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利用者:Bonfire12/第六作業場

アド・バード』は、椎名誠によるSF長編小説。『水域』『武装島田倉庫』と共に椎名SF3部作に数えられる。小説誌すばる』に1987年9月から1989年12月まで連載され、1990年3月に集英社より刊行された。同年、第11回日本SF大賞を受賞した。

ただし椎名はそれ以前にも「アド・バード」をモチーフとした小説を執筆しており、それらを原形にして本作が完成した。本項では、それらの小説についても記述する。

『アドバタイジング・バード』(1972年)[編集]

アドバタイジング・バード
作者 椎名誠
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル SF小説短編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出 『星盗人』1972年6月号
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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椎名の友人である目黒考二が当時発行していた個人誌『SF通信』の別冊特集号『星盗人』に掲載された。

あらすじ[編集]

ある夏の夜明け前、トンプソン・アドバタイジング・バードE102799、愛称コモは都市の中央にそびえるセントラルコントロールタワーからのパルスで目を覚ました。コモは宣伝用に改造されたツグミで、当時起こっていたトンプソンとデンツーの広告戦争用につくられたものであった。

一方「おれ」もしゃべる壁によって起こされた。家の随所に仕掛けられたトンプソンとデンツーの広告に話しかけられつつ身支度を済ませた。先の「アド・バード」もやって来て、タバコのセールストークを受けた。

「おれ」はかつてビジネスホテルであった部屋から出て、セントラルタワーに向かって歩き出した。町にも溢れんばかりの広告や宣伝生物がいるが、人は一人もいない。そう、ここは97%の広告汚染地区で、この都市には「おれ」一人しか人間はいないのである。

『クレイジー・キャンペーン』(1973年)[編集]

クレイジー・キャンペーン
作者 椎名誠
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル SF小説短編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出 『ストアーズレポート』1973年1月号
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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『アド・バード』(1977年)[編集]

アド・バード
作者 椎名誠
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル SF小説短編小説
発表形態 未発表
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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あらすじ[編集]

『アド・バード』(1990年)[編集]

あらすじ[編集]

K二十一市に住む青年、安東マサルとその弟菊丸は、行方不明となった父が生きていることを知り、マザーK市への旅へ出る。世界はターターとオットマンの両陣営による改造生物を使った広告戦争により荒廃しており、市外を一歩出たところには、何もかも分解して土に変えてしまう科学合成虫ヒゾムシ、鉄を食いつくすワナナキ、触手を持った動く絨毯のような赤舌、そして鳥文字を作ったり人語を話す広告用の鳥アド・バードといった、珍妙不可思議な生物たちがうごめく危険な時代だった。道中で出会ったキンジョーという名の生体アンドロイド(ズルー)と共に、兄弟はマザーK市へ向かう。

用語[編集]

地理[編集]

マザーK市
K21市
K22市
旧称・選所市(よりどころし)。

生物[編集]

アド・バード
群れをなして文字を作る、宣伝用に改造された鳥。群れをつくらず、人に直接セールスを行うものは「メッセンジャー・バード」と呼ぶ。
インドカネタタキ
宣伝用に改造されたホタテザル。白い毛を持ち、堅いものを叩きながら隊列をなして歩く。
ヒゾムシ
長さ0.8ミリ、幅0.5ミリぐらいの線虫。集団となってあらゆるものを呑み込み、黒色の焦土にしてしまう。人間にも寄生し、宿主となった人は体内で大量に増殖したヒゾムシに体を侵されてゆく。
ワナナキ
鉄錆を食い、を出して腐蝕させる。ギュルギュルといった音をたてる。刺された時に痺れることから「デンキ虫」とも呼ばれる。一部のものは飛翔能力を持つ。
赤舌
赤色をした絨毯のような生物で細い触手を持つ。ヒゾムシなどを食う。キレエチレンガスのような臭いを放つ。成長すると、超高速で移動し、宣伝生物を食う「地ばしり」や「海ばしり」になる。
スナキリ
地表近くを移動し、ラッパのような口で人に噛みつく。

脚注[編集]


{{DEFAULTSORT:あとはと}} Category:椎名誠 Category:日本のSF小説 Category:1987年の小説 Category:すばる (雑誌) Category:日本SF大賞受賞作