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利用者:Dokuo350/インターセックス啓発デー

インターセックス啓発デー
インターセックス啓発デー
挙行者 DSD コミュニティ, LGBTコミュニティとアライ
種類 国際的
日付 10月26日
関連祝日 インターセックス追悼の日 - 11月8日
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インターセックス啓発デー(インターセックスけいはつデー、英語:Intersex Awareness Day)は、性分化疾患(DSD)の当事者が直面する人権問題について強調することを目的とした、国際的な啓発デーである[1]

歴史

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このイベントは、1996年10月26日にボストンで開かれていた米国小児科学会の年次会議会場の外で行われたDSD当事者達によって行われた北米初のデモ活動を記念したものである[2][3]。インターセックス活動家のモーガン・ホームズとマック・ベックが、トランスジェンダーの権利活動家団体「トランスセクシャル・メナス」のリッキー・ウィルチンズを含む賛同者たち共に[4]、(現在は解散した)北米インターセックス協会のためにこのイベントに参加した[4][5]。ホームズは後に、この行動はデモではなく会議への参加を目的としていたと書いている。彼女曰く、彼ら2人は「長年にわたるDSDを取り巻く成り行きと、彼ら(学会の参加者である小児科医たち)が有していた、最善の手段は未分化な性器を『治療』する美容整形手術である、未だに優勢であった意見に挑戦」について述べる演説を行うつもりであった。だが、彼らは「敵対的な態度で迎えられ、警備員によって会議場の外まで追い出された」[6][4]。その後、彼らは、"Hermaphrodites With Attitude "という看板を掲げてデモを行った[7]

記念日として祝われ始めたのは、2003年にベッツイー・ドライバーとエミ・コヤマが中核的なインターセックス啓発のためのウェブサイトを立ち上げたときだった[5][8]。このウェブサイトは2015年に、オープン・ソサエティ財団からの支援とともに、モーガン・カーペンターとメキシコのインターセックス団体である「ブルフラ・インターセクシアル」所属のラウラ・インテルによって再建された[9]

行事

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インターセックス啓発デーは、インターセックスである子供たちへの恥や秘密、性器の望まれない整形手術を終わらせるための草の根国際的な行動の日である[2][10]。この日は、これまでの運動への反省と政治的な行動への機会でもある。インターセックスに関連する運動団体は、10月26日から「インターセックス追悼の日」、あるいは「インターセックス連帯の日」としても知られる11月8日にかけて、DSD当事者たちが直面している課題に対しての注意喚起に取り組む。

特筆すべき出来事

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2013年

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インターセックス啓発デーの前日にあたる10月25日の金曜日、オーストラリアの元老院は「オーストラリアにおけるインターセックスの人々の自発的または強制的な不妊化」と題した調査報告書を発表した[11]。翌年、2014年11月11日、オーストラリアのニューサウスウェールズ州上院は、インターセックス啓発デーを記念する法案と、前述の報告書について「勧告の実施に向けてオーストラリア政府と協力していく」ことを呼びかける動議を可決した[12][13]

2014年

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ベルリン市参事会(Senat von Berlin)は、インターセックスの人々への自己決定権を求める声明を出した[14]

また同年、メキシコ連邦区(現メキシコシティ 西:Distrito Federal)の人権委員会はインターセックス問題に関する可視化イベントを開催した[15]

2015年

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この年には、アメリカ合衆国でのアストレア・レズビアン・ファンデーション・フォー・ジャスティスによるインターセックス人権基金の立ち上げや[16]緑の党所属のジェニー・レオン議員によってオーストリアのニューサウスウェールズ州下院議会に記念日を公的にする法案が提出されたことなど、制度的な動きが見られた。

また、Intersex Campaign for Equalityに所属していたダナ・ジィムが、自身がノンバイナリーでインターセックスである旨をパスポートに明記することを求め、米国務省を相手取ってラムダ・リーガルと共同で提訴した[17][18]

Buzzfeedによれば、インターセックス活動家であるピジョン・パゴニスが企画したハッシュタグ、「#IntersexStories」を付けてソーシャルメディア上に投稿された当事者たちの個人的な体験談を、420万人以上の人々が閲覧した[19]

2016年

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2016年には、国連人権高等弁務官事務所が啓発サイトを立ち上げた一方[20]、国連拷問禁止委員会、子どもの権利委員会、障害者の権利委員会などの国連専門家や、欧州人権理事会人権委員、米州人権裁判所、国連特別報告者などが、医療現場におけるものも含むインターセックスの人間に対する人権侵害を早急に終わらせるよう呼びかけた[21][22]

複数の政府機関が声明を発表し、多くの市民団体も参加した[23][24]。公式な承認としては、米国国務省[25]やオーストラリア人権委員会も声明を出し[26][27]、南アフリカ政府は人権侵害を防ぐための行動の必要性を公に認めた[28][29]。ケニアでは初めてのイベントが行われた[30]

翌年6月、アメリカ合衆国で、ジョイセリン・エルダーズ、デビッド・サッチャー、リチャード・カーモナの3人の元軍医総監が、上述の国務省の声明を引用して、性分化疾患を持つ子供に対する早期生殖器手術そのものへの再考を求める政策論文を発表した[31][32][33]

2017年

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オーストラリア下院でインターセックス啓発デーのイベントが行われた[34]

アメリカ小児科学会は、インターセックス啓発デーに向けた声明を発表した。学会の外で行われたデモから数えて21年後のことであった[35]

国務省は、強制医療行為を暴力として認知する声明を発表した[36][37]

2018年

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ヨーロッパ国際インターセックス協会と国際レズビアン・ゲイ協会ヨーロッパ、ヨーロッパ親の会はインターセックスの子供を育てるためのの手引きを多言語で出版した[38]

アメリカ福祉保健省は「出生時に確認された生殖器を個人の性別の決定的な証拠」とする草案を作成していたことがニューヨークタイムズ紙の取材で明らかになった[39][40]。これは、インターセックスへの医療行為をまだ受けていないDSD当事者の子どもたちについてのメディア報道が行われたのとほぼ同時期のことであった[41]

オーストラリアのインターセックス関係団体が複数の政党の下院議員と議会内で会合をおこない、地域社会の宣言であるダーリントン声明の肯定を超えた活動を認めるためオーストラリアLGBTI健康同盟に「ダーリング賞」を授与した[42][43]

関連項目

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外部リンク

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参考文献

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脚注

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  1. ^ Intersex Awareness Day”. 26 July 2011時点のオリジナルよりアーカイブ11 October 2012閲覧。
  2. ^ a b Intersex Awareness Day, 2013”. Organisation Intersex International Australia (26 October 2013). 21 December 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。26 October 2020閲覧。
  3. ^ The 14 days of intersex”. Star Observer. 22 June 2012時点のオリジナルよりアーカイブ11 October 2012閲覧。
  4. ^ a b c Holmes, Morgan (17 October 2015). “When Max Beck and Morgan Holmes went to Boston”. Intersex Day. 20 October 2015時点のオリジナルよりアーカイブ2015年10月24日閲覧。
  5. ^ a b The origins of Intersex Awareness Day”. Intersex Day (14 October 2015). 20 October 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月24日閲覧。
  6. ^ Holmes, Morgan (2006). “Deciding fate or protecting a developing autonomy? Intersex children and the Colombian Constitutional Court”. Transgender Rights. Minneapolis, Minnesota: University of Minnesota Press. pp. 32–50 
  7. ^ Beck, Max. “Hermaphrodites with Attitude Take to the Streets”. Intersex Society of North America. 2015年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月24日閲覧。
  8. ^ Mitchell, Mani (October 21, 2015). “International Intersex Awareness Day 2015”. Intersex Trust Aotearoa New Zealand. December 11, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ2015年10月24日閲覧。
  9. ^ Carpenter, Morgan (3 November 2015). “About Intersex Day; evaluating the project”. Intersex Day. 8 December 2015時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  10. ^ Celebrate Intersex Awareness Day: October 26, 2004”. Egale Canada. 11 October 2012閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ Australian Senate (25 October 2013). “Involuntary or coerced sterilisation of intersex people in Australia”. 23 September 2015時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  12. ^ Legislative Council, Minutes Of Proceedings, No. 16, Tuesday 11 November 2014”. New South Wales Legislative Council. 11 November 2014時点のオリジナルよりアーカイブ12 December 2014閲覧。[リンク切れ]
  13. ^ NSW Legislative Council motion marking Intersex Awareness Day, 2014”. Organisation Intersex International Australia (11 November 2014). 11 November 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月26日閲覧。
  14. ^ Senate of the Land of Berlin, Germany (24 October 2014). “Intersex Awareness Day: Senat fördert Angebote für intergeschlechtliche Menschen” (ドイツ語). 4 November 2014時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  15. ^ Human Rights Commission of Mexico City, Distrito Federal (October 2014). “Forum: "Inter visibilidad, Visibility intersex"”. 2014年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月26日閲覧。
  16. ^ Astraea Lesbian Foundation for Justice (October 25, 2015), Astraea Launches the World's First Intersex Human Rights Fund, オリジナルのDecember 8, 2015時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20151208083023/http://www.astraeafoundation.org/news/352/60/Astraea-Launches-the-World-s-First-Intersex-Human-Rights-Fund/d,home-news December 5, 2015閲覧。 
  17. ^ Lambda Legal (October 26, 2015). “Lambda Legal Sues U.S. State Department on Behalf of Intersex Citizen Denied Passport”. February 21, 2017時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  18. ^ Rein, Lisa (October 27, 2015). “Intersex applicants face passport discrimination, says lawsuit seeking option other than 'M' or 'F'”. Washington Post. December 9, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  19. ^ Karlan, Sarah (October 28, 2015). “People Took To Twitter To Share Their Deeply Personal #IntersexStories”. Buzzfeed. オリジナルのMay 13, 2017時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170513221305/https://www.buzzfeed.com/skarlan/people-shared-their-personal-intersexstories-on-twitter-for 2020年10月26日閲覧。 
  20. ^ United Nations for Intersex Awareness” (October 2016). 2016年11月12日時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  21. ^ Office of the High Commissioner for Human Rights (October 24, 2016), End violence and harmful medical practices on intersex children and adults, UN and regional experts urge, オリジナルのNovember 21, 2016時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20161121185256/http://ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=20739&LangID=E 2020年10月26日閲覧。 
  22. ^ Radcliffe, Charles (October 24, 2016). “Intersex Ed at the UN”. The Huffington Post. October 30, 2016時点のオリジナルよりアーカイブ2016年10月26日閲覧。
  23. ^ Intersex Awareness Day”. Interact Advocates for Intersex Youth (October 26, 2016). October 30, 2016時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  24. ^ Intersex Awareness Day news round-up”. Organisation Intersex International Australia (October 29, 2016). October 30, 2016時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  25. ^ Department Of State (October 26, 2016). “In Recognition of Intersex Awareness Day”. 2020年10月26日閲覧。
  26. ^ Santow, Ed (October 26, 2016). “Intersex rights are human rights”. Australian Human Rights Commission. October 30, 2016時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  27. ^ Wade, Matthew (2016年10月26日). “The importance of ending harmful surgeries on intersex children in Australia”. Star Observer. 2016年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ2016年10月26日閲覧。
  28. ^ Iranti.org: South Africa and the rights of intersex children”. Intersex Day (October 26, 2016). October 30, 2016時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  29. ^ Collison, Carl (October 27, 2016). “SA joins the global fight to stop unnecessary genital surgery on intersex babies”. Mail & Guardian. October 30, 2016時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  30. ^ Nairobi, Kenya: walk for recognition”. Intersex Day (October 21, 2016). 2020年10月26日閲覧。
  31. ^ Re-Thinking Genital Surgeries on Intersex Infants”. Palm Center (June 2017). 2017年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ2020年10月26日閲覧。
  32. ^ Weiss, Suzannah (June 30, 2017). “These Doctors Want Us To Stop Pathologizing Intersex People”. Refinery29. July 1, 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月30日閲覧。
  33. ^ Power, Shannon (June 29, 2017). “'Stunning victory' as US Surgeons General call for an end to intersex surgery”. Gay Star News. July 12, 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月26日閲覧。
  34. ^ Parliamentary Friendship Group breakfast for Intersex Awareness Day”. Intersex Human Rights Australia (October 11, 2017). 2020年10月26日閲覧。
  35. ^ American Academy of Pediatrics statement on Intersex Awareness Day”. Intersex Day (October 27, 2017). 2018年11月16日閲覧。
  36. ^ US State Department message of solidarity”. Intersex Day (October 27, 2017). 2018年11月17日閲覧。
  37. ^ Nauert, Heather (October 26, 2017). “In Recognition of Intersex Awareness Day”. U.S. Department of State.  2020-10-26閲覧。
  38. ^ OII Europe; IGLYO; European Parents' Association (October 26, 2018), Supporting your intersex child - A parents' toolkit, https://oiieurope.org/supporting-your-intersex-child-a-parents-toolkit/ 2020年10月26日閲覧。 
  39. ^ Weigel, Alicia Roth (October 23, 2018). “Intersex, and Erased Again”. The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2018/10/23/opinion/trump-transgender-memo-intersex.html 2020年10月26日閲覧。 
  40. ^ “トランプ政権が性別の変更を禁じる法案を検討しているという衝撃的な事実が明らかに…トランスジェンダーへの迫害です”. アウト・ジャパン. (2018年10月23日). https://www.outjapan.co.jp/lgbtcolumn_news/news/2018/10/6.html 2020年10月26日閲覧。 
  41. ^ Compton, Julie (October 24, 2018). “'You can't undo surgery': More parents of intersex babies are rejecting operations”. NBC News. https://www.nbcnews.com/feature/nbc-out/you-can-t-undo-surgery-more-parents-intersex-babies-are-n923271 2020年10月26日閲覧。 
  42. ^ Wade, Matthew (October 26, 2018). “Intersex allies in Australia recognised with 'Darling Award'”. Star Observer. http://www.starobserver.com.au/news/national-news/intersex-allies-australia-recognised-with-darling-award/172738 2020年10月26日閲覧。 
  43. ^ Intersex Human Rights Australia (October 26, 2018). “Intersex Awareness Day, 2018”. Intersex Human Rights Australia. 2018年11月16日閲覧。