはビニール製[注釈 1]

ホイールはスチールホイールで、ホイールキャップは非装備だが、センターキャップのみ装備された。

反転灯式交通取り締まり用仕様のみドアミラーが標準装備された。後期型から警ら用の2000cc車に昇降機が装備された。国費の警ら用としては、昇降機の装備は日本初である。[7]

排気量は警ら用が2000cc(GS151Z)、交通取り締まり用が3000cc(JZS155Z)。ただし、積雪地域向けに2500cc・4WDも20台余り製作された(JZS153改)。

反転灯式交通取り締まり用はオートカバーがフロントグリルの外側に装着された仕様も存在する。基本的にはMT仕様だが2000ccにはAT仕様もあった、クラウンパトカー初のATはこのモデルが最初である。 タクシー用モデルのトヨタ・コンフォートトヨタ・クラウンコンフォートは、パトカーでは愛知県警などごく一部でしか採用されていない。

170系、2001-2005)
170系クラウン(警視庁)
2001年、170系市販車のマイナーチェンジに合わせる形で生産を開始。よって前期型は都道府県費導入を除き存在しない。

先代と違い、ベースはクラウンセダンではなく、クラウンロイヤルになった。

シフトはATのみ。2000cc(GS171、2003年追加)と3000cc(JZS175改)の他に2500ccの4WDも正式に追加された(JZS173Z)。エンジンは各モデルとも市販車と同様だが、エンジンコンピュータのセッティングが専用となる。

シートは先代同様にビニール張りのアームレストなしの仕様と市販車には存在しないタイプであった。

また、内装はアスリートと同じ黒内装、黒木目調ウッドパネルとなっていた(但しシフトレバーはロイヤル系と同じ形状)。オーディオはコントロールパネルに関しては市販車同様のクラウン・ロイヤルサウンドシステムだが、AM/FMラジオ機能のみとなり、助手席側トリムに無線スピーカーを装着するため3スピーカーとなっている。左右独立フルオートエアコン、全席オートパワーウィンドウ、オプティトロンメーターなどは市販車同様に装備されていた。

市販車同様、寒冷地仕様車にはリやフォグランプも装備している。

180系、2005-2010)
180系クラウン(埼玉県警)
2005年10月、180系市販車のマイナーチェンジに合わせ生産が開始された。

よって前期型は先代170系同様存在しない。白黒交通取り締まり用、反転灯式交通取り締まり用、白黒警ら用が存在しており、市販モデル(全車アルミホイール装備)には設定のないスチールホイールにマークXのホイールキャップを装着している。そのため、ホイールキャップのエンブレムはトヨタCIエンブレムで、クラウンの『王冠エンブレム』ではない。 エンジンは市販車で2000ccが廃止されたため、V型6気筒の2500と3000ccで、市販車と同じ直噴機構を採用した4GR-FSEと3GR-FSEである。

ミッションは2500ccは5AT。3000ccはマニュアルモードであるシーケンシャルシフトマチック付きの6ATが装備される。

ベースグレードは「ロイヤルエクストラ」で、ヘッドランプは市販車の後期モデルに全車標準装備のAFSディスチャージは設定がなく、前期のロイヤルエクストラと同じAFSなしのディスチャージが装備される。 警察車両専用モデルでのディスチャージランプ装着はGRS18#系が史上初。これは180系クラウンにハロゲン式の設定がないため、ハロゲン式を搭載するとヘッドランプハウジングを再設計しなければならないためとされる。

また、市販車と比べ一部インテリア類は装備されていない。

オーディオは先代同様にコントロールパネルは市販車同様のクラウン・ロイヤルサウンドシステムだが、AM/FMラジオ機能のみで、助手席側トリムに無線スピーカーを装着するため3スピーカーとなっている。

左右独立フルオートエアコン、全席オートパワーウィンドウ、オプティトロンメーターが装備されている。シートとフロアも先代同様ビニールレザーである。反転灯式交通取り締まり用の前面赤色灯は、初期はオートカバーだったが、2008年度導入車からはグリル内埋め込みとなり、また、初期のオートカバー装着車もグリル埋め込み式へと交換されたものが多い。

市販車が2008年に200系にモデルチェンジされてからもパトロールカー仕様は180系を2009年度国費予算分までは納入していた。

170系同様寒冷地仕様車にリヤフォグランプが装備される。

200系、2011-2016)
200系クラウン・2500cc(神奈川県警)
2011年1月、200系市販車のマイナーチェンジから1年置いた2011年初頭から生産が開始された。よって前期型は先代同様存在しない。エンジンは先代同様警ら用にV6の2500ccの4GR-FSEと交通取り締まり用に3000ccの3GR-FSEがそれぞれ設定される。ミッションは先代では2500ccは5ATであったが、今モデルから2500・3000ccともにシーケンシャルシフトマチック付きの6ATが装備される。

全タイプに純正アルミホイールが標準装備され、2500cc警ら用に16インチ、交通取り締まり用に17インチが装備されるようになった。アルミホイールの標準装着は、国費で大量導入される警察車両専用グレード車としては史上初のことである。

また外観上の市販車との違いはグレードエンブレムで、警ら用・白黒交通取り締まり用はそれに加え先代まで存在したCビラーの王冠のピラーオーナメントと、トランクの「CROWN」エンブレムがない。そのため王冠マークはステアリングパッド部のみとなる。

装備のベースは「ロイヤルサルーン・スペシャルパッケージ」に準じており、ヘッドランプはディスチャージが装備される。オーディオはビルトインのコントロールパネルに、AM/FMラジオ機能のみで、助手席側トリムに無線スピーカーを装着するため3スピーカーとなっている。VDIM、左右独立フルオートエアコン、全席オートパワーウィンドウ、オプティトロンメーターも装備されている。シートとフロアも先代同様ビニールレザーである。

反転灯式交通取り締まり用のボディーカラーには、「シルバーメタリック」「ブラック」「シルキーゴールドマイカメタリック」「ダークブルーマイカ」の4色が設定される。[8]

スバルが落札した2013年度を除く2011年から2015年にかけて納車された。なお、ベース車の寒冷地仕様車にリヤフォグランプが標準装備されなくなったため、寒冷地仕様車にもリヤフォグランプは装備されない。

210系、2016〜)
210系クラウン・2500cc(千葉県警)
2016年10月、210系市販車のマイナーチェンジと同時に生産が開始された。

よって前期型は170系、180系、200系同様存在しない。今モデルからは警ら用はロイヤルベース、交通取り締まり用がアスリートベースと、ベースとなるグレードが異なる。

エンジンは先代同様警ら用にV6の2500の4GR-FSE形(203馬力)が、交通取り締まり用にはV6の3500の2GR-FSE形(315馬力)が搭載される。180系・200系では整備性と点検性を重視し省略されていたエンジンカバーを装着している。

アルミホイールは警ら用に16インチ、交通取り締まり用に18インチ(デザインは市販車と同一だが、市販車で採用されたスパッタリング塗装ではなくシルバー塗装になっている。オプションで市販車同様スパッタリング塗装のホイールを装着することもできる)を採用している。

ミッションはシーケンシャルシフトマチック付きの6ATが装備される。

先代では採用されなかったCピラーの王冠のピラーオーナメントと、トランクの「CROWN」エンブレムは装備されている。その他装備はロイヤル系がベースで、ヘッドランプ・車幅灯・フォグランプ・テールランプは全てLED式が採用されている。市販車においてリヤフォグランプが寒冷地仕様車対象のメーカーオプションとなっているため、寒冷地仕様車にもリヤフォグランプは装備されない。

オーディオは先代と異なり市販車がオーディオレス仕様を基本とする仕様となり、今回は商用車用のトヨタ純正1DINサイズのAM/FM電子チューナーがセンターパネル下部にサイレンアンプと共に装備された。 スピーカー数は助手席側トリムに無線スピーカーを装着するため3スピーカーとなっている。なお、本来オーディオを装備するスペースにはストップメーターを装備している。 VDIM、左右独立フルオートエアコン(タッチパネル式ヒーターコントロールパネル「トヨタ・マルチオペレーションタッチ」)、全席オートパワーウィンドウ、オプティトロンメーター、室内LED照明を装備されている。シートとフロアも先代同様、ビニールレザー仕様である。

反転灯式交通取り締まり用のボディカラーは「ホワイトパールクリスタルシャイン(062)」「シルバーメタリック(1F7)」「ブラック(202)」の3色が今回用意される。 なお、市販車で全車標準装備のToyota Safety Senseは装備されない。

日産・セドリック(セドリックセダン)(YPY31・1987-2002)
YPY31セドリック(警視庁)
排気量は3000ccのみ設定。

内装のインテリア類はビニール製の内装で、インテリア等はほとんど装備されない。エンブレム類は「ニッサン」エンブレム(楕円形のもの)と「Cedric」エンブレム以外全て撤去されている。

窓は全席手回し式となっている。

MTがほとんどだが一部ATもあった。YPY31は2度の大きなマイナーチェンジを受け、前期型、中期型、後期型に分類されるが、中期型はフロントグリルがオリジナル(商用車用の最下級グレード)と同じだった。

反転灯式交通取り締まり用の後期型はドアミラーが標準となり、オートカバーが装備された。また、前期型から中期型まではグロリアにもパトロールカー仕様があり、排気量は2000ccで型式はYY31改であった(前期型は5ナンバー枠で中期型は3ナンバー枠)。

日産・クルー(YHK30、1994-2002)
クルーの警ら用パトロールカー(大阪府警)
排気量は2000ccのみ。5ナンバーサイズで警ら用仕様のみ。赤色灯は初期のモデルがバー型で後期セドリックのパトロールカーが製造され始めた頃からブーメラン型となり末期のモデルには昇降機が装備された。

タクシー用として開発された車種のため、後席部が広くインテリア類が少ないこと特徴であった。2002年に一般向けのガソリンエンジン車(クルーは本来タクシー専用モデルとして登場したがデビュー翌年に一般向けガソリン車が登場した)が生産中止となったため、警察車両仕様の納入も終了した。

三菱・ギャランΣ/ギャラン (3代目-6代目、1976-1992)

3代目の1976年から6代目の1992年まで、長期にわたり多数のモデルが納入された。

当時の警ら用では直列6気筒エンジンが採用されていたが、三菱では直列6気筒エンジンの生産をすでに中止しており、適当なエンジンを製造していなかった。しかし、ギャランΣに搭載されたアストロン・80シリーズは、直列4気筒エンジンにサイレントシャフトを備えており、直列4気筒エンジンながら警ら用として採用された経緯がある。

三菱・シグマ(F13AK、1991-1996)
排気量は2500ccで駆動方式はFF。実質的には同社のディアマンテ姉妹車であり、その外観も酷似している。1990年代前半に全国で大量配備されたが、赤色灯がブーメラン型でないこともあった。

市販車同様の2500ccV6エンジンで、室内も木目調パネルがそのまま残されるなど、市販車との相違点が少ないことが特徴であった。

リアシート形状はアームレストなどを省略した。トランスミッションは基本的にマニュアルだが、試験的に導入された4速オートマチック車も存在する。生産終了に伴う後継車はディアマンテパトロールカー。

三菱・ディアマンテ(F31AK、1997-1999)
ディアマンテ(埼玉県警)

排気量は2500ccで駆動方式はFF。シグマパトカーの後継として登場した。警察車両専用グレードとしては唯一のハードトップである。

ホイールキャップは装着されなかったが、ドアミラーが装着されていた。先代のシグマとは違い、全国配備はされていない。市販では最初期のモデルにのみあった(1993年のマイナーチェンジで消滅)マニュアルが標準設定されていた。オートマチック車は市販車同様マニュアルモードがついていた。シートはビニールだが、パワーウィンドウ、オートエアコン、ウッドパネルなど装備は市販車と同等のものも多かった。

スバル・レガシィB4(BM、2009-2014)
レガシィB4(警視庁)
エンジンはEJ25型水平対向4気筒2500ターボエンジン、トランスミッションはパドルシフト付き5速AT/6速MT。駆動方式は4WD(VDC-4WD)。足回りは17インチタイヤ&アルミホイールに17インチフロントディスクブレーキを搭載。[9]

2009年度の国費の交通取り締まり用四輪車(高速II型)として4台納入、2012年度の国費の警ら用無線警ら車(4WD指定)として国費で全国の警察に228台納入された。クラウン、クルー以外で昇降式警光灯を搭載した初の警ら用パトロールカーでもある。

ボディーカラーは、制服用(白黒)が上部がサテンホワイトパール・下部がクリスタルブラックシリカとなっている。ベースグレードはD型の「2.5GTアイサイト」であるが、装備品ではアイサイト、キーレスアクセスプッシュスタート、両席パワーシート、アルミペダル、HIDヘッドランプ、濃色ガラス、オールウェザーパック等が省略され、左右独立オートエアコンを通常のオートエアコンに、中央カラー液晶付きエレクトロメーターが通常のメーターに変更されているなど市販車と異なる。

インテリアパネルは前期型2.5iと同様のシルバー塗装。クルーズコントロールSI-DRIVEは市販車同様装備。その一方でビニールレザーシート表皮・塩ビフロアマット仕様等を採用し、2012年度から納車が開始された。2013年度車では警ら用4WD指定枠だけでなく、警ら用駆動方式指定なし・交通取り締まり用4WD指定枠でもスバルが国費分を落札したため全国すべての都道府県警察に大量導入された。

2013年度車ではトランクリッドがすべてホワイトパールで塗られ、前面警光灯がLEDに変更されているなど相違点がある。

2013年度には反転灯式交通取り締まり用仕様も登場した他、警護車、捜査車両(2009年度)として採用実績がある。現行BS9型では日本向けの市販車が2.5のNA車のみとなった影響からか今のところ国費の警察車両としての採用実績はない。
スズキ・ソリオ(2011〜)
初代(MA34S)から3代目(MA26S)までが導入されているが、警察車両専用グレードの設定は2代目から。

エンジンは、2代目が1200cc直列4気筒エンジンで4WD。3代目の2019年度導入車からは2WDも選択できる。Gグレードをベースにドアサッシをボディ同色にしたり、ドアノブ・ドアミラーが黒色になるなどコストダウンが行われている。

スズキ・キザシ(CBARE91S/CBARF91S・2012-2013)
エンジンは2400cc直列4気筒エンジンで、捜査車両として導入。市販車のキザシは1グレードで本革シート等が標準装備された仕様であるが、コストダウンのため本革・電動シートをファブリック・手動式シート、本革巻きステアリング・シフトノブをウレタン素材、BOSEオーディオをラジオレス、フロントフォグランプもレスとなり、チューニングが行われた警察車両専用グレードを設定。2012年度、2013年度に国費分として、多数配備された。

カラーは『スノーホワイトパール』、『プレミアムシルバーメタリック』、スーパーブラックパール』の三色。 有している。

車両[編集]

警ら用パトロールカー(白黒・セダン型)[編集]

制服警察官が乗務する。基本的に制服警察官が2名乗車する(たまに一人の場合もある)。警察署の地域課や自動車警ら隊などに配置され、街の巡回や事件事故現場への急行、職務質問活動などを行うための車両。正式名称は「無線警ら車(警ら用無線自動車)」。ベースとなる車種は4ドアセダンで、トヨタ・クラウン、スバル・レガシィなどだが、山梨県警では、トヨタ・マークX、埼玉県警では日産・ティアナも導入している。

被疑車両の追跡や緊急走行などを行うことを想定し、排気量は1900cc〜2500ccと比較的に大排気量が多い。塗色は白黒で、ルーフの上には赤色灯昇降装置を装備していることが多い。

警ら用パトロールカー(小型)[編集]

主に警察署の地域課・交通課などで使用される。小型車の機動力や小回りをいかし、住宅街や市街地の巡回・事件事故対応のほか、駐車違反取り締まりなどにも用いられる車両。 1500 cc以下でなおかつ、5ナンバーサイズの枠内に入る(例外的にごく一部に全幅1,700 mmを超える3ナンバー扱いの車種も存在)小型自動車ないし軽自動車を用いる。

1974年(昭和49年)、全国100か所の道路事情や気象条件の厳しい駐在所に初めて配備された。[10]


警ら用パトロールカー(ワゴン型)[編集]

主に警察署や交番、駐在所などに配備されている。主に、バンミニバンライトバンなどのワゴン型車が用いられ、一般的な巡回・事件事故対応のほか、広い車内をいかして容疑者の移送、警察官の輸送、資材搬送など多目的に使われる車両。

警視庁では「犯罪抑止対策活動車」としてトヨタ・エスティマやマツダ・ボンゴブローニィなどの車両を導入している。

巡回用スクーター[編集]

交番や駐在所、警察署などに配備されており、街の巡回や、事件事故対応などを行う。

書類の移送や交通取り締まりに使用する都道府県警察もあり、場所により業務やデザインが異なる。

また、大阪府警には、青バイと呼ばれる、巡回用のオートバイを採用しており、巡回やひったくり対策に使用されている。

白バイ黒バイ[編集]

交通取り締まり等を任務とする部署に所属する警察官が乗務する。警察署の交通課や高速隊交通機動隊などに配置される。警視庁など、一部の警察署交通課で白バイを導入しているが、警察署に配備されることは多くない。

オートバイの機動力や走行性能をいかし、主に、交通違反の取り締まりなどを行うほか、事件事故対応の任務を行う場合もある車両。

車種は、大排気量の大型オートバイをベースにすることが多い。

黒バイは、黒色塗装の秘匿性を活かし、一般的な交通違反取り締まりのほか、暴走族の取り締まりなどを任務とする。和歌山県警察では「黒豹」という暴走族取り締まり専門部隊にて黒バイを使用しているほか、スクーターも使用される。

「黒豹」が使用する黒バイ、スクーターは証拠撮影用のカメラや塗料噴射口を装備する。

交通取り締まり用パトロールカー(白黒色)[編集]

交通取り締まり等を任務とする部署に所属する警察官が乗務する。警察署の交通課や高速隊交通機動隊などに配置され、主に、交通違反の取り締まりや事故の対応などを行うための車両。正式名称は「交通取締用四輪車(交通取締用無線自動車)」。高速で走行する容疑者を追尾することもあるため、排気量は、2500ccから3500ccが多い。

セダン型が多く用いられているが、スポーツカーなども一部で用いられる。

交通取り締まり用パトロールカー(反転灯・脱着式警光灯式)[編集]

交通取り締まり等を任務とする部署に所属する警察官が乗務する。警察署の交通課や高速隊交通機動隊などに配置され、主に、交通違反の取り締まりや事故の対応などを行う。正式名称は「交通取締用四輪車(反転警光灯)」。通称「交通取り締まり用覆面パトカールカー」で、一般車に扮して取り締まり活動等をする。

トヨタ・クラウンなどのセダン型が多いが、一部スポーツカーやステーションワゴンなども用いられている。

ほとんどが反転灯(反転式警光灯)を装備するが、一部車両は脱着式警光灯を装備している。



捜査車両(脱着式警光灯/普通車両)[編集]

主に刑事が乗務する。警察署の刑事課や警察本部の捜査部署などに配置され、事件の捜査や張り込みなどを行う。警察署などに配置される「私服捜査用車」、機動捜査隊などに配置される「機動捜査用車」、幹部などが乗務する「指揮用車」などがある。緊急自動車の要件を満たさず、緊急走行ができない(つまり普通車)車両も一部存在する。

警護車(反転式警光灯)[編集]

主に内閣総理大臣を初めとする閣僚官公庁の上官、都道府県知事など国内外の要人警護を目的に使用され、ベース車にはトヨタ・センチュリートヨタ・セルシオなどの高級セダンや、[11]トヨタ・ランドクルーザープラドトヨタ・ハイラックスサーフ、などのSUVをベースとした遊撃警護車も配備されている。遊撃警護車は、頑丈なボディを活かし、いざという時には体当たりなどをして守ることができる。[12]

また、防弾仕様)の車両も一部導入されている。

警護車を使った警備については、警護車を1台ないしは2台利用して車列をつくり(車列警護)、警護対象者の乗る対象車の前で先導するか、対象車の後から追尾するスタイルが一般的である。なお、この場合では警護車は緊急自動車とならず、車列の走行に障害となる一般の交通を一時停止させるため、乗務するSPが、警護車から身を乗り出し(「ハコ乗り」)、誘導灯を振るなどして一般車などを排除しながら走行する。[13]

事故処理車誘導標識車[編集]

交通取り締まり等を任務とする部署に所属する警察官が乗務する。警察署の交通課や高速隊交通機動隊などに多数配置され、カラーコーンなどの各種資機材を装備する。

事故の処理や交通整理、原因究明などを行う。

ステレオカメラ車[編集]

交通取り締まり等を任務とする部署に所属する警察官が乗務する。警察署の交通課や高速隊交通機動隊などに数台配置され、重大事故やひき逃げ事件などの際に、ステレオカメラで、状況や証拠を撮影する。

交通鑑識車[編集]

    • 交通取り締まり等を任務とする部署に所属する警察官が乗務する。警察署の交通課や高速隊交通機動隊などに数台配置され、重大事故やひき逃げ事件などで、証拠品の採取や捜査などを行う。
  • サインカー
    • 交通取り締まり等を任務とする部署に所属する警察官が乗務する。警察署の交通課や高速隊交通機動隊などに数台配置され、後部や側面に、大型の電光掲示板を搭載している。

交通整理や誘導、道路状況の提供、イベント等での広報活動などを行う。

  • エリア検問車
    • 警備対象施設周辺などで、検問などを行う。電光掲示板や検問用資機材などを装備している。
  • 検問補助車
  • 検問や交通取り締まりなどで、検問対象者の取り調べや待機場所、違反者の切符交付場所などとして使う。
  • 護送車
    • 鉄格子やかんぬきなどを装備しており、容疑者の移送などを行う。

ワンボックスカーやバスなどが使われる。

  • 遊撃車
    • ワンボックスカーの使い勝手を活かし、対象施設の周辺警備や検問、警護車列の後方警戒、人員輸送や資材搬送など、多目的に運用されている。

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 鈴木賢志『緊急車両のすべて』三栄書房68頁参照
  2. ^ [1]2020年8月閲覧。
  3. ^ 保月滋/持田克乙『警察マニア』三推社(現・講談社ビーシー)・講談社4頁から5頁参照
  4. ^ 蓮見清一 『パトカー&警察車両徹底ガイド』宝島社 頁参照
  5. ^ 大井松田吾郎『パトカーマニアックス5』三才ブックス27頁から28頁参照
  6. ^ 蓮見清一『パトロールカー&警察車両徹底ガイド』宝島社頁から頁参照
  7. ^ 大井松田吾郎『パトカーマニアックス2』三才ブックス78頁参照
  8. ^ [2]2020年8月閲覧。
  9. ^ [3]2020年8月閲覧。
  10. ^ 昭和50年版『警察白書』参照
  11. ^ 蓮見清一 『パトカー&警察車両徹底ガイド』宝島社53頁から61頁参照
  12. ^ 蓮見清一 『パトカー&警察車両徹底ガイド』宝島社60頁参照
  13. ^ 蓮見清一 『パトカー&警察車両徹底ガイド』宝島社58頁参照

 注釈[編集]

  1. ^ ただし、捜査車両の指揮用車などに納入されたものには、同世代のスーパーデラックスと同様の部分ファブリックシート(布張り)の車両も存在した。

関連項目 [編集]