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利用者:熊野宗治/sandbox

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光速の法則性とマイケルソン実験

  19世紀末期から20世紀初頭にかけ、米アルバート・マイケルソンによって行われた2つの重要な実験がある。これらは光がどこを走るかという、光の法則を示す。マイケルソン実験は2つの実験をペアで見なければならない。一般によく知られるマイケルソン=モーレイ実験と、少し後に行われたMGP実験との2つである。以下に、これらが何を示すかを見る。


マイケルソンの2つの実験[編集]

1. マイケルソン=モーレイ実験[編集]

1887年、マイケルソン(米Albert Abraham Michelson, 1852-1931)とモーレイ(米Edward Williams Morley、1838-1923)が、公転運動をしている地球において、方向による光速差(光の相対速度)を観測しようとした実験。


装置と実験[編集]

マイケルソン干渉計と呼ばれる装置は、水平に置かれたL字型のアームに沿って、アームの隅角から入射した光を、45度傾斜したハーフミラー(スプリッタ―)によって90度曲げられたものとそのまま通過直進するものとに別け、共に等距離行って反射鏡で戻される光を再びスプリッタ―によって合流させ、両光の光路差を観測するもの。光路差は、干渉計によって光波の山谷の重なりで生じる干渉縞が、1波長につき1回、明暗を繰り返すことから知られる。光の標準波長は605.8㎚[1]とされている。
マイケルソンは、地球の公転方向の光は地球の公転速度[2]相当分遅く、反公転方向の光は地球の公転速度相当分速く観測されるはずだと考えた。その差を確認するために、干渉計は水銀にそっと浮かべられ、静かに回転できるようになっており、あらゆる方向について試すことができた。


実験結果[編集]

実験の結果、マイケルソンらは、光速に予想される相対速度にしては干渉縞のずれとして2.5パーセントほどしか検出することができなかった。この差は実験操作による誤差であろうと考え、光の、方向による相対速度は検出されなかったと発表した。これを基に、それから間もなくアインシュタイン(独: Albert Einstein 1879-1955)によって「光速不変」が提唱され、“光速不変”から起こる矛盾を埋めるための様々な説明がなされた。これが特殊相対性理論および一般相対性理論である。これに伴い、光の媒質とされる「エーテル」は存在しないとされた。


2. MGP(マイケルソン=ゲイル=ピアソン)実験[編集]

1925年、マイケルソンとその協力者 (ヘンリー・G・ゲイル、フレッド・ピアソンほか)らによって行われた実験。エーテルの存在を示そうとした実験だが、マイケルソンは表向き、地球の自転を証明しただけの実験だと説明している。


装置と実験[編集]

実験施設[3]はイリノイ州のプレーリーに設置され、内部の空気が抜かれた直径12インチのパイプが、地表で水平に縦横300m×600mの環状に組まれたもの。図のωは地球自転による実験地での自転角速度[4]である。環の1つの隅角から入射した光を、45度傾斜したスプリッタ―(ハーフミラー)を通過するものと、反射して90度向きを変えたものとに分けることで、互いに逆向きの光として周回(一周1800m)させ、一周して再び同じスプリッタ―で再会させるまでの光路差を、干渉縞によって観測した。


実験結果[編集]

その結果、地球の重力場に対する施設の自転のため、0.25λ(波長λの25%)の光路差が干渉縞のずれとして検出された。 相対論的には、この差は慣性座標に対する地球の自転による時間の遅れが生じたためと説明された。


2つの実験の関係と重要性[編集]

今日における光と電磁波[編集]

今日では、電磁波や光は電場と磁場との相互作用[5]の伝達であることが知られ、したがって電場・磁場・重力場が電磁波や光のエーテルであると見るのが道理になる。これが光速の第一法則として規定され、必然的に、光の伝達速さは場の相互反応速さから、その“場”に対する速さとして、常にc[6]を持つことになる。 電場や磁場が光波をつくっている事実と、前述のマイケルソンらによる実験事実は、自ずと光についての以下の法則性へ結びつく。 まず、光は電場・磁場・重力場(代表的には重力場[7])を背景とし、この背景に対し常にcで伝わる。光の屈折の法則を考慮すれば、cの値は重力場の強度によって不変ではない。

次に、ある空間からrの距離にある質量mがその空間につくっている光速の背景(重力場)の強度は、万有引力の法則[8]から
   (G:万有引力定数
すべての質量によってその空間につくられている重力場の総和は
   
それゆえ、1つの質量mがつくる場の、全体に対する役割は
   
すると、mの運動速度υiによってその空間に及ぼされている場の運動速度は全体の按分として次のように与えられよう。
   
そして、すべての質量からその空間に及んでいる背景運動速度としてはそれらのベクトル和
   
となって定まることになる。Gが宇宙のあらゆる場所で真に一定だとすれば
   
これと等しい速度を持つ座標系が光についての静止座標すなわち光速の背景ということになる。これを第二法則とすれば、以下のようにまとめられよう。


光速の法則[編集]

第一法則  光速の重力場法則[編集]

光は重力場を背景とし、この背景に対して常に光速cで伝わる。cの値は重力場の強度によって不変ではない。


第二法則  重力場分配の法則[編集]

ある空間における光の背景速度はその重力場をつくる物体らの運動速度を、各物体から及んでいるニュートンの万有引力則における万有引力の比で按分されたベクトル和として与えられる。 それはそれらの物体の最も速い速度を超えない。

重力場の運動速度は第二法則から次式で与えられ

 これと同じ運動をする座標こそが光の静止座標ということになる。(2012.1.28)


求められる第三の実証実験[編集]

光速の法則がもたらされたのはマイケルソンによる2つの実験によってであった。しかしこの2つの実験は光の静止場がどこにあるかを知るためのものではなかった。さらなる確認実験として次のような第3の実験が待たれる。
第二法則をもとに、宇宙空間で行われる実証実験、例えば、地球から太陽までに等しい半径で公転運動する小さい観測機器(L字型のものでよい)によって、地球の重力圏から十分離れた位置において、光速に公転速度分の相対速度が検出されるかを見る。この方法は観測器を常に地球から等距離に置いたまま観測することができる。
もし相対速度が検出されれば、太陽系で大部分を占める太陽重力場が光速の背景になることが実証されよう。また、前述の光速の法則は間違いであると反証するには、その観測によって光の相対速度が検出されないことを示せばよい。


脚注[編集]

[1]㎚:長さの単位(ナノメートル)、1㎚=0.001㎛=10-9m

[2]地球の公転速度は平均、約29.8km/sec

[3]実験風景の写真を次の文献中に見ることができる

Spencer R. Weart & Melba Phillips, editors; History of Physics,(American Institute of Physics,New York 1985)pp.40 西尾成子、今野宏之共訳;歴史をつくった科学者たちⅠ, (東京 丸善 1986 )P.68

[4]地球の自転角速度をω0とすれば、緯度θでの実験地の自転角速度ωはω=ω0 sinθで与えられる。地球自転角速度ω0は、24時間で1回転の2πラジアンであることからω0=7.27×10-5 ラジアン/秒である。

[5]ファラデーの電磁誘導の法則および磁気誘導による相互作用がある。電流が流れるとき、すなわち電場が動くとき、電流の流れる向きへネジを進めるようなN極の向きの磁場が、電流を取り巻くように生じる。この性質がファラデーの電磁誘導の法則をつくる。その結果、コイルに電流を(右回りに)流すと、それによってネジの進む向きに、コイルをくぐるような磁界が生じる。 逆に、コイルへ向かって外から磁場を強めてゆくと、それを打ち消すような向きの磁場をつくろうとするようにコイルに電流が生じる。これが磁気誘導である。こうして互いに変換し合いながら空間を波及してゆくのが電磁波(光)である。

[6]c: アメリカのマイケルソンによる精密な測定によって得られたc=299792.458㎞/secを光速の基準値とされている。

[7]“場”のうち、電場と磁場はそれらがそれぞれ2つの極をもつ性質から、すこし離れても急減するが、重力場はほのかなものである代わりに遠くまで(無限遠にまで)及んでいる。それゆえ、マクロ(光源に比して遠方にある)には光波の伝達場は重力場であるとみてよいだろう。

[8]質量をもつ2つの物体の間には、互いに引きあう力が存在する。その力は両質量の積に比例し、両者間距離の2乗に反比例する。比例定数を万有引力定数と呼ばれる。
換言すれば、片方の質量ⅿがうける引力は相手質量Mがつくる重力場と質量ⅿとの積になる。相手の質量と万有引力常数との積を相手までの距離の2乗で除したものが重力場(重力加速度)として自分に及んでおり、この重力場と自分の質量に比例するように、相手への向きに引力が生じる。したがって、物質でないもの(質量=0)には、重力場の中にあっても引力は生じない。


参考文献 References[編集]

Michelson A. A, Morley E W; On the Relative Motion of the Earth and the Luminiferous Ether. Amer. J. Sci. 34, 333-345, 1887

Michelson A Gale H; The Effect of the Earth's Rotation on the Velocity of Light. The Astrophysical Journal, 61, 140-145, 1924.

Michelson A, Pease F, Pearson F; Repetition of the Michelson-Morley Experiment. Nature, 123, 88, 1929

Shankland RS; Michelson-Morley Experiment. American Journal of Physics, 32, 16-35, 1964.

Shankland RS; Michelson and his interferometer. Physics Today. 1974; 27(4).

Spencer R. Weart & Melba Phillips, editors; History of Physics,(American Institute of Physics,New York, New York 1985)pp.40

西尾成子、今野宏之共訳;『歴史をつくった科学者たちⅠ』(HISTORY OF PHYSICS), (東京 丸善 1986 )P.68