利用者:ひで。/ヌーディズム記事草案

ヌーディズム (英 Nudism) は、衣服を着て生活することが規範となっている社会において、全裸でありながら服を着た状態と全く同じように過ごす生活様式、およびその様式における文化活動の総称である。
日本語では「裸体主義」と訳されるが、通例はそのままヌーディズムという名称を用いることが多く、前記の訳語が使用されるケースは稀である。また、自然との関わりを強調しナチュリズム (英 Naturism(ネイチャリズム)の変化) の呼称を用いる者も多い。(ナチュラリズム(英 Naturalism)は「自然主義」のことで別の概念である。)なお、ヌーディズムを実践する者はヌーディスト、ナチュリスト、裸体主義者と呼ばれる。


概要[編集]

19世紀末、ヨーロッパにおいて、工業生産の増大と鉄道自動車による加速度的な近代化に反発するかたちで、自然回帰の動きが高まった。このとき、ハンドクラフト運動、禁煙・禁酒運動、健康食、健康飲料(果実ジュースなど)、ダンス海水浴日光浴ワンダーフォーゲルハイキングなどとともに、ヌーディズムも自然回帰運動の一環としてドイツに起こった。続いて他のヨーロッパ各国に広がり、さらにアメリカ大陸オーストラリアなどにも広まった。

その歴史を考慮すれば、ヌーディズムとは人間が潜在的に持つ「自然回帰」の欲求が顕在化した行為といえる。このため、衣服を脱ぎ捨てることで得られる解放感や、全身が直接日光空気に触れる感覚を楽しむことが、実践の主な目的であるといえる。
ただし、上記のような観点から、海岸森林など屋外の豊かな自然の中におけるレクリエーション的な活動のみがヌーディズムの実践であるかのような印象につながりがちだが、一方で屋内においてリラックスを目的として全裸で過ごす場合も実践とみなされる。
この点から、ヌーディズムの外的な定義は「裸であること」という一点に尽きることになってしまうが、実際には裸になる全ての行為(風呂に入る、衣服を着替える等)がヌーディズムとは言えず、あくまで実践者自身に実践の自覚がある場合のみにヌーディズムの語を用いることになる。したがって、その実践に対する「ヌーディズムか否か」という客観的な判断は難しい。

また一般に、他人に裸を見せたり見られたりすることを楽しむ露出行為と混同されることがある。同じく全裸での行動である両者を峻別する境界線は「性的感情」の一点しか存在しえないが、これを視覚的に判断することが難しいためである。特に法律においては両者の区別を全く想定していないも存在する。
しかし、大多数の実践者はこのような混同を嫌い、実践する際は、性的なものと捉えられないよう意識し、性的な意味を連想されないよう、実践中の性行為や性的興奮を厳しく戒めている場合がほとんどである。欧米においては、そのような考えに基づいて家族全員でヌーディズムを実践しているケースもある。
ただし、前述のとおり「ヌーディズムか否か」という客観的判断は困難であるため、その実践には、他者の主観により様々な性的嗜好の対象となりうる要素を孕んでいる。ヌーディズムを否定的に捉える場合も、その視点には多分に性的要素を含んでいる。例えば実践の様子を捉えた映像作品等についても、普及を目的として制作されたものであったとしても、その内容に対する客観的評価は、視聴する側の意識如何で大きく異なってくる可能性が高い。

なお、当然ながらどの国家地域においても、公共の場において無制限に全裸が許容されているわけではない。ヌーディストの一部には、実践を否定的に捉える人々に対し、ヌーディズムの実践が健康に与える効果を主張したり、裸と性を結びつける意識や裸に対する羞恥心が後天的に形成されたものであるとして、その実践の場や実践人口を拡大させようとする者や団体もあるが、一般的には彼らとの「棲み分け」を図るべく、私有地に開設された専用のビーチやキャンプ施設等、もしくは公有地において国家や地域自治体により指定された実践エリアなど、否定的な視点から隔絶された環境において実践される場合が多い。

現状[編集]

ヌーディズムは主に欧米で実践されているが、その国々の全体人口の内、比較的少人数により行われている。
多くのヌーディスト用の海岸やキャンプ場は、全裸が義務づけられる所がほとんどであるが、海岸では服は着ても着なくてもいい("clothing optional")という所もある。椅子などに座る際は、タオルを敷くことが衛生上のエチケットとして求められる。
なお、欧米においては、ヌーディズム実践のための統括組織・団体が数多く存在し、それらの地域における普及活動や実践活動にとどまらず、インターネットなどを用いたより広域な普及活動を行っている例が多い。
特にヨーロッパでは、自治体が開設した公的なウェブサイトで情報を扱っていたり、売店などでガイドブックが販売されるなど、ヌーディズムが一定の社会的認知を得ていると考えられる事象が多い。
しかし、そのような地域においてさえ、実践に否定的な大多数の人々とのトラブルを避けるべく、性的な行動を除外しようとする所が多い。


欧米に比べ、日本ではヌーディズムが社会的認知を得ているとは言い難い。実践する人口を調査した統計結果は存在しないものの、後述する各種条件から、その勢力は欧米のそれよりもはるかに小規模であると考えられている。

まず、国や自治体により認められた専用エリアが存在していない。公共の場において全裸が認められるのは、銭湯公衆浴場、野外における露天風呂などを除いてほとんどなく、男女同時という条件では混浴の場合が唯一許容されている例である。これ以外の公衆の目に触れる場所で実践すると、刑法第174条の公然わいせつ罪に問われる可能性がある。(ただし、現行の刑法はヌーディズムという概念を想定しておらず、その意味ではヌーディズムを禁止する法律はない。屋内などの私有地における個人的な実践等、公然わいせつに抵触しない範疇に限定すれば、ヌーディズムの実践は違法ではないといえる。)

前述のとおり、ヌーディズムは広く一般に認知されていないため、概要にあるような露出行為(=公然わいせつ罪)との混同が起こりやすく、また、第三者から性的嗜好の対象として捉えられる可能性がある。そのため、日本在住のヌーディストの多くは性行為と混同されることを避けるべく、実践について公言しない傾向が強い。

また、日本においては、2006年12月現在、実践についての統括的な組織・団体は存在していない。普及目的や自らの実践内容の紹介のために個人的にウェブサイトを開設し、それをもとに広く社会的認知を得ようとする(もしくは刑法に抵触しない範疇の拡大を図ろうとする)者やグループも一部には存在するものの、上記混同などから広く賛同を得られる状況になく、性的な興味の対象となるケースが多いことから、それらの例が一般への普及活動につながることは現状ではほとんどない。

その他の話題[編集]

イグノーベル賞」の2004年文学賞に「米国ヌーディスト研究図書館 (The American Nudist Research Library)」が選ばれている。


ヌーディズムを扱った作品[編集]


参考書[編集]