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ドナ・ザッカーバーグ
ノルウェー科学技術大学で開催されたBig Challenge Science Festival in 2019で著書について講演するドナ・ザッカーバーグ
人物情報
生誕 1987年(36 - 37歳)
米国ニューヨーク州ドブス・フェリー
出身校 シカゴ大学 (BA)
プリンストン大学 (PhD)
学問
博士課程指導教員 アンドリュー・フォード
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ドナ・ザッカーバーグ(Donna Zuckerberg)は、アメリカの古典学者フェミニスト、作家。査読付き古典ジャーナルEidolonの編集長を務めている。インターネット上のミソジニストによる古典の流用についての書籍 Not All Dead White Men(2018)を著した[1]

生い立ちと教育[編集]

ザッカーバーグは1987年にニューヨーク州ドブスフェリーでユダヤ人の家族に4人兄弟の3番目として生まれた[2]。両親は歯科医と心理学者だった。家族は親密であり、両親は子供たちに彼らが持っているどんな才能も発達させるように勧めたという。彼女の3人の兄弟、マーク・ザッカーバーグランディ・ザッカーバーグ英語版、そしてアリエル・ザッカーバーグはいずれもテクノロジー業界で働いている。

シカゴ大学で文学士号を取得した後、2014年にプリンストン大学において古典学Ph.D.を取得した。専門は古代悲劇の研究である。

Not All Dead White Men[編集]

2018年10月にハーバード大学出版局からザッカーバーグの最初の単著『ノット・オール・ホワイト・デッド・メン: デジタル時代の古典とミソジニー(: Not All Dead White Men: Classics and Misogyny in the Digital Age)』が出版された。「レッドピル、もしくはマノスフィアと呼ばれるオンライン上の動きに関して述べた最初期の書籍」だと紹介されている[3] 。「マノスフィア」には、メンズライト活動家英語版ピックアップ・アーティスト英語版MGTOWなどの多数の派閥が存在する。これらのグループは、現代社会が女性に有利であるために自分達は不利になっているという信念によって団結している。この書籍は、レッドピル運動がその性差別的な思想を擁護するために、いかに古代ギリシャやローマのテクストを用いているかを対象とした古典受容研究となっている。オウィディウスエウリピデス、またクセノフォンオイコノミコスマルクス・アウレリウスの自省録などの流用が行われているという。また、レッドピルコミュニティと白人至上主義運動の間のつながりにも触れている。

「レッドピル」は、映画「マトリックス」 (1999年)への文化的レファレンスである。モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)がネオ(キアヌ・リーブス)に青または赤のピルの選択肢を提供し、それぞれ至福の無知または痛みを伴う真実を与えるというものである[2]。ザッカーバーグは「レッドピルの比喩は、彼ら[オルタナ右翼]がミソジニーや人種差別をある種の啓蒙とみなしている事実を示している。自分たちは他の人々よりよく現実が見えている……。その内容は、白人のヘテロセクシャル男性はこの社会において差別されているというものだが」と述べている[4]

同書はさらにマノスフィア英語版内におけるストア主義の人気ぶりを調べている。レッドピルの男性らがいかにストア主義を用い、「合理的な男性・感情的な女性」の二分法という信念を擁護しているかが説明されている。ザッカーバーグによれば、レッドピルの言説の要点は理論武装によって批判を跳ねのけることではなく、主張を聞いた人々に自分は正当化されたと感じさせ、驚かせ、怒らせ、そして反応を引き出すことであるという。ザッカーバーグは古典時代にフェミニスト的なアプローチを向け、古代世界にはミソジニーが浸透していたと主張している。「レイプという言葉はなく、フェミニズムは存在せず、女性の行動は身内の男性によって決定された時代だった」[2]オルタナ右翼のグループは、ミソジニーや白人至上主義の運動に重みと権威を加えるために、文脈を歪め、文脈から切り取った古典的なテキストを使用している。

このトピックへのザッカーバーグの関心は、2015年に執筆したオウィディウスに関する記事に対して、Reddit上のレッドピルコミュニティからのアクセスが多いことに気付いたときに始まったという。また、同時期にオウィディウスに言及しているニール・ストラウスへのインタビューを読んだという。

この書籍の最終草案は2016年の米国大統領選挙の数日前に提出された。ザッカーバーグが研究対象とした多くのグループの不満が政治の主流の取り込まれたために、同書はアカデミアの外でも注目を集めた。ザッカーバーグによれば、同書が制作されている間、レッドピル運動は子供の監護権のような伝統的な「男性の権利」の問題から離れ、女性のリプロダクティブ・ライツへの介入に焦点を合わせ始めたという。

引用文献[編集]

  1. ^ About EIDOLON”. EIDOLON. 2018年11月3日閲覧。
  2. ^ a b c Iqbal, Nosheen (2018年11月11日). “Donna Zuckerberg: ‘Social media has elevated misogyny to new levels of violence’”. The Guardian. https://www.theguardian.com/books/2018/nov/11/donna-zuckerberg-social-media-misoyny-violence-classical-antiquity-not-all-dead-white-men? 2018年11月17日閲覧。 
  3. ^ “Not All Dead White Men: Classics and Misogyny in the Digital Age, by Donna Zuckerberg” (英語). Times Higher Education (THE). (2018年11月15日). https://www.timeshighereducation.com/books/book-of-the-week/not-all-dead-white-men-classics-and-misogyny-digital-age-donna-zuckerberg-harvard-university-press 2018年11月29日閲覧。 
  4. ^ “Donna Zuckerberg on how the alt-right is weaponising the Classics” (英語). ABC News. (2018年11月12日). https://www.abc.net.au/news/2018-11-12/donna-zuckerberg-on-how-the-alt-right-are-co-opting-classics/10474428 2018年11月29日閲覧。 

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